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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第6章;獣人国に行きたい?
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魔剣対魔装 15

 初めは目も眩むような膨大な光が空間を照らした。

 次に来たのは家の2階で重量のある物がいくつも崩れ落ちたような、破壊音が轟(とどろ)く。

 最後に周囲の眼が慣れていくと大気の振動と遠鳴りが聞こえる。


 そして――静寂。


 大地が焦げたような匂いが周囲に広がる。

 サイリアの魔術はレッドブローを磔にしていた物体に見事に命中し、木の根っこは黒焦げになっていた。


 サイリアの放った魔術【墜雷(アペル)】――発動までに時間がかかるが、発動してからは他のどんな魔術よりも最速。避ける生物もほぼいない強大最速の魔術。

 天から飛来した凶暴な雷の力は瞼(まぶた)を閉じるよりも速く獲物を通過していった。

 しかも、この魔術はもう1つの特異性がある。


「あ……あたった?」

 サイリアは魔術の発動後に目標点の様子から成功したと思った。

 雷の電流がレッドブローの鎧内部にまで“通った”とおもえるように微動だにせず。そして煙が鎧内部から見えていたからだ。


 呆けているようだが、彼女自身も当たり判定など確認できない。

 結果だけみれば成功したように見える。


 サイリアはその様子を確認した時にどっと肩に重りがついたような疲労感に襲われた。

 魔力切れの兆候を感じる。


 後ろにいるラビスとミレイは息も切れ切れに地面に座っていた。


 やり切った感じを出すと――「ちょっと、まだ動いているよ!」とアンジーの声が響いた。


 確かに、レッドブローは動き出そうと微かに動いている。

顔を上げ、サイリアの方を見たように見えた。


(ウソ……あれでも効いてないの?)とサイリアは呆気にとられた。


 ――サイリアは杖を強く握り直す。

 この魔術の痕、大地に残る魔力の残滓を感じ取り、【墜雷(アペル)】の第2波――【昇雷(ボル)】を使う。

 魔術特性上地面に残る雷魔術のエネルギーは消えている訳でも無く、その場に留まる。

 炎、水、風魔術のように1回放ったら霧散する力と違い、物体の残る土魔術系統に似ているが物体とエネルギーは似て非なるモノ、詳しくは省くが残る魔力の残滓の桁が違う為にそのような“特異性(=帯電)”になるのだ、上から落ち、地電流を利用し地面か昇り2撃1殺のような魔術、だから特異性なのだ。


「……昇雷(ボル)」と呪文を唱えると地面から発行して周囲を照らし、そして激しい炸裂音が響いた。

 


 2度目の衝撃でレッドブローを覆う根の集合は完全に解け、ズルリと飛び出るように鎧姿のままのレッドブローが地面に落下した。

 赤い鎧は元の色に戻り、むしろ少し焦げだように黒い。


「はぁ、はぁ、はぁ……ひゅぅ……――――」息もするのも辛そうなサイリアはその場にへたり込んだ。


 目標に2度の直撃――その後の動きは無い。


「終わ・・・たぁ~~」と彼女は言った。


「ラビス! ミレイ! サイリア!」とアンジーが大声で駆け寄って仲間の容態を確認しにくる。


「ねぇさん!」とへたり込むラビスは少し青白い顔を向けた。

 ミレイなどは空を見上げて倒れこんでいる。

 魔力の枯渇寸前まで絞り出した後だ。フィフィなどの初心者よりは耐性があるが気持ち悪い事には変わりはなかった。


「大丈夫かい?」

「だめぇ~ぇ、眼が回ってるぅ」とラビスはアンジーに応えた。

 ミレイに関しては手をヒラヒラさせて返事代わりにしているだけだ。



 サイリアも何度も連続で短い息継ぎをし続けている。

 魔力の枯渇で今にも倒れそうだ。


「サイリア!」と背中を支えるアンジーがいた。

 彼女はゆっくりと振り返る。

「ねぇ、アンジー……、あいつは?」と問いかけた。

「大丈夫、動いてないよ」と心配そうにサイリアに答える。

「か、確認しないと……」

「動かないで、ほら、これを飲むんだよ」とサイリアに鉄瓶に入った魔力回復薬を渡す。

 サイリアは咽びながら急いで飲もうとした。

「大丈夫、ゆっくり飲むんだよ……後は確認しとくから」とアンジーは告げる。


 魔力回復薬を飲んで落ち着いたサイリアを確認するアンジー。

 その時、低音の咆哮が辺りに響いた。


「ガアアアアあぁぁぁぁ……」

 うねり声に似たソレにアンジーが驚いて立ち上がる。


 不吉な予感。

 それは直ぐに確認できた。


 動かなかったレッドブローが動き出していた。ゆっくりと立ち上がるのを確認するアンジーの顔はそのまま引き攣っている。


「化け物か……」と一言だけ言葉が出た。


 彼女は確かに見た。巨大な閃光が突き抜けるのを、黒焦げになる様を。

 魔力の奔流に流され倒れる様を。

 自分でも、殆どの者が動けなくなるほどの威力だと確信する攻撃を。


 それでもレッドブローは動き出していた。

 武器も持たずに前進を開始する。

 

 アンジーは自然と武器を抜いた。

 双剣を抜いて段差を降りレッドブローの元に向かう。

 引いてもいい逃げろ!と理性が告げるが、蛮族アマゾネスの戦士としての矜持か仲間を守る誇りの為か戦う事を本能的に選んでいた。


「ああああああああああああああああッッッ!!!!!」


 連続して斬撃を当てる。

 少しでも全身を止める為だった――のだが、レッドブローはそのまま立ち尽くした。


 そして――素早くアンジーの腕をつかんだ。


「何すんだい!」とアンジーは声を出すが動けないアンジーにレッドブローは拳で腹に1発当てる。


 衝撃で後方に飛ぶアンジーはそのままダウンした。

 

天候系と書きましたから解説。


落雷は普段、雲から地上に落ちてくるのを想像している人が多いです。

しかしながら時期によっては地面から空にむかって流れる事もあります。

それは夏の雷と冬の雷の関係というか、電子の関係でプラスとマイナスの関係と言いましょうか説明が難しい話になります。

雲と地面でどっちがプラスでどっちがマイナスに変わると覚えていればいいかもしれません。


詳しく知りたい方は本やパソコンで調べた方が速いと思います。


実際に雷の性質を調べると面白いですから是非。


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