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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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挑発口撃3

 ジョーとメリーダはお互いに向かい合い、先ほどのカティアとフィフィと同じ様な態勢を整えた。


「それじゃあ、いいかな、メリーダ?」

「はい、お手柔らかにお願いします」

「まぁ、単純な実演だ。俺が一方的に言うから、メリーダは受け流す感じでいてくれ」

「はいッ!」

「そんなに、緊張しなくていい……、それじゃあ、カティアにフィフィも、よく見ておくように」

 ジョーはサイリアと一緒に岩に座っているカティアとフィフィを見た。

「はい、見学させてもらいます」、「おねがいします」

 そんな返事が返ってくる。

 しかし、仲の良い返事では無く、フィフィとカティアの間にサイリアが入っている。

 少し泣き顔のままのフィフィをサイリアがやさしく介抱し続け、少し関係の壊れたフィフィとカティアの間に入り、彼女がやさしく(あいだ)を取り持っていた。

 ――先ほどの挑発行為の訓練で、関係の修復は果たされていない状態だという事は誰が見ても明らかである。

 カティアがチラチラとフィフィの方を見ているが、フィフィは目を合わせようとしない。


(時間が2人の関係を修復してくれると信じよう……)

 ジョーは目線をメリーダに戻す。

 気を取り直し――

「よし、じゃあ、いこうか。まずは基本的に行こう。……『何だっ! その構えは、下手くそめッ!』」

 ジョーは、いきなり大声で声をかけた。

 メリーダは一瞬身体を硬直させる。


「……この挑発の意味は、『自分の方が腕は上だ』と言う事を暗に示している。これは愚弄と威圧の両方を兼ねている。相手が怒ればそれはそれで良く、気が畏縮(いしゅく)すれば威圧の効果を生むからだ。カティアの先ほどの失敗は、挑発するポイントが、相手が知りえない部類の話しであるという事だ。ネタである話しが身近過ぎる。これはこれでいいかもしれないが、もっと表面上の事で分かりやすい事などを取り上げる必要がある。あとは大声が重要だ」


 ジョーは自分が使った言葉の意味をカティアとフィフィの方を向いて説明した。

 カティアとフィフィもジョーの説明を食い入るように聞いていた。


「それじゃあ、次だ、威圧についてもっと詳しくやってみよう。では……、『キサマ……、負けたらどうなるのか分かっているのか?』」

 ジョーは目線を下げ、(なぶ)るようにメリーダを視まわした。

 メリーダは身体に悪寒が走る。


「この意味は、未来の様子について連想させる事で、相手のいきりたった感情をなだめ、悪い事を予感させて実力を発揮できないようにする。それがこの言葉の意味だ」


「師匠、負けたら、メリーダはどうなるんですか?」

 カティアはジョーに質問をした。


「う~ん、まぁ、この場合には……、(あん)に身ぐるみ剥いで奴隷にするか……、まぁ、『身体を売るぞ』って事になる」

 ジョーはなんだかんだで、濁しながらカティアに伝える。

 言葉を選びながら――。


「師匠、それって、『セクハン』ではないでしょうか?」


「……まぁ、そうだが……でもなっ!」

 ――ジョーは急に強い口調で言い出した。

「――、実際の戦闘では、卑猥(ひわい)な言葉が有効となれば、ドンドン飛び出すし、“セクハン”を気にする方がおかしいと思わないか?」


 ――ジョーの逆の問いかけに、カティアは難しい顔をした。


「そうですけど……、そかなぁ~?」


「思うんだが……、普段慣れてない言葉に動揺し、負ける事があってはいけないと思う。不動心と言ったが、その程度のセクハン発言に過敏(かびん)に反応してはダメじゃないか? 実際に女性が男性に対する偏見も入ると思うんだが、もしもの時に、そんな場面に遭遇(そうぐう)するかもしれないだろ?」


 ジョーは辺りを見渡し、女性陣に意見を求めた。

 ――しかし、それぞれが渋い表情をしている。


 訓練とはいえ、セクハン発言の容認はどうか?――という思いと、ジョーの言う、もしもの時の為の訓練であればいいのか?――という思いが交錯(こうさく)しているようだ。


「まぁ、これ以上は言わない方がいいなら、次に行くけど……、メリーダはどう思う?」

 ジョーは相手役のメリーダに意見を求めた。


「は、ハイッ! 難しい問題ですが……、訓練の一環であれば、“いい”と私は思います。確かに過剰に反応してしまって、その時に問題が起こってしまうよりは、知っておいた方が将来的には有利であるとおもいますが……」


 メリーダはそのように承認してくれた。


「他はどう思う?」

 ジョーは辺りを見渡して見る。

 ――サイリア「賛成」、フィフィ「決められず」、カティア「決まらず」といった意見になった。


「どうするかなぁ~、でも、1つの意見としては賛成が多いな……」

 ジョーはそのまま悩んだ。


 しかし――すぐに「やるか、やってみよう」と自ら申し出る。

(コレは一連の講義だと思えば、重要だろうな……)

 ジョーは決断した。

 この世界には戦闘教育に関して、ああしろ、こうしろという明確な基準は設けられていない。特殊な事例に関しての基準判断機関がないのだ。冒険者学校でも、そのような対処方は教わる事はない。

 その為、各人が頭を使って考え抜くしかないのだ。


 そうして――メリーダの了解を得て、ジョーの威圧編セクハン対策が始まった。


「まずは、こう言う……。『おい、きさま、負けたら奴隷小屋行きだ。それとも、オレの奴隷になっちまうぞ』」

 ――ジョーは少し卑猥な眼つきでメリーダの胸と尻部分を見ながら言う。


「次は、こうなる。『負けたら、きさまの大切な者は全部オレ様の奴隷にするからな!』、……これは、相対する相手に大切な者がいた場合に起こりうる事だ。自分のみならず、周囲の者をまきこんで高圧的言語で緊張させることだ」

 ――ジョーは目線をカティアとフィフィに向けて、最後にメリーダの方に演技っぽく言いだした。


 そうやって――演技をしながらの訓練が続けられ――ジョーの演技は(きょう)に乗る事となる。




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