↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第6章;獣人国に行きたい?
331/444

魔剣 対 魔装 10

「よし、よーし、やっと出来た」

ラビスは小高い広場に戻って最後の魔術陣を書き上げた。

「ミレイ、あんたの方はどう?」

ラビスは尋ねると、杖をかざし――準備おっけーという軽やかな回転のような踊りで答えた。


「リーダー、準備できたよ!」とアンジーに声を掛けるラビス。


「わかったよ……サイリアも準備できたかい?」

 アンジーは近くで心配そうに状況を見守っているサイリアに声を掛けた。


「うん……こっちはいつでもやれるよ」と振り返って返事をする彼女はどこか心持ちが浮ついた様子に見える。

 アンジーに話しかけられた後で3回、サイリアは大きく呼吸をした。


「それじゃあ始めるよ」とアンジーが合図を出すとラビスとミレイは精神を集中させ地面に描かれた魔術陣に魔力を送り始めた。


 それに続くようにサイリアも杖で地面に描いた魔術陣に魔力を送る。


 淡い光を放ち次第に強くなる。ジョーとレッドブローを囲むように配置された森の中の魔術陣も空に光を昇らせていく。


 そして―――次第に地面が揺れ始めた。


「―――胎動する地籠」とミレイが呪文を唱え。

「―――這いよる樹界」とラビスが唱えた。


[ゴッゴゴゴゴゴゴゴ…………]と小刻みに振動していると思ったら、地面から巨大な石柱が6つ、森から飛び出していく。次にウネウネと動きながら同じような大きさの巨大樹木が急速に生えてきた。

 

※※※


(これは! 結界魔術!)


 揺れ動く大地と膨らむ周囲の魔力に反応してジョーは瞬時に状況を察知する。

 不自然な遮蔽物が森の中から自分たちを囲んでいるのを視認し間違いは無いと考えた。


『結界魔術』――儀式か触媒を利用し魔術陣で対象と範囲を指定して発動する魔術形態の1つ。一般的に効果範囲を限定し膨大な魔力を消費するが効果は同系統の魔術よりも強力で巨大。しかし冒険者の間ではあまり使われる事のない魔術である。(※発動に時間と準備かかる。対象が移動すると効果は無いなどのデメリットが多いため)主として使われるのは戦場などの特殊環境で限定的な状況下が多い、効果として対象を攻撃、拘束、または防御に使われる。


[ギギギッ!! バキバキッ!!]と変な音が周囲から漏れ出すと地面が割れ波のように土砂がレッドブローの方に向かっていった。


「なんだ! こいつは!」とレッドブローはぶっ飛ばすが、土なので細かな集合体であるから攻撃は一瞬だけ分散するがスライムのように元に戻り、巨大な腕の波がレッドブローを拘束していく。


 その間を縫って地面から飛び出た木の根っこがレッドブローに絡みついていく。

 

「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」

 声を荒げ暴れるが、時すでに遅い。否応なく彼の体に土と根が巻き付いていく。


 ジョーは荒げる地面を波に乗るように後退して距離を取った。


(あれは……土属性の拘束魔術とエルフ系の魔術ってことはミレイとラビスが発動してくれたのか、それにしてもすっげぇー速さで成長する根っこだな)


 ジョーが後退する間にも勢いは衰えず根っこは絡みつき交じり合い球体状になりながら巨大なオブジェが生まれていった。


「うおおおおッッ!!!!! このッ!―――」とレッドブローの声はそこで途切れる。


「なんかの芸術作品みたいだな? 題名は蛇の交尾か?」

【阿保が、こんなの気持ち悪いものと一緒にするな、それに芸術をバカにするな!】とスネークが突っ込む。


「まぁいいや、とりあえず……終わったと見ていいのか」と言葉をこぼした。


 ――閑話休題。


「おーい! そっちはどうよー!」と遠くから声が聞こえた。

 ジョーが振り向くと声の主はラビスだ。

 手を振って応えるジョー、ラビスの後ろからアンジーとミレイ、それにサイリアも駆け寄ってくるのが見えた。




「まず、そっちはどうなった? 信号弾の狼煙は見たけど正確な所で目標の確保と安全は達成したのか?」とジョーは尋ねる。

 状況の細かな確認の為だ。


「もっちろんよッ!【ポンちゃん】は確保して戦いに巻き込まれないように距離を置いて逃がしているから」とラビスは答える。


「わかった、洞窟での占拠に向かったニコ達はどうしてる?」


「それはアレだね、私たちも正確に把握している訳じゃないけど、さらに洞窟の奥を索敵中だよ、メンバーはニコ、ミック、グレー、ラリーとオリとカチーナの6人で引き継いでやってもらってる」とアンジーが返答した。


「残党は逃げ込んでいたか?」


「それは解らないし、奥に続く道はさらに狭いからね、それに罠の可能性もあるからなんとも言えないけど殆どは洞窟手前で倒したよ。後、残っていたのは賊に捕まっていた人が数名だね、そっちも保護は済んで避難していると思うよ」


「うんうん……そうかわかった、負傷した隊員はどうしてる? あれから結構時間を稼いだと思うけど?」


「そっちは負傷者の救助は終わりそう」


「よし……あと、この拘束魔術は大丈夫か?」と横を指さしジョーは確認をする。


「もっちのロンヨ! 私たちの連携による魔術を信じなさい、ねーぇ、ミレイ!」とラビスとミレイはパチンとハイタッチする。


「そうか……」とジョーは言葉を濁した。

「なに? 心配そうな顔しちゃって? 心配ないし! 土と根っこに身体を拘束されて動けないって言うのかな? ガッチガッチよ、固まって動かないで圧死か窒息死になるのがオチだって、それに見て見なよ、あの膨張して膨らんだモノに根っこが絡みついて血管のようにキュウキュウでガッチガッチ、例えるなら興奮した男性の●●――」とラビスが饒舌にシモネタを喋りかけた所でアンジーが呆れ顔で拳骨を落とした。


「いったぁーい! ねぇさん痛いよ」と声を上げるラビス。

「仕事中はシモネタ禁止だって決めたよね」とアンジーは叱る。


 そんな騒がしい光景の横で球体の中から「……ォォォォ……ぉ…ォォォ」と小さく音を発している事にまだ誰も気が付いていなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。