↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
158/443

スライム襲来

「キャっあ! きゃあぁ~ッ!」

 元気な声が滝壺辺りの川に響く。

 それもそのはず、カティアとフィフィが水着に着替え沢で遊んでいるのだ。

 周囲も穏やかで特に変化も無く、訓練の汗を流す名目で水遊びをしている。

 カティアは赤い水着を着て、フィフィは水色の生地を基調としたものを着用している。

 身体は発展途上だが将来性はありそうな成長具合だった。


「お嬢さま、あまり深い所には行かないで下さい」 

 メリーダが母親のように注意した。

 黒い色の水着を着て一見地味だが、その布が現すラインはエロイ、熟し始めた大人の色気が出ていた。


「わかってる、大丈夫」

 カティアは満面の笑みで言葉を返す。

 完全に童心に帰っているのだが、子供と言えばその程度の年齢なのだから、この行動は普通と言えた。

 2人はじゃれあいながら水を掛けあう。

 また笑い声が響きあう。

 滝の音が心地よく流れ辺り一面は平穏そのものだった。


 ジョーはそのまま剣術訓練の為に近くの河原で修行を続け、サイリアは魔術訓練を終え、食事の支度と雑用に入っていた。


 そんな合間で、休憩を楽しんでいる。のだが――


[ボチャンッ!]と水面から音がする。


 カティアは魚でも跳ねたのかと振り向いた。

 ジョー達に教わった通りに(うけ)にかかる魚が多い。それは滝壺という事も関係しているのか、この周辺には魚が流れてくる事が多い。

 なので、なんの警戒もせずに魚だと思い振り向いた。


 しかし、カティアの目の前にいるのは魚では無い。透明そうで水面に顔を出す別の物体だった。


「きゃあぁぁああッ!!」

 カティアはすぐに悲鳴を上げる。

 目の前に現れたのは魔物――それも気味悪くネチョネチョと動く粘軟魔物“スライム”だった。

 モンスターランクはEランクの立派な魔物だ。

 水面に浮くようなスライムはカティアの方に動いてきた。


 カティアの声に反応してフィフィは動く。

「カティアちゃん、陸に上がろう!」


「お嬢さま、こっちにおあがり下さい!」

 メリーダからも声が掛かる。


 カティアとフィフィは[バシャッバシャッ]と音をたてながら水辺に上がろうとした。

 しかし、スライムはその後を追い掛ける。


 岸辺に上がりカティアは後ろを見た。


「なんなの、追ってくる!」

 その言葉の通りスライムも岸に上がろうとしていた。

 カティアをターゲットに定めたように追跡してくる。


「おい、大丈夫か!?」

 ジョーが風のように現れる。

 蛇腹刀を背負い、すぐにすぐに斬りかかれるように柄に手を添えていた。


「し、師匠っ!」

 カティアは喜び歓迎するようなニュアンスを持たせた大きな声を上げた。


 すると、――さらにカティアに近づくスライム。


「なんだ、スライムかよ……」

 ジョーは途端にテンションが下がる。


「師匠、追ってくる、追ってくるの!」

 カティアは興奮気味にジョーに現状をわかり易く伝えようとしていたが、焦っているのか主語が抜けている。


「落ち着けっ! スライムの前で余計な大声を出さない」

 ジョーは身体にしがみついているカティアに一喝した。


 その言葉でカティアを始め、フィフィもメリーダも動揺が和らいでいく。


「いいか、静かに移動する。俺の後ろに来い……足音を立てるな」

 ジョーは手でハンドサインを出しながら弟子達に指示を出す。

 カティア、フィフィ、メリーダは言われた通りに緩やかに行動をし、静かにジョーの後ろに回った。


「そのまま動くなよ……」

 ジョーはそう言って蛇腹刀を抜くと、足で地面を叩く。


 スライムはカティア達が騒がなくなると――途端に動きが鈍っていた。

 しかし、ジョーの足踏みの音に反応して静かにジョーの方に向かっていく。


「あれ、なんで?」

 カティアは呟いた。


 スライムがジョーと一足飛びの間合いに入るとジョーは動きを止める。


 すると、スライムの動きも鈍くなった。


 ジョーは小刻みに地面を剣で打ちつけると、徐々にスライムは動き出し、そしてジョーは静かに剣を構えると、スッ――と粘液体のようなスライムの身体に剣を入れる。


 突きとは違い荒々しさがなく、ごく自然に、流れるように水の中に切っ先が入っていった。

 すると、スライムの身体が極振動をして震えると、蛇腹刀の切っ先に、殆ど透明丸い核が姿を現し、そして粘液のような身体が崩れた。


「よし、終わり」

 ジョーは蛇腹刀を持ち上げると、スライムの核を手にとって、蛇腹刀を一回振るって先についた液体を地面に払った。



「師匠、倒したの?」

 カティアがジョーの声に反応して静かに質問してきた。


「あぁ、倒したよ」

 ジョーはスライムの核を空に見上げて中を確認していた。


 その言葉に一気に安堵感が漂う。


「カティア、スライム程度で騒ぐな」

 ジョーは振り返り、すぐに注意する。

「でも、いきなりだったの、急に水の中から襲ってくるんだもん」


「おいおい、スライムは『討伐方法が確立された魔物』だぞ。学校で教えられただろ? スライムには目と耳が無い、その為身体の中にある核で振動や魔力を感知し、行動を起こす。そして対象にぶつかったら粘液膜を広げて包みこむ行動をする――と」

 ジョーは冒険者なら知っていそうな知識を説明する。


 カティア達は何かを思い出したかのようにハッとした表情を浮かべた。


「忘れていたな……」


「違うもん、初めて見た魔物で、急だったし、動揺して思い付かなかっただけっ!」


「それを、世間一般には忘れていたと言うんだよ。声を出したから追って来たんだ、こんな時こそ冷静に言われた通りの事を思い出して行動しろと何度も言っているよな」


 ジョーの言葉にカティア達は返す言葉も無かった。

 フィフィとメリーダは落ち込んで下を向いてしまっている。


「ウウッッ……」

 カティアは(うめ)き声をあげて、悔しそうな表情をした。


 ジョーはヤレヤレという表情を浮かべ、間違いを犯した弟子達を見る。


「今日は失敗したけど、明日から同じ様な失敗はするなよ……。じゃあな。」

 そう爽やかにいって、ジョーはどこか満足気な表情を浮かべ、去っていく。


「師匠……」

 カティアはその背中を見ていた。

 弟子を助け、颯爽(さっそう)と去っていくジョーの後ろ姿に憧れの目線を送る。


 しかし、――誰も知る事は無い。

(いや~、スライムが来て、メリーダの際どい水着が見られるとは……)と、ジョーはどこか満足気に元の場所に戻っていった。



まぁ、前フリ的な話です。

やっておきたいのは冒険者の立ち位置と、文明の進化についてです。

次回からそんな話を数話していきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。