↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
167/443

集団戦闘訓練3

「じゃあ、どこが悪かったのかわかるか?」

 ジョーはそう土で汚れて不機嫌に座っているカティアと、半泣き状態のフィフィと、落ち込んでいるメリーダを見て言う。


 第1回目の集団戦闘訓練は、その状態をみればカティア達の失敗であると誰しもが分かるほどの惨敗であった。


 あの後で起こった事を簡略化して表すなら。

 ――フィフィが周りを囲まれ、焦った状態で魔術攻撃を乱射。

 ――メリーダは土人形(ゴーレム)の集団に潰され。アウト!

 ――カティアはメリーダを助けようとするが、その後来たゴーレムの集団に囲まれてあえなく身体ごと潰され。アウト!

 ――フィフィは残ったが、カティアとメリーダが脱落した為に余った土人形(ゴーレム)集団がフィフィに集中し、復活した分も増え、そのまま辺りを囲まれ、悲鳴を上げながら――脱落してしまった。


 と――こんな経緯で全員が倒されてしまい、所要時間約6分ちょっとで決着がついてしまう。


「師匠っ! 土人形(ゴーレム)が強すぎると思います」

 カティアがブスッたれた顔をジョーに向け、不満そうにそう言った。


「おいおい、強さなんて聞いてこなかっただろ? 実戦だとまずは相手の強さを調べるのにカティアはすぐに単独で突っ込んでいったよな? アレはダメだぞ!」


「だって、ゴブリン程度の強さだと思ったから……、投石するし、身体が以外に硬いし……」


「実戦でなくて良かったな……。魔物が特殊な能力を持っていないってどう考えたら、そう思うんだ? カティアは思いこんで突っ走り過ぎだ、もうちょっと慎重なって考えろ……」

 ジョーは呆れながらそう言う。

 実戦において魔物が決まった動きで“お利口”に“分かりやすい”攻撃など無い。

 それに、知能が低く、脆弱(ぜいじゃく)な魔物など、とっくに絶滅している可能性の方が大きい。

 生き残った魔物はその場で生きのびる何らかの能力をもっているのだ。


 なので、あえてカティア達には難しく卑怯な方法で実戦に近い環境を体験して欲しかった。

 ジョーに言われてカティアは渋い顔をしてその場で黙ってしまった。


(まだまだ、ガキだな……)

 ジョーはそう思いながら、フィフィの方を向いた。


「フィフィ、何か感じる事があったか?」


「はい、カティアちゃん達が居なくなって、一気に怖くなりました。誰も周りに居ないし、それに敵が増えて厳しくなりました」

 フィフィはそう答える。


「そうだな、誰か倒れたら他の者の負担が大きくなる。(ひと)りになれば、なおの事大変になる。だから3人で協力して動くんだ」

 ジョーはそう言うとフィフィは頷いた。


「次はメリーダだ、何か反省する事はあったか?」

 ジョーはそう言ってメリーダを見つめる。


「もう少し反応を早くして声を掛かればよかったと思います。数に押されて混乱してしまいました」


「そうだな、敵の位置や、相手行動を仲間に使える“声掛(コーチング)”は基本だ、特に今回はそう言う事が少なかった。例えばだ。カティアの知っている情報をメリーダに伝え、フィフィに伝えれば少しは動きが良くなる。そういう基本的な行動を忘れないようにしないといけない。戦闘が始まって経験も浅い状態では声を掛けあって進んでいく事は基本になる」

