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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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ジョー先生のお悩み相談 その2

「でも……、“また”足を引っ張っちゃうかも……」

 フィフィはジョーの言葉を聴いて悩みだした。


「“また”ってなんだ?」


「はい、その……、わたし……、その……、小さい事から……。すこし、おっちょこちょいで、みんなで遊ぶと仲間外れにされる事もあって、でも、わかっていたんです。自分が鈍いんだって……。遊びだって私が入ると負ける事が多くて……」

 フィフィは言葉を並べづらそうに告げた。

 その時の嫌な思いででも思いだしているのだろう。

 ジョーは(なるほどな……)と、どこか腑に落ちた。彼女の弱気もとい、慎重になり過ぎる傾向はその時に始まったのだろう――と、どこか考え過ぎで、行動も気持ちも弱気で、カティアに引っ張られてばっかりの彼女である事に。


「フィフィは……カティアが好きか?」

 ジョーは唐突にそう質問した。


 フィフィはジョーの顔を見て、段々と顔を赤くして、頷く。


(あれ、友達的に好きだという意味だと思ったんだけど……)

 質問したジョーは何故か意図が外れて、少し考えさせられた。


 すこし間を開けるように咳払いをして。


「まぁ、……な、カティアも元々は独りっきりで過ごしてきた奴だ。この町の貴族の娘でもあるわけだし、小さい頃から周りとの距離があった。始めの頃は素直じゃなくて……、どこか皮を被っていたよ。トゲトゲしていて、どこか寂しがりだった。でもな、俺達が遠征に行って返って来たら前より明るくなっていた。そしたらカティアの奴、お前を紹介してきたよ。すぐに思ったね、カティアは変わったって、本来の明るさが出てきたと思った。強気で我儘な奴だったが、フィフィといて変わったと思っている」


「そうなんですか……。そういえば、学校でもカティアちゃんは独りだったかも、だれもカティアちゃんに近寄りがたくって……」


「そうだな、大人でも、子供でも、どこかで委縮しちゃうもんなのさ。でも、フィフィは近寄っただろ、なんでだ?」


「……それは……、どこかでお話したいなぁ~って思っていたから……。だから勇気を出して話しかけてみたんです。そしたら色々教えてくれて、お弁当を一緒に食べるようになって、授業も一緒に受けるようになって、皆で話しをするようになりました」


「じゃあ、それはフィフィの“勇気”がカティアを変えたと言えるな。フィフィは自分から進んでいって仲良くなった。運命を変えたと言っていい事だ」


「でも、わたし、そこまでの事をした訳じゃ無くて……」

 両手を振りまわし否定する。


「いいや、変わったんだ。カティアは倒れたフィフィを見て“守る”って言っていたろ。大切な者が出来たんだよ。友達って奴だな、カティアはフィフィが変えたと言っていい。カティアは変わった。それにフィフィも変わっていると思う、こう言う風に相談する事は自分が変わりたいと願っているからだ」


「そうでしょうか?」


「そうだと思う。それにフィフィはいま、何歳(いくつ)だっけ?」


「じゅ、13歳」


「ほら、若い、それなら……いくらでも成長出来るし、いくらでも自分を変えられるぞ。成長すればフィフィが落ち込む事でも何でもない。修行は成長するためにあるし、師匠である俺達に頼れ、何回でも倒れていい、守ってやるから、なっ」


 ジョーはフィフィの頭に手をあてて、クシュクシュと撫でた。

 フィフィはまた顔を赤くする。


「でも……、私でもできるかな……」


「“でも”じゃない