命をいただく2 【※グロ表現アリ】
内容が屠殺(=牛や豚の解体のような事)の為に読む方を不快にさせる内容が含まれます。
十分に考慮し、熟考し、その後の責任は読まれている方自身です。
決して、作者に文句を言わないようにご注意下さい。(絶対だぞ!)
訓練14日目、その日は基礎訓練を早々に切り上げ昼近くから水馬の解体作業に入った。
四肢を切り落とされた水馬は木の枝と滑車、そしてフックのついた鎖で吊るされ空中にいる。
周囲は布張りをされ一応の区画がなされていた。その中で作業台の上にナイフを始めノコギリのような器具と鉄板皿が何枚も置かれて、地面には板と水の入った桶も用意されていた。
「それじゃあ、始めるぞ。まず始める前に言うが、このように食肉の解体は屋外では作業しない事だから今回は特別に行う事を言っておく」
ジョーはそう言って長めの皮手袋を両腕につけて先を革帯で縛っていた。そしてエプロンのような前掛けをしっかりと着ている。頭には作業頭巾を被り、衛生面も完全である。
隣にいるサイリアも動揺の格好をしていた。まるでこれから手術を施すように髪をしばりあげ、真摯な態度である。
「昨日の段階で“血抜き”を済ませてあるので、その部分は見せられないが、本来は喉を切り裂きすぐに血抜きをする事になる。そのまま解体現場では床に転がして四肢の切断を行う。そしてココから“皮剥ぎ”をしていく事になる訳だ。今回は見やすいように吊るしたままで行うので全方位から見えるのでよく見ておくように、では、始めよう……」
ジョーはそう言って向かい合って座っている弟子達に告げる。
カティア、フィフィ、メリーダは真剣な雰囲気を纏ったジョー達に押され。――「は、ハイ!」と大きな返事を返した。
「こっちの準備も大丈夫よ……」
サイリアの後ろから水精霊のウィンちゃんが待機している。
「始めよう……、サイリア、サポート頼むぞ」
「任せて……」
ジョーは腰から短刀を取り出す。
前日に綺麗に手入れをしていた刃がキラリと光っていた。
ジョーはまず木の台の上に登り、首が下に吊るされた水馬の死体の右後肢から切れ目を入れた。スッと皮にそって刃を入れていくとスルスルと滑るように進んでいた。
すぐに皮の端を持ち、引っ張ると、そのまま間に刃をいれていった。
そうして剥がすようなスピードで足回りの皮が取れていく。
同じ様に何度も刃を入れ込んでいくが、1回目と2回目の角度を変え、皮と肉の隙間に刃を通していくのは熟練の技を感じさせる。
そのまま、一気に足回りの皮を取り除いた。
「いいか、まずは解体時、皮をはぐ時は右側、左側と分けて向いた方がいい、今回は右から剥いでいく。まぁ、お前達から見たら細かい所まで分からないだろうけど、基本は半分半分のつもりでやる方がいいな……お腹周りにいくぞ……」
ジョーはそう説明して足回りから刃を入れ、すぐにお腹周りに紙を切るような速度で切れ込みを入れていく。
内臓を出すほど深く無く、ちょうど皮膚と脂と筋肉の層の間を切り裂いた。
そのまま、姿勢を屈めて、首元まで一気に筋を入れていく。
「よし、このまま足回りの所から剥いでいくぞ……」
そう言ってジョーは同じ要領で先ほど剥ぎ終わった足回りの部分の皮を引っ張り、隙間に刃を通した。
「経験の浅い奴はこの時ビビって多くの層間をとるけど、実際に水馬の皮膚は頑丈なので、強く引っ張っても破けないので安心してくれ。でも、短刀で皮膚を切り刻むのはダメだ……」
ジョーは作業をしながら注意事項を述べていく。
作業を開始してからカティア、フィフィ、メリーダは何故か背筋を正してジョーの作業を瞳で追っていた。
その間も絶えず短刀を動かし皮剥ぎ作業を継続していく。
剥がれた所から白黄色を帯びた脂肪の層とピンク色に近い赤身の肉か見えてくる。