 ジョーはそう伝える。

 1人ずつ悪かった所を確認していく。


「はい、もう少し早く敵の位置を知らせていたらと思います」

「わたしも急に現れた土人形(ゴーレム)の事を伝えればよかったと思います」

 フィフィもそう言って同意する。


「そうよねッ、急に土人形(ゴーレム)が現れるんだもん! アレって卑怯だと思うの!」

 カティアは急に話しに入ってきた。


「カティア、標的の能力が分からない事なんて結構あるぞ。それに話しているけど普通種と亜種では能力も違う事がある。まぁ、それを分かってもらう為の訓練でもある」


「でも、ジョー師匠。急にゴーレムが出現したんですよ。アレって聞いて無いし、どうなっているんですか?」

 カティアは先ほどの事を思い返しジョーに質問した。


「おいおい、そんな事を聞いて答える訳ないだろ? ……と、言いたい所だけど、せっかくだから答えてあげよう。サイリア、説明してやれ」

 ジョーはニタリと笑いながら、まどろっこしい言い方でサイリアに話題を振った。


 ジョーの話しを脇で大人しく聞いていたサイリアが「わかった……」と言って手に乗っているノームに声を掛けた。


「それじゃあ、話すけど、実際に見てもらった方が早いわね。ノンちゃん、1体こっちに持って来て」

 サイリアがそう言うと「ピキュゥゥゥ……」という声とともに。ジョー達がいるすぐ近くに綺麗に整列されている土人形集団の中の1体がジョー達の近くに歩いていく。


「じゃあそのまま姿を消して、そしてカティア達の後ろに現れるからね」

 サイリアが説明すると――土人形は崩れ落ちるように地面に吸収されていき――そして――暫くすると静かにカティア達の後ろに姿を現した。


 ――驚きを隠せない弟子達。各自声を上げる。


「師匠、なんで?」

「そうだ、こんな感じで現れたんです!」

「これでは気配も察知できませんね」


「そう言うわけだから、こうやって移動したの」

 サイリアがそう言うと、土人形は静かにその場を去っていく。


「いいか、土人形達は地面を移動する。それは彼らの素が“土”そのものである為に同調できるからだ。つまり、静かに地面を移動してその範囲に現れる事も可能というわけだ。だから、やられても回復出来る」

 ジョーはそう言って先ほど行った訓練中の“ネタばらし”を行った。


「じゃあ、ジョー師匠。自由自在に地面から現れるんですか?」

 ――カティアは不満そうにそう言った。

「そうだ!」

「それって、卑怯だと思います」

「おいおい、俺達は何か質問があるか?――と言ったよな」

「でも、だってそんな事思い付かないし、答えてくれるなんて思わないじゃないですか?」

「違うぞ、カティア。冒険者の仕事なら事前準備の必要性は教えている。その土地の危険度、魔物の分布図と生態などの情報を手に入れても卑怯でも何でもない。実際に聞かれたら答えようと思っていた。しかし、カティア達は聞かずに開始した。それは卑怯ではなく自ら招いた“怠慢”いう事になる」

「うぅ~、でも、でも、まさかそんな方法で移動するなんて……」

 カティアは納得いかない唸り声を上げた。


「事前に知っている事と知らない事では対応の速度が違う。卑怯な行動自体、それは生きのびる上で決して間違いではない。危険な魔物に挑む時、無知のままでは生き残れない、閃きや発想の転換も、もちろん経験や情報もすべて同価値であると思う。今回の場合は土人形の投石攻撃や姿を地面に同化出来る事を知らなかった事が敗因の1つだ。実戦だったら命を落としていたな」


「わかりましたっ! 先ほどまでの勝負はこっちの“準備不足”です。ですから師匠、私達にゴーレムの能力を教えて下さい」

 カティアはそう強気にお願いをしてきた。


 それを聞いてジョーとサイリアは笑う。





敵の情報を事前に知っていてもまったく卑怯では無い。BY孔子。

とは言っていませんが――情報収集は大事です。

冒険者をする方は事前に地図を見て地形の確認をして、魔物の分布のチェックをする事を大半の者が行っています。

実際問題、何にも考えないで、「よし、冒険だ!」とかは思わないですよね?


その前の事前調査は特に重要かと思います。例として温泉を掘るときなど、勘で掘る人と地盤調査を行い、試し掘りを行い、周辺の確認を行う人ではどっちに投資しますか?という問題があるとします。

ほとんどの人は後者であると思います。確かにどっちも成功の可能性と失敗の可能性がありますが……、成功率でいったら断然後者の方が高いです。


と、まぁ、そんな風に考えたら事前の調査が出来るときにしておくのは当然だと思います。

もし、勘で掘る人は相当な強者思考の持ち主であると作者は考えています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。