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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第6章;獣人国に行きたい?
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魔剣 対 魔装 12

 亀裂から激しい咆哮とともに腕部分が飛び出す。

 

「オおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――――………」


 断続的で連続的な声、獰猛な魔物の声に似ている。

 藻掻くレッドブローは絡まる根っこを引きちぎり外へ外へと這い出ていく。


***


「やっぱり死んでなかったな……」

 蛇腹刀を構えてジョーは呟いた。


【そうだな……奴も適合者だし、何よりアイツはしぶとい。追い詰められた獣ほど危険って事だ】


「しかし、あれほど追い詰めて魔力が枯渇したと思っていたが……どうやって逆境を跳ね返したんだ?」


【2つ理由があると思う】


「どんな理由だよ」


【まずは鎧が真っ赤だろ? あの状態は“荒神猛牛(あらぶる)”と言ってな、危機的状況になった時に出す状態の事だ。思考力は落ちているが特に力は跳ね上がっている。そしてもう1つは――見て見ろ。根っこを喰っているだろ? あそこから魔力を補給していると思う】


「なるほど……それで回復されたって訳だな」

 ジョーはスネークが直前で言っていた注意事項を思い出す。

 植物から魔力を回復させると――それは、葉っぱだけでなく根っこからも可能だという事だと。


【そういう事だ】

「厄介だな……でも、このまま何もせずに見ているってのもなッ!―――」

 ジョーはそのまま目標に向かって駆けだした。

 

 そのまま跳躍して身動きしずらそうなレッドブローの頭を狙う。


(もらった!)と無防備な頭部を砕き殺そうと剣を振るう。


防御も殆ど不可能な状態、しかし、硬質な音が交じり合う。


(なに! 角が変形した!)


 頭部に付属している角が意思をもったかのように巨大化し交差させ剣戟を防いでいた。


「ブロロロロロロロッ……」とレッドブローが奇妙な声を発すると「ガッ!!!!!」と吼えた後、ジョーははじけ飛ぶ。


 何かに突き飛ばされたかのように――激しい衝撃波に襲われたのだ。


「今のは……魔力の放出だけか?」とジョーは空中で態勢を立て直し地面に着地する。


【それに近いな……】とスネークは応えた。


 その間にミレイとラビスの結界魔術の封印はガラガラと崩れ落ち、多量の土砂が舞う。

 その残骸の中から瓦礫を押しのけるように真っ赤に染まった鎧のレッドブローが現れる。


「おぉぉ……オオオ」と言葉を連ねた。



「何か言っているぽいんだけど……」

 ジョーはレッドブローをよく観察するように目を細めて状態を確認した。

【だから言っているだろ? あの状態は本能的に動く、知能は下がるって」

「それじゃあ、アホが、大アホになってしまったって事か?」

【そういう事。理性とか無いぞ】とスネークは断言する。


「お、オオオイ……よく、も、タイマンを、けが…した…な……」と言葉かどうかも怪しく言い続けるレッドブロー。その鎧も「ブロロォォォ――! ブフォォ――!」と鼻息の荒い牛のような音が聞こえた。


「おい! こっちだ! さっきの続きをやるぞ!」とジョーは挑発する。


 だが――、レッドブローに動きは無い。「よくも……」と小さく呟いた後、急に駆けだした。


「おい! どこに……」とジョーは言うが、すぐに危機を察知する。

 レッドブローが駆けだした方向には――サイリア達が退避した方向だからだ。


「ちくしょう!」とジョーも後に続いた。


***


 初めは悪寒だった。

 次に背中から突き刺さるような視線を感じるとサイリアは走りながら気が付き振り返る。

 赤い点が動き、それが膨らむように大きくなるのを視認して、近づいているのだと理解するまでの間に、その凄まじい速度からすぐに輪郭は現れる。

 大きな赤い鎧、それも特異な形状。

「……ォォォオオオオオ――」と、徐々に伝わる声の大きさにサイリアは恐怖を覚える。


「ちょっと、アイツが追ってきてる!」とラビスは声を上げて注意する。

「丘の上まで走んな! 急げ!」とアンジーは息切れして苦しそうなミレイを抱き上げて走る速度を上げた。


「私が足止めする」とサイリアは宣言し、走りながら杖に魔力を込める。

「ノンちゃんお願い」と命ずると服のフードから土精霊のノームがひょっこり顔を出して肩に張り付いた。


「土壁(ウォール)!」と大きく叫んで杖を振りかざすとサイリア達の後方が盛り上がり、それが連続で重なってレッドブローの進路を塞ぐ。


「土壁(ウォール)! 土壁(ウォール)! 土壁(ウォール)!」

 連続詠唱で壁の束を作っていくサリイア。


 しかし、その程度の壁ではレッドブローは停まらない。

 爆散させるように突き破り距離を縮める。

 

 ノンちゃんが土を操り巨大な手型を作って合掌するように挟もうが、土槍で突いて飛ばそうがレッドブローの猛牛の突進は阻めなかった。


「ふしゅぅぅ――! ふしゅうぅぅ――!」とレッドブローから音が出てサイリアのすぐそばまで距離を詰めていた。

 

「サイリア―――!」とラビスが叫ぶ!

 

 しかし、サイリアの目には巨大な恐怖の塊であるレッドブローの巨体と振りかざした武器の姿をゆっくりと捉えていた。まるで死ぬ前に見る走馬灯のように――視界がゆっくり動き、周りが良く見える。


 言葉を発する事も出来ない、体も上手く動かない。


 迫りくるレッドブローに対しサイリアは無防備である。

 腕が振られ、巨大な鉄塊が迫る。

 その間で――サイリアとレッドブローの間にジョーが割り込んだ。

 

「相殺……」その言葉を確かに聞いたサイリアの前でジョーとレッドブローは弾け飛び、衝撃音が破裂した。


ステイホーム。以上。

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