「コツとしては赤み部分に沿うように刃を当てる事だ……、切れ味がいいから、一気にいける……。だが、始めてやる場合は慎重にやるんだぞ……」
次に右前肢の皮剥ぎに入っていく、少し屈みながらコレまた器用に足回りを剥いだ。
「出来るだけ、連続して一枚になるように皮を剥ぐと買い取りも高いから、綺麗にやるんだ……」
そうやってお腹周り、首回りまで皮を剥いで、ジョーは一度止まった。
「これが、皮剥ぎの作業だ……近くで見て確認してみろ」
ジョーはそう言って短刀を作業台の道具入れに置いた。
カティア、フィフィ、メリーダはそう言われて席を立ち上がる。
そして恐る恐る近寄っていく。
「し、師匠、黄色い色の部分は何?」
カティアはまず質問した。
「脂肪だな、腹の底とかに多くある、後は内側に水馬は溜めこんでいるんだ。水の中での生活なので栄養を溜めこんでいると言われている」
「赤い部分は肉ですね……」
フィフィが今度は尋ねる。
「そうだ…ずいぶんと血色がいいから若い馬だったな。これは美味しいぞ」
「皮を近くでみると綺麗に剥がされていますね……」
メリーダは感想を言う。
「あぁ、皮は剥がして塩水と石灰水に浸けこむと毛が抜ける……、だが、水馬の場合なめし皮のようにしなくても“ぬるみ”をとれば表皮は肌触りがいいからバックなどの高級品に変身する。特に丈夫だし、後は、どの程度表面についた脂肪を落とせるかで皮素材の質が決まるらしいな……。まぁ、そこは俺達には関係ない専門職の話しになる。品質も鉱石による薬品を使うか、植物からとれる薬品を使うかで柔らかさが違うらしい……」
「師匠、皮っていくら位で売れるの?」
カティアは唐突に質問をした。
「……わからん、査定官の話しによれば、時期とか需要と供給があえば高値らしいな。かなり時価ではあるが、人気だし銀貨……1,2枚かな? いや、もっと少ないかも……」
「結構、低いんですね……」――フィフィはそう感想を言った。
「まぁ、肉の方が高く売れるから“おまけ”みたいな物だよ。それよりも水馬の尻尾について何か思う事は無いか?」
ジョーはそう尋ねる。いわゆる、突然クイズ大会を開いていた。
「尻尾……?」
カティアはそう言って吊るされた肉塊の後ろに回った。
「黒いヒレみたいのがついている……魚見たい……」
「おぉ、近いぞ……、普通の馬と違う所はなんだ?」
ジョーはそう言ってニヤリと笑う。
「えっと……、ちょっと待って下さい……」
そうやって、カティアは駈け出した。まっすぐにジョーの愛馬のいる小洞窟に向かっていった。
周りの目も気にすることなく、素早く行動して、見ていく。
そして――「師匠、わかったぁぁぁ~ 尻尾が太いぃぃ~」と、言って大声で戻ってきた。
「カティア……、とりあえず不正行為で0点だ!」
「えぇえっ! ジョー師匠、酷い!」
カティアはせっかくの労力が無駄に終わり、ショックを受けた。
「考える事が重要なの! それで、太い尻尾とヒレで、どのような意味がある? 何をするんだ?」
ジョーは続けざまに質問をした。
「え~と、ねぇ……」
カティアの思考が止まる。そのまま考え込んでいた。
私達が食べている。鶏肉、豚肉、牛肉などの一般的な肉はこのように“色々”加工されているのです。
まぁ、多くの方が理解していると思いますが……。
(牛肉は木からなるとか、刺身が海で泳いでいるとか思ってませんよね? まぁ、背けてもいい部分ですけど……)
しかし、このような内容でもいつかは書きたいと思っていた事です。
その部分は――他に解体する人がいるので、主人公たちはやりませんからカットします。 とか、逃げる事も出来ましたが、実際問題、冒険者として普段の生活を考えた時に、その技術を習得していないのはダメなのでは? と、思ってしまったのが始まりです。
なので、その部分を書いていきます。
妄想されたくない方は読まない方が賢明です。




