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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第6章;獣人国に行きたい?
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魔剣 対 魔装 14

 サイリアは覚悟を決めて切り立つ段差の近くに寄った。

 目標は我を忘れて吼え暴れているレッドブローに向けてだ。


 幸いな事に敵は誰かを認識している状態ではないようだ。


「サイリア、行くよ」と後ろで声が掛かる。


「うんッ」とラビスに返事をした。


 ラビスとミレイは再び集中して残っている結界魔術に魔力を送る。


(大丈夫、いける!)と、ラビスとミレイの魔力の波動を感じ取りサイリアも杖を前に置き、集中し始めた。


「それじゃあね!」と剣を手にアンジーは段差を降りてレッドブローに向かった。

 真っ直ぐ目標(=レッドブロー)の元に駆け寄っていく。


***――回想。


 サイリアのお願いは3つだった。

 1つは術発動までの時間を稼ぐこと、もう1つは所定の場所までの誘導、そして最後はその場に拘束だ。

 その願いをかなえるためにアンジーは陽動に、ラビスとミレイは同じように拘束魔術を発動して動きを止めようとしていた。


「わかったよ、上手くやんな」とサイリアのお願いを聞いたアンジーは優しく頷いた。


***――終了。


 アンジーはそこら辺に転がる死体の近くに置かれている短剣を走りながら取り上げる。

 そのまま柄を持って投擲すると、ちょうど短剣はレッドブローの頭に直撃する。

 そこでアンジーは脚を止めた。

 振り返るレッドブロー、紅く染まった鎧が印象的だ。

 胴体に見える猛牛の顔も怒りに染まっているように見える。


「うごぉぉぉぉぉ―――!!! グゃぁぁぁ――――!!!」

 奇声を上げてレッドブローは攻撃してきたアンジーを威嚇した。


 アンジーは怯まず、戦闘後に地面に刺しっぱなしの手入れの行き届いていない槍を抜くと、投擲槍の要領で投げつける。

 武器で弾くレッドブロー。

 それが合図になったのか、レッドブローはアンジーを敵とみなして襲い掛かった。


 腰からもう1本の片手剣を取り出して双剣のスタイルに移行して迎え撃とうとしている。


 レッドブローは銅像の象徴にでもなるかのような迫力ある顔で武器を振り上げそのまま落とす。


 レッドブローの初弾をアンジーは横に飛びながら交わした。


「お~、怖いねぇ~」と言葉の恐怖とは反対に顔には笑顔があった。


ぐるりと身体をまわして彼女に追撃するレッドブローの攻撃はむなしく空を切る。

 身体を逸らしかわすアンジーはまるで踊り子のような体のしなやかさだ。


「強引だねぇ~、でも技術がないと喜ばれないよ」とイヤラシイ笑みでレッドブローを見た。


 ただ鼻息荒く、アンジーに対して言葉も交わさない。


「あら? 理性も飛んじゃってるね、これじゃあ獣とかわらないか」と少し残念な顔を見せた後、彼女は色気のあるクセッ毛をなびかせる。


「じゃあ、少しだけこっちから行こうかな」と彼女は距離を詰めてレッドブローの一撃をかわすと直ぐに体を回転させ脇腹に双剣の2撃を叩き込む。


「やっぱり硬い……。でも、それだけだね」と手に残る感触を確かめる。


「まったく強引で硬いだけが自慢か、まぁ、もう少しで折れそうな程度の男だから……なんとかなるか」と双剣を構えて身体で踊るようなリズムをとる。

 蛮族アマゾネスの闘法は踊りのように動き相手を惑わす。

 戦闘の高揚で普段は抑圧している妖艶(エロさ)が言葉にも態度にもあふれ出ていた。

 普段はラビスにも戦闘中のいやらしさは注意する常識は持ち合わせているのだが、戦闘の高揚と性交の高揚は彼女にとって同程度、気持ちの疼きに身体が感応してしまう、そして抑圧された心までも――。


***


 ――同時刻。


「おっけー、再接続完了。ミレイはどう」とラビスは尋ねた。

 2度頷くラビス。


「サイリアはどう?」と、ラビスは尋ねるが返事は無い。

 杖に魔力を集中して天に祈っている。

 その上空にある雲が徐々に渦を巻き始め、周囲の風が吹き上がるように感じてきていた。


 ラビスはその様子を見て何も言わず。

「それじゃあ、やるよ! ミレイ!」と声を掛けた。


***


 激しくアンジーが一方的に攻撃を当てていく。

 その時、地面が再び胎動を始めた。

 

(来たね!)とアンジーは感じ取った。


 その場をいったん離れ。

「こっちだよ!」と挑発的な言葉を投げつける。


 反応するだけの理性を無くしたレッドブロー、そのままアンジーを追いかけた。


 少し下がったアンジーは腰帯に引っかけていた丸い物体を取り出すと、自分の左の手甲に擦り付けた。ジュポっと音がすると直ぐにレッドブローの顔近くに投げつける。


 空中で止まった丸い物体は閃光玉だ。――強烈な光を放ち眼を潰す魔術具の一種で種類があり、光だけを放つタイプ、爆音とセットのタイプ、棘も飛び出す攻撃タイプと別れている。

 今回のはお買い得な普通の閃光タイプである。


 激しい光でレッドブローはほんの一瞬その場に停まった。

 だが、それで十分だった。

 地面から伸びる根っこが触手のようにレッドブローを絡めとり、盛り上がる大地がレッドブローを押し上げる。

 塔のように上に伸びた物体はレッドブローを絡めて磔にされた罪人のようにする。

 その上空で蠢く小さな雷雲が天に巻く蛇のような黒雲を描く。

 

「うおぉぉぉぉぉ―――――――――!!!!!!!!!!!!」とレッドブローは暴れ声を出すが抜け出せずにいた。


 アンジーはレッドブローが捉えられている少し上に短剣を投げつけ目印を作り終えると、そのまま急いで後退する。


***


「サイリア、もう少しで術が解けちゃうんだけど!」とラビスは警告する。


「……大丈夫、準備できた」とサイリアは呟いた。


 杖を天に掲げるサイリア。周囲から風が渦巻き天に上る上昇気流を作り、上にある黒雲は高速で回転し大きくなっていく。


「ワーヤード・・・エフゲフク、コチョウコン、・・・ザー、オイス――」

 魔韻を含んだ呪文を込めて周囲の精霊を統括していくサイリア。

 黒雲が次第に閃光を放ち、空気を裂いた音を出した。


 サイリアは目を開き唱える「……墜雷(アペル)」


 


色々と我慢の時。

ステイホーム期間継続中。


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