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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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招待される

 冒険者組合の敷地内に到着し、現地で解散をして、各自、普段と同じに帰路につく事が今までの流れだった。

 しかし、普段と違う、特にカティアは調子が悪く、そのままメリーダが近くにある屋敷から使用人を連れだって、近くなのに馬車で家に帰っていった。


「フィフィ、そんな心配するな……」

 ジョーはとりあえず不安そうにしていた彼女に声をかけた。

 彼女も頷いて、そのままトボトボと帰っていく。


(まぁな……いつか、こういう事もあるだろうな……)

 ジョーはそう思っているが、どうしようもない事だと考えて――そのままサイリアを連れて冒険者組合の建物内部に入っていく、ジョー達は冒険者組合に寄せられた最新の情報を得るために寄っていく。

そして――その日は、そこで終わった。


***


 2日経ち――訓練日19日目。

 集まった場所にはカティアが元気よくジョー達を迎えた。


「ジョー師匠、サイリア師匠、おはようございます。世界って気持ちいいですね」


 そういって、今までにない(さわ)やかなかけ声を第一声に出して近寄ってきた。

 生理痛も終わり、全ての痛みから解放された彼女を縛り付けるモノが無くなった。


(すっごい変わりようだな……)


 ジョーは笑顔のまま出迎えたカティアを見て思う。

 楽しそうにサイリアとフィフィと話している様子を確認して2日前の『世界なんて滅んでしまえばいい』と言った、同一人物だとは思えなかった。


 そうして――いつものようにジョー達の馬車に乗り、訓練場所にむかって町を出ていく。

 天気もいいので、爽やかな風が草原に吹いていた。


「そういえば師匠達は4日後の訓練の後はお暇ですか?」

 不意に――カティアは馬車を操縦するジョーと、その隣にいて補助しているサイリアに声をかけた。


「どうしたの、急に?」

 サイリアは振り向いて答える。


「いえ、お父様が2人を夕食会にご招待したいと……、そう言って伝えるように言われました」


 つまり、食事でもどうですか? という歓迎会の誘いだった。


(ほう、カティアの父さん、つまり、この町の領主か……、そういえば始めて会うな)

 ジョーは操縦する手綱をひっぱり、馬の速度を落とした。


「そうか、でも急だな……」


「はい、なにやら“話しがある”ような事を言っていました」


「そうか、夕食会か……」

 ジョーはそのまま考える。

 ジョーとサイリアは領主と面会は無かった。

 フィフィの父親と母親とは面識もあり話しをした事があるのだが、領主となればおいそれと合う事も出来ない立場の人間である。


 その方からの招待となれば――友達感覚で家に遊びに行くような事は出来ない。


「ジョー、どうするの?」

 サイリアは困ったように彼を見た。


「そうだな……、カティア、それってドレスコード的な何かはあるのか……」


「いえ、普段着で構わないと言ってしました」


「なるほど……、それは“いい服装をして来なさい”と言っているのと同じ事だな……」


「エッ、そうなの!」

 サイリアが驚く。

「どう言う事ですか、師匠!」

 カティアも驚いた。


「おい、お前ら……、私服でいいなら、わざわざ普段着でいいなんて言わないだろ? それって暗に脅しともとれる同調圧力があるわけだ。って、カティアは知らないってどう言う事だよ!」

 カティアは貴族の娘である。

 当然のように知っていると思っていた。

 そのため、ジョーは思わずツッコミが発動する。


「でも、わたしだったら普段着でいいならそのままの格好をします。だって、そう言っているんだもん!」

 カティアは当然のように普段着で行くといった。自信たっぷりに。


「でもな、そういう時、……例えば社交会的な何かに出た時はどうしてたんだ?」


「普段は、メリーダが用意してくれた服を着ています!」


 その言葉を聞いてジョーは何も言えなくなる。

(なるほど、この国の貴族っていうのは、こういう風に用意された服を着るのか、そう言う事に悩まされない生活な訳だ……)


 一般生活をしているジョーとはかけ離れた生活である。

 おめかししなければと思う事、それは庶民の発想であると思われた。


「それで、師匠達はどうするんですか?」

 再びカティアはジョーとサイリアの顔を覗きこむ。


「……わかった、行くけど……」

 仕方なしに返事をした。


「本当ですか! お父様も喜びます!」

「でも、急に了承して大丈夫か? ほら、返事だって4日後だし、それから準備って言うのも……」

 ジョーは気づかう、急に話題を振られて、急に決定しては準備期間が足りないのでは?――と感じる。

「あっ、大丈夫です。私が返事をしておきました」

 突然に、訊く前に了承をしていたと答えるカティア。

 確定しているような言い方にジョーもサイリアも驚いた。


(エッ、なんで、この子、すっごい)――ジョーはそう思う。

 サイリアも言葉を失っていた。


「おい、なんで、俺達が断らない前提で話を進めていたんだ」


「え~、だって師匠達は来てくれると信じていましたし、それに可愛い弟子の頼みだと聞いてくれる内容でしたから、それに師匠が買ってくれた服のお披露目(ひろめ)をしたいと思ってました」

 甘えるような声で答えるカティア。もう来てくれると始めから入れていた言い方だった。


「そうか……、もう、いいや。豪華な夕飯が出るんだろう?」

 ジョーは諦めて、カティアの話しに乗る。

 ここで「行かない」と駄々をこねても仕方のない事だと思えた。


「はい、それは保証します。サイリア師匠が作る料理とひけを取らない物をお出しすると……、(うち)の料理人の腕は最高ですから」

 カティアは自身満々で答えた。

 それと同時にサイリアの事もおだてていた。


(こいつは、世渡り上手な所があるよな……)――ジョーは静かに思う。

 

「もう、カティア、そういっておだてても……」

 サイリアは嬉しそうにしていた。


「本当ですよ、師匠の料理は美味しいです。そう言う事を、お父様にお話しています」


「そうかな……、えへへへッ」

 サイリアは嬉しそうな声を出した、顔を綻ばせている。


「なぁ、カティア。お前の父親にあった事ないんだけど、どんな人なんだ?」

 ジョーは不意に質問をする。


「お父様は、わたしにとてもやさしくて、いッ…つも相談事とか、話しを聞いてくれます。色々してくれるし、最高のお父様です」

 カティアは嬉しそうに説明をしてくれた。

 言い方に父と娘の親子の絆を感じる。


「いい父親のようだな、仲がいいのか?」


「はい、“お風呂も一緒”だし。寝る前に本を読んでくれます。そして忙しくない時には“一緒に寝て”くれるんです」


「そうか……」

(お風呂も? 一緒に寝る?)

 ジョーはカティアの言葉に引っ掛かりを覚えつつも、『まぁ、家庭の事情っていうのもあるからな……』――と、自己納得をして、話しを聞き流した。

 年頃の娘の父親とは思えない行動だが、母親のいないカティアにはそういう存在なのだと思う。


「そいつは、楽しみだな……」

 ジョーはそう言って、前方の進路を確認して馬車の速度を上げた。



やっとこの章の、終りに向かって動き出す準備ができました。

しかし、年の瀬までかかるとは……。

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