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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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挑発口撃1

「『挑発口撃』……?」

 カティアはジョーの言葉を繰り返した。


「そうだ、挑発は相手を刺激してかりたてる事だな。大別すると、愚弄(ぐろう)(=あなどり、からかう)、威圧(いあつ)(=おどし、おさえつける)、(すか)す(=だます、おだてる)に分類できる。魔物には効かない対人戦闘用の技術だけどな」

 ジョーはそこまで説明した。

 指を3つたて順番にいって分類できる可能性を示した。


「師匠、どうやって、やるんですか?」

 さらにカティアは訊いてくる。


「簡単に言うと、愚弄の場合『なんだ、その程度の腕か、うすのろが!』と相手を侮辱する。威圧の場合『ハッハハ! 全く相手にならないぞ!』や『殺すぞ!』という感じで言う。賺す場合『くそ、全く歯が立たない』――と、いう風に隙をつく言葉を言う事かな」

 ジョーはそれぞれの言葉で演技をしながら説明する。

 

「師匠、それって、どう言う風に分けているんですか? 相手を刺激して何をするんでしょうか?」


「いい質問だ、カティア。単純に言えば“愚弄”は相手を怒らす事を目的としている。怒りで我を忘れると魔力操作の部分が甘くなり、素直に流れていきやすい――」

 ジョーはそこまで言って、いまいちど納得していない弟子達の表情を見た。


「――わからないか?」


 ジョーの問いかけに3名は無言で頷いた。


(そういえば、細かい魔力操作とか、繊細な操作の有効性についての話はまだ説明して無かったな……)

 ジョーは自身の失念部分を思い出す。

 弟子達には細かい操作よりも基礎体力の最大値をあげる訓練を優先させてきた。

 実際に繊細な魔力操作はそれほどやらせていない。

 


「まぁ、簡単に考えよう――」

 ジョーは両手で握りこぶしをつくる。

 魔力を集め、カティアの方を向いた。

 右手は魔力に溢れ、左はまばらで、ほとんど魔力が集まっていない。


「それでは質問をする。右手と左手、拳骨を頭に落とされるならどっちがいい?」


 その質問にカティア自然に頭を抑えた。

「師匠、暴力反対です!!」

 と、大声で言って身構える。

「安心しろ、何もしなけりゃ、暴力なんて振るわないだろ」

「本当ですか?」

「あたりまえだ、さぁ、どっちだ?」

「そっちぃ?」

 カティアは左手を指す。

「うん、そうだろうな。右は魔力を集めて威力が高い事は承知のはずだ」

 ジョーはそこまで言って握りこぶしを解いた。

 ――カティアも正解だとホッとする。


「――つまりだ、攻撃は右の方が高いのは分かる。しかし、通常においてそのような魔力操作をするものは未熟であり上位の術者は隠す事を前提として訓練している、それは攻撃する方を宣言しているようなモノだからだ、防御もしやすくなり、かわしやすくなる。しかし相手が本当に怒っている状態だと大振りになったりして隙も生まれる状態になるんだ。その為に相手を怒らす。威圧する場合には逆に焦らせる事で隙を生む、強気な事をいって押し込むような時に使うやり方だな、実力を出させないと言った方がいいかもしれない。賺しは混乱させる事を前提として言う言葉だ、また、隙を作ることで、その部分を攻めさせ反撃する時にも使われる。……ここまではいいか?」


「はい、師匠、1ついいですか?」

 フィフィは手をあげる。


「どうした?」


「いえ、怒ってしまう相手にすると、すっごく(たけ)り狂っているように攻撃をすると思うんです。その場合にはこっちが不利になってしまうと思うんですが……」


 ジョーの話を聞いて、フィフィはその場面を連想する。

 ――怒り狂う相手では不利になると思う。と、フィフィは考え、そんな時はどうすべきかと思う。


「なるほど……、そうとも取れる。だが、先程言った言葉を覚えているか? 不動心において、『あせらない』、『動じない』、『怒らない』、『(ひる)まない』と教えたはずだ。フィフィのその状態は怯んでしまっているので怖いと思うんだ」


