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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第7章;獣人国に行くよ
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越境

「にゃー、時間かかったニャ!」

 馬車の中でイアは箱にもたれかかりそう呟いた。

 そのままゴロンと寝てしまった。


「そう言うな、これが当たり前だ」

 ジョーも馬車の点検をし直し、確認を終え操縦席に戻る。


 彼らが飽き飽きしている理由は隣国の国境門を超えて直ぐに検査が入った事だ。

 ブリューシュ王国出国時に比べ入念な取り調べと、荷物検査があったので仕方ない。

 

 つまり、2回検査を受けないといけないのだ。


「入国時はこんなものよ。国を出る時よりも入るときの方が厳しいのよ、でも……ずいぶんと検査は楽だったほう」

 サイリアは笑いながらそう説明した。


「そうなんですか? あれで?」

 カティアは疑問を口にする。

 彼女も旅の目的など事細かく聞かれたからだ。


「まぁ、そうだろうな。俺たちは推薦状があったから楽な方だが、普通に国の脅威となる魔薬や危険物の持ち込みを警戒するのは当然。それに入国税は免除された」

 ジョーは操縦席から手綱を動かし馬車はゆっくりと動いていた。出入口の門の列に並びながら馬車を止めたり少し進めたりをを繰り返している。


「それは良かったです。長い時間だったけど……」

 カティアはひとり納得している。


「そういえばジョー、マニ領に行く道の話は聞けたの?」

「あぁ、渓谷沿いの道の復旧は終わっているけど、通れない道もあるから確認した」

「よかったね」

「あぁ」

 サイリアとジョーが何気ない会話をしていると――。


「師匠、もしかしたら、この国境は穴だらけなのでは?」とカティアが疑問を呈する。


「どうした急に?」

 操縦しながらジョー訊いた。


「いえ、思ったんですけど、正直周りの山と川を迂回すれば国境って超えられるなぁ~って思って、ほら、ここ大きい橋と門だけで景色の向こうは山じゃないですか」

 彼女は深刻そうに告げる。


「その通りだが、それがどうした?」


「いえ、あれほど検査する意味ないじゃないですか? 適当に迂回すれば入り放題じゃないですか?」


「なるほど……カティアはこう言いたい訳だ。国境警備をしていても犯罪者は勝手に入ってくると」


「そう、それです!」

 どや顔のカティア。

 悪意はない。


「国境警戒をしている領地で、その兵士達の不評を買うような事を大声で言うなよ、他国に入ったんだぞ」


「……そうですけど、気になって」

 シュンとなって少し不満そうにする彼女。


「気になるのも仕方ないが、実際に侵入するにしても可能性はいくらでもあるという話だ。

先ほどカティアが言ったように迂回する方法もあるが……基本的にはお勧め出来ない。なぜなら迂回するにしても国境警備の監視区域を大幅に超えて離れた場所に行く必要があり、川を挟んで迂回するにしても馬車などの重量あるモノを運ぶだけでも一苦労。移動の荷物を含めると大人数が必要、さらに通商路から外れると悪路を行くために少しの道でも大幅な時間がかかる、この苦労は長距離移動の訓練でやっただろ?」


「確かに……必需品や食料だけで結構苦労しました」

 思い返すカティア、川を渡り、荷物を吊るして運び、悪路を悪いて魔物とも遭遇している。


「もし、国境を超える不正品を運ぶにしても徒歩ならばそれほど運べない、さらに言えば道を外れると魔物や魔獣に襲われる危険が跳ね上がる訳だ。重たい荷物は逆に足かせになるし、大人数なら発見の危険も高い、少人数なら荷物も少なくて済むが実入りは少ないだろうな。魔物に対処するなら手練れが必要になるし……。実際に多くは不法移民が国境を超える方法で使っているだけだが、国境付近では不幸な事故が多いのはこのためだな」


「それなら国境を超える事はほとんど不可能で安全と言えるって事ですか?」


「可能性としてあるのは兵士達に賄賂を贈ることだな、これなら大型の馬車でも通れる」


「でも、それって駄目なんじゃないですか?」


「実際に治安の悪い国なら金を積めば買収はしやすい。荒れている国はその傾向が強いぞ」


「それって、なんでもやり放題!」


「そうだな、町の様子を見れば結構わかる。国にカネが無さそうだと思えば国境警備も甘いからな、兵士達に多少の銀貨でも握らせればいけない事も無い」


「師匠、まるで、やった事あるような……」


「あぁ、あるぞ」


「犯罪者」


「おまえ、そういう時もあるって事だと覚えとけよ……むこうも露骨に要求する事もあるから」


「サイリア師匠、本当の話ですか?」


「あッ、うん、本当、本当。荒れている国って本当にわかりやすいのよ。賄賂が普通って事も多いし、逆にありもしない文句をつけて通行止めにされるのを避ける為にやるしかないっていうか…そんな所かな? 国境の兵士が真面目にやっている所は意外と安全っていうか、穏やかな所が多いの」


「なるほど!」


「カティア、お前たまに俺の話を信用しない時があるよな……」

 すこし寂しい表情でジョーは振り向いた。

「そんな事ないデス! 師匠の事はいつも信用しています」

 目をキラキラさせながらカティアは媚びた。


「それならいいけど、本当かなぁ~」

 ジョーは再び馬車を動かした。


「本当ですって、信じて!」


 カティアとジョーは諍いを起こすが、それに関係しないイアは「ふにゃ~」と 寝息をして眠り続ける。




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