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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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長距離移動訓練1

「じゃあ、出発だ」

 ジョーは後ろを振り返ってサイリア、カティア、フィフィ、メリーダに告げる。


 早くから朝食を食べて行う事は1つ。『長距離移動訓練』の基礎を学んで貰うためだ。

 8日目の実地訓練で行った逃走術と追跡術とは違い、長時間移動術のノウハウを学んで貰う、場所は渓流沿いでとにかく歩く事を目的としている。

 移動の総合訓練であるので装備も完全装備で挑んでいた。

 荷物も食料も持つ重装備ぶりであった。

 2、3日分の食料を運ぶように、皮鞄はカティアとフィフィとメリーダが背負い。他の道具を入れた木箱鞄をジョーとサイリアが運んでいる。


 目標時間は4刻(=8時間)ほどかかる予定。


 修行場の河原を出発地点として、そのまま川を下っていく。

 天気も雲ひとつない青空で天気の崩れる心配も無かった。


 昨晩の仲直りでカティアとフィフィは楽しそうにお喋りをしながら訓練に臨んでいる。


「お~い、訓練中だぞ。しっかりと周りを警戒しろ」

 一列隊列を組んで移動中である、先頭のジョーは、後ろの話声に注意した。

 しかし、返事はあるのだが、ひそひそとしたお喋りは止まらない。

 ジョーは溜息を吐き、あきれながら進んでいく。好奇心旺盛な子供達に何を言っても無駄に感じてしまった。


***

 

 川辺にある、歩きづらい道を進んでいく。

 周囲の木々は枝を鳴らして風の存在を知らせ。

 天気の良さを含めると、絶好の景観を演出していた。

 千山万水の土地が連続して続いた道を進んでいくと 川辺の開けた場所に出る。

 川の支流が合流して流れが強くなっているような場所だ。

 ジョーは後ろを振り向くと、弟子達がしっとりと汗を(ひたい)にかきながら懸命について来ている事を確認した。

 普段の訓練では野山を駆けまわれる体力がつき始めた弟子達だが、荷物と武器防具の無い状態での事であり、それが重しの代わりになって普段よりも厳しい状況に四苦八苦しているようだった。


「よし、いまから川を渡る、渡河訓練を始めよう。むこう岸に着いたら少し進んで休憩する」

 状態を見て、ジョーは声をかける。

 しかし、当然のように元気のない返事がかえってきた。


「よし、サイリア、まずは(ロープ)を用意してくれ、川自体の渡り方を説明したほうがいい」

 ジョーは後方に居るサイリアに指示を出した。


「どれ位の長さにするの?」

 サイリアは背負っている木箱鞄を降ろした。

「そうだな……10……15…40メートル位でいい」

「わかった、待っていて……ちょうどいいのあるかな?」

 木箱鞄を開けて中をあさる。

 そうして――縄を取り出すと端っこを縛り、輪っかにした。

 ジョーは結び目を固く縛り、再度確認する。


「よし、これから渡河訓練を行う。簡単に説明するとこの輪っかにした縄を1人が身体に通し、川の中の様子を探りながら進んでいく、後方に居る者は縄を持って流された場合に引っ張り上げる事になる。先陣を切る者は棒などの道具を使い、川底の様子を探っていった方がいい」


 ジョーはそのように説明した。

 そして、カティア、フィフィ、メリーダが理解したか表情を実際に見てみる。


「質問があれば受け付けよう」


「師匠、いいでしょうか?」

「カティア、なんだ?」

「はい、渡河中に縄の固定はするんですか?」

「それはしない、脇に輪っかを通す感じにしておく、実際に固定してしまうと流された時に邪魔になるかもしれないので先頭の者はカルビナ類による固定は行わない、向こう岸に着いたら縄は近くの木々に固定し、滑車部品を利用して荷物や後方の者の受け渡しの命綱にする」

「わかりました、ジョー師匠が先頭でいくんですか?」

「そうする、まずは見本だ。カティアには周囲の確認を行う役目をしてもらう。他に質問はあるか?」

「師匠のミズグモの術で渡らないんですか?」

「今回は封印だ。これは“誰でも可能である”事が前提の訓練としたいんだよ。実際に跳んで渡るのもアリだし、魔術で渡る事も可能だろう、しかし、長距離移動訓練の目的として、いかに『魔力と体力を節約できるか』という意味も込められている。渡れる所は自力で渡れるようになっておいた方がいい」


「なるほど、万人向けの訓練というわけですね?」


「そういうことだ、カティア。正攻法の訓練だと言っておこう、他に質問は?」


 ジョーが訊くと無言で弟子達は首を振った。

 縄はカティアとメリーダが持ってくれている。

 

 ジョーは確認を終えると、その辺に落ちている木の棒を片手に川に入っていった。入ると膝下程度の脚元が濡れていく。

 水もある程度冷たい。

 浅瀬では白波がたち、それなりにはやい急流を現していた。

 手の感触を頼りに川底にある岩や砂利の感覚を確認しながら進んでいく。

 その内に、棒のあたりが弱くなり、淵尻のあたりだと確認できた。

 波も無く、緩やかな流れのようである。だが、深いので危険な場所でもあった、足1つとられれば、そのまま流される事は経験上分かりきっている。

 水面が反射せずキレイな事から“深淵(しんえん)の入り口”との別名もある。つまり、『油断したら死にますよ』という意味の別名だ。

 しかし、それほど深い感じはしない。足を踏み入れても股下まで濡れる程度の深さだった。


 ジョーは一度後退し、振り返ると――「ここが(ふち)だ、カティアやフィフィには辛いから十分注意しろ!」と大声で警告した。

 川のせせらぎ音ではなく、渓流なのでそれなりにうるさい場所である。

 聞こえた確認でカティアが手を上げた。

 ジョーは確認を終えるとさらに進んでいく。砂地になった川底であるが、魔力操作で足裏にスパイクをつくり、しっかりとした足取りで前に進んでいた。

 スグに浅瀬に辿り着くと、そのままバシャバシャと音をたてながら、対岸に到着する。


 スグに棒を持った手を上げ。むこう岸で見守っているカティア達に合図を送った。

 今度はサイリアが手を上げている。ジョーに次の行動の合図だ。

 身体に回していた縄に金属製の滑車を巻きつけながら取り付け、そのままカティアとメリーダが縄を回していく、対岸に居るジョーも手伝い、金属の滑車は川辺の上をスルスルと移動していく。

 滑車がジョーの手元につくと、今度は縄から取り外し、適当な木を見つけ、金属滑車の先端についている留め金具を(はさ)み、木々に固定させ、縄を一度解いて、滑車の車輪に通していく、再度結び直し、結び目を確認し、同時にたるみの調整をしたらジョーは振り返り、サイリア達に手を上げ「いいぞ!」と合図を送った。


 サイリア達は対岸にある木々に同じ様に滑車をセットしていくと簡易的ではあるが命綱兼用の荷物送り装置が完成した。




渡河訓練です。

渡る方法はいくつかあります。

スクラムを組みながらとかでもいいです。

魔術が使える方なら、方法の幅は広がります。ですが、長距離移動訓練ですので、その辺を加味していく感じです。

実際にはもっと細かい感じで渡る、渡らない判断をして、道を探していく形ですかね?


自然、なめてると死ぬぞ――と誰かに言われた事がある作者でした。


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