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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第6章;獣人国に行きたい?
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魔剣対魔装 16

 地面に伏していたサイリアは起き上がろうと杖を支えに立ち上がろうとするが、上手く体が動かない。

 重度の魔力切れの兆候によって視界も狭くなり始める。

 目の前にガシャンと金属の音が響くと陰りに入ったように暗く感じた。


 サイリアの目の前にはレッドブローが立ち上がったまま停まる。

 武器を持たない彼は右手をサイリアの方に向けた。


「……おまえ…」と、」ソコまで言うと突然右腕を掴まれた。

 動かそうにも動かない。

 ――凄みのある殺気が襲い来る。


「おいッ!」 

 その殺気の主はレッドブローに声をかけた。

 奇形の鎧を纏う黒髪の剣士、だが、顔の半分は竜の鱗のように変形し眼つきもまるで違う様子だった。

 さらに持っている剣も連刃刀のような奇形に変形した蛇腹刀。

 殺気も物腰も風貌も変わり果てているジョーが立っていた。


 まず、会話も無くジョーは力任せに剣をレッドブローの顔面に叩き伏せた。

[ガッカァ――――ン!!!]と激しい接触音が響くとそのまま吹っ飛ばされるレッドブロー。

 衝撃で激しい風が起こり、その後で飛び散った人形のレッドブローははるか後方の森林にぶつかり、多くの木々をなぎ倒す。


 ジョーもソレを追って行く。

(ジョー……)

 そして、その様子を見届けたサイリアは混濁させた意識が切れた。

 

 森の奥でレッドブローは多くの木々を倒して、やっと地面に落ちた。

 正確に言えば、勢いが落ちて無様に墜落し、地面に倒れたという所だ。

 激しい衝撃で視界がゆがむ。

【おい、平気か?】 

 相棒のコビーがレッドブローに声を掛けた。

「あ、あぁ……」

 レッドブローの返答も曖昧になる。

 それもそのはず、魔力も尽きかけ体力も危機に瀕し、立っているだけ厳しい。さらに体には痺れが残っていた。


 その状態のレッドブローに向かって森林を駆ける悪魔のような人影が高速で向ってくる。

【アイツが来るぞ!】とコビーは警告をするが――ジョーは剣を伸ばしてレッドブローを穿つ。


***


「――おい……」、「――ねぇ……」、「――気が付いた……」

 サイリアは混濁した意識が戻るのを感じると周囲の声が聞こえて来た。

 ぼやけた視界がハッキリとしてくる。

 彼女の視界に映るのはリド、そしてザブルスとマートの“猟獣”のパーティだった。

 布の上に寝かされていて安静にしていたようだ。


「大丈夫ですか?」とサリイアを治療していたマートが訪ねる。


「えぇ……他の…アンジーは? ラビス、ミレイ……あれ?」

 言葉が続いて来ない、五感ははっきりしてきたのだが意識は鈍く感じる。


「ウォーズナー隊の人に救助されていますよ、無事です」

「そう、よかった……」

「サイリアさん、これ飲めますか? 身体を起こしますから飲んでください」

 マートが魔力回復薬を渡そうとした所で地響きのような低い音が響き、その後で揺れが生じた。


「今も戦は続いてるの……?」

「はい、森の奥に行ってしまったようですけど」

 その時点でサイリアが意識を失ってから数分間の時間が経過している。


「他はどこまで行っているのかしら?」

「ニコさんとミックさん達は洞窟から戻ってきました、無事です」

「そうなの……よかった」

「それでですね、ジョーさんに加勢しようか悩んでいる所ですが……」

 マートは地響きの原因たるジョーとレットブローの闘争の方向に顔を向ける。

 加勢するにしても力量差のある相手、下手をすれば足手まといになりかねないという判断から参戦を躊躇し、歯痒い思いという顔をしていた。

 マートの他にリドとザブルスは土煙が上がっている方向を食い入るように確認している。


「サイリアさん、ジョーさんのあの力は何ですか?」

 不安そうに彼女が告げた。

「アレは……魔剣の力よ。私も詳しい事は理解して無いけど……」と答える。


 サイリアの言葉には嘘が含まれていた。

 知っている情報があったが、親しい間柄でもない仕事関係のマートには伝えられない部分の魔剣の能力。解放段階に至った経緯の話はジョーとの約束で秘密にしている。

 能力の解析開示は下手をすると死に直結するからだ。


「そうですか……」

「ごめんなさい……少し休むから、頭が重たいの」とサイリアが返事をするとマートも気を使い話を切って介抱を続けてくれた。

(ジョー……大丈夫かなぁ…)とボーとした頭で思う。


***


 レッドブローの体に巻き付いた蛇腹刀の2つの剣先は縄のように巻き付いて体の自由を奪っている。そのまま人間の力とは思えないように木々や地面に無造作に叩きつけ続けていた。

 人間モーニングスターのような扱いを続け、森の木々は破壊され続けるが、それでもジョーは止まらない。

 石投器(スリング)の要領でレッドブローを近くの木々に投げつけた。

 

 ――破裂音、土煙。その中でレッドブローは再度立ち上がる。


【平気か、親友(マブ)よ】

 コビーが彼に声をかけた。

「へへッ……まだまだぁ~」

 レッドブローが返事をすると目の前からジョーが飛び出して、そのまま前蹴りを食らわすと後ろに転がした。

「グッ…」と声を上げ起き上がろうとするが――その前にムチのような剣がレッドブローを襲う。叩きつけるように何度も撃ち据え反撃の機会すら与えないような重い攻撃だ。

 ――数十度打ちつけて、動かない事を確認すると蛇腹刀の刀身は意思を持っているかのようにレットブローに絡まり彼を持ち上げる。


「おい、意識はあるか?」とジョーは言う。


「なん…だ、クソ野郎が……」と反抗的にレッドブローは応える。


「これ以上言葉を交わすのは無意味だと思うが、レッドブロー……降伏しろ。お前はもう戦えないだろ? 魔力も枯渇して立っているのもキツイはずだ」


「……ハハハハッ! 俺はワルガギルだ。 敵に泣きつく真似はしねぇよ」と笑いながら返事をした。


 

魔剣の解説は後で。

色々制限はありますが、一気に説明しても追いつかないと思いますので小出し小出しにしていく所存。

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