命をいただく4 【※グロ表現あり】
グロ表現があります。
見る方は注意してください。
内臓を切り終えた後で、少しだけ時間を置いてジョーは弟子達と一緒に台の上に置かれたモロモロの内臓の展示会をしていた。
その間にサイリアは水精霊を使い、丁寧に取り除かれた内側を水で洗い流し、細かい所の枝肉と脂肪を取り除く作業を代わりに行っている。
――ジョーはそう言って作業卓の上に置かれた部位を説明していく。
「さぁ、まずこれが先ほど紹介した“大腸”だ。人と比べて随分と長い事が解体して分かるな……、その隣が“小腸”だよ」
弟子達は青ざめる、表情をしていた。
「コレは“心臓”だな、隣は“肝臓”、“腎臓”、“脾臓”“肺”だ、特に水馬は肺が特殊に発達しているよく見ると4つに分かれているのだ、これは水陸両用で生活する為に進化したと考えられている。ココに繋がっている“気管”も特殊で首回りに……――」
ジョーの説明を聞いているが、弟子達は複雑な表情を続ける。
「――これが、“横隔膜”と“胃”だ。特に注目して欲しいのは胃袋が2つある事だ。牛は4つあるが馬は1つなので、中間のようだな……、これは水藻や魚、沢蟹などの植物と動物を食べ、消化する為の構造だと思う。 長時間お腹の中で消化する為に2つの胃があるのだろうという推測だな。詳しい事は学術書を調べないと分からないが、こういう特殊な環境だと進化している部分も分かれていくという良い例だ」
フィフィは、この辺で限界が来てしまい、そっと林の奥に駆けだした。
(あぁ、2人目だ……、カティアは耐えるな。 お前だって限界だろうに……)
ジョーはカティアの苦しそうな表情を見て思っていた。
「カティア、お前もそろそろ1回吐いてきたらどうだ?」
「し、師匠、貴族の令嬢は……、人前で“吐瀉物”なんて吐かないのっ!」
カティアは強気の姿勢を崩さない。
「そうか……」
(でもな、貴族は“ゲロ”なんて言葉使いをしないモノだぞ……)
ジョーは生温かい目をカティアに向けていく。
「――よし、ではフィフィがいないが続きを行う。あまり長い事放置すると肉が腐るからな……。ココからが水馬の特徴でもあるものだ……」
ジョーは、そのまま違う皿を取り出した。
「これは、“脂肪肝臓”と呼ばれる器官だ。純度の高い脂で出来ている。これを加工すると“ヒポッポ油”っていって町で売っている物に変わる。石鹸など美容に優れ、肌に使うと効果があるらしい。そして、これは“魔石”だ。まだ若い魔物だったので小さい」
ジョーはそうやって皿いっぱいには溢れた白い臓器を見せた後に手のひらサイズの魔石を見せた。
水馬は通常の馬よりも河口の生物なので、生存のために脂肪が多く、それを消費して活動していく。水の中でも身体が冷えないような進化をしていた。
その為に特殊な器官や身体つくりは生物上の進化ともいえる。
「――と、そんな訳で、大体の内臓器官の説明も終えた訳だが……、ここまでで何か質問があるか?」
ジョーはフィフィを除くカティアとメリーダに尋ねた。
2人は無言のまま首を振る。
もう、次にいって下さい――と、願っているようである。
「仕方ない……、それじゃあ、最後にとりあえず……、胃と大腸、小腸の洗い方の実演を……するか――」
そのまま、ジョーはサイリアを呼び寄せてさらに解体の次の段階を始めた。
胃の内容物を見せ、大腸内の“ウンチ”の除去、小腸内に水を入れ、ソーセージのように暴れ回るさまを見せつける。
その結果――カティアは始めて口を抑えて林の中に、メリーダも2回目のリバースタイムに突入してしまう。
***
「ウゲェェェェェェ…………――」
信じられないほど、口元から吐瀉物が噴出し、そのまま木々の根っこに栄養分を送っていた。
カティアは林の奥で、頭の中に記憶された光景を思い出し、反射的にそのような行動をしていた。
その光景はモザイク加工処理が必要であるので、ある程度――省略しておく。
(ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………)
思考が止まりそうな程、衝撃的光景の連続に途切れず、そのための反動がきていた。
感情の整理が追いつかないほど、赤味の帯びたお肉から出てくる、どす黒いグロデスクな内臓の説明に自然と脳が“吐き出せ”と命令をしていく。
「ひどい……」
自然とそんな言葉が出てくる。
それを見せたジョーに対してか、それとも、臓器の異様さを決定した神について言ったのかは定かではない、しかし、目は光を失い、元気のないカティアの姿がソコにはあった。
(あんまりよ……、冒険者になるのは……辛いのね……)
始めて目の辺りにした解体作業に感情の突起も無く、悟るような心境になっていた。
それもこれも、すべて吐き出して、身体の中が軽くなったようだ。
冒険者という憧れが、この修行期間に様変わりをして、そして、辛い部分もあるのだとカティアはうちひしがれる。
「はぁあぁ~ぁぁぁ~」
だた、そんな溜息しか出ない。
そうこうしている場所に――「お嬢さま、大丈夫でしょうか?」とメリーダの声が掛かった。
普段の彼女よりは青ざめた表情をして口元を押さえている。
「メリーダこそ大丈夫?」
カティアはそう心配する。
「えぇ……、なんとかではありますが……」
彼女も感情の起伏のない、落ち着いた様子というよりも冷めきった声を出した。
「よかった、メリーダがそんな風になるなんて……」
「……ご心配をおかけしました。私もなにぶん始めての事でしたので……」
「でも、当然よね……、腸が踊るっていうか、身体の中ってああなっているのだって思っちゃうと……、なんていうか、言葉に表現できそうもないモノを見ちゃったのかしら……」
「お嬢さま、私は……思いました、どこかで確実に行われている事でもあるのです。普段食べているお肉も、ああやって加工されているのでしょうから……」
「うぅん……、知らなかった……。いつもは出来た物だけ食べていたのね……」
「そうですね、では、そろそろ戻りましょうか?」
メリーダはそう言ってカティアに促した。
一瞬ではあるが、躊躇するカティア。
しかし、勇気を振り絞り歩き出す。
それは、カティア達が冒険者として、また違った1歩を踏み出したのかもしれない。
解体時のワンゲロはご定番です。
まぁ、はじめてやる事なので、しっかりと正確に描写していくのがいいのか迷いました。
もっと内臓の感じを2000文字位で書きあげようかと思いましたが中止です。
作者は事前に解体映像を見て勉強しています。しかし、その日出された焼き肉はしっかり食べました。
以外にも図太い神経をしておるな――と自画自賛です。