「……わかりました、けど…」 

 フィフィは自信なさそうに頷く。

 不安が先行してしまっている様子だった。


「なるほど、怖くても、気を取り直して平然とすると言う事ですか? それなら出来るかもしれません」

 カティアは話しを聞いて楽観的に物事を言った。


「それが簡単に出来たら、だれも苦労はしないと思うぞ……」

 ジョーは呆れた様子でカティアに告げる。


「うぅ、そうかもしれません。でも、わたしなら可能かもしれません、まかせてください!」


「その自信はどっからくるんだ、まったく……。それじゃあ話しの続きでも言うか、自分でした挑発をして逆に返される事は多いという事を話そう」


「そうなんですか、師匠?」


「そうだ……、ある南部の言葉で『反計にのるな』と言う言葉がある。つまり、挑発口撃は未熟な者がやると、自身にふりかえって来てしまうのが難しい所だ。例としてこちらが『その程度の腕で、倒せると思うな!』と言ったとする。これは愚弄をする言葉だ。その時に相手が『はははッ、何を言っているんだ、バカめ』なんて愚弄する言葉で返される事もある。そこで逆上してしまう者もいるのだ。それこそが“反計に掛かる”という。実は自身の言葉を逆手に取られ、怒り狂う事もあるので注意が必要となる」


「師匠、何も言わない方がいいって事ですか?」


「いや、そうじゃない。言われても動じずにいる事が大事なんだ、そう言っても、実際に平然としている事は難しいんだけどな……例として――」

 この後――数々の戦場の記録では、言葉1つで大敗した例を出して、ジョーは説明をしていく。

 挑発行為をする者は不動の心を持つべし――と、教えていくが弟子達は出来るかどうか、不安がっていた。


「ジョー師匠、挑発に対して何かいい方法は無いんですか?」

 ――フィフィは不安そうに尋ねた。


「う~ん、そうだな……。もっとも簡単な対処方は『無視する事』かな? 相手が言う事を取り合わない、聞かない、喋らないようにすればいい。そうすれば、愚弄も威圧も賺しも効かないだろうからな……」

 難しい顔をしたままジョーは答える。


「でも、聞こえちゃいますよね……、そうしたら、どうしよう……」

 話しを聞いて、フィフィは不安な顔になっていた。

 ――彼女は気弱な所がある。威圧的な事を言われたら怯えて魔術が使えない可能性もある事はジョーもサイリアも分かっていた。

 しかし、生存という極限の状態の時に怯えは死に直結する。

 他の者達も、“もしも”の時に冷静でいられるか?――という課題を残している為にジョーは、この訓練を進める事にしたのだ。


「フィフィ、その時はいっそ、歌でも唄っていればいい。むしろ大事なのは、相手のペースに飲み込まれる事だ。無視もするも、その方法だし、唄うのも1つの方法だ」


「ジョー師匠、唄えるか自身が無いんですが……」

 フィフィはそう言っている。

 カティアは「なるほど、唄いながら戦闘もいいですね」と、やる気を出していた。


「不動心っていうのは、相手のペースに持ち込まれない事なんだよ。心の中で何かを唱えてもいいし、何かを持って落ち着いてもいい、だがな、長々とやる事じゃないぞ、そこは気をつけような!」


 ジョーの言葉に弟子達から返事が返ってきた。


「後は慣れだな、とりあえず、やってみよう。やってみない事には始まらない」

 ジョーはそう言ってカティアとフィフィで挑発口撃の実演を指示する。




よくある挑発シリーズ。

「ママのおっぱいでもしゃぶってな」

「俺の肛門にキスでもしな」

「へへへ、もう逃げられねぇぜ!」

「ふふふっ、なにをやっている、私はここだ」

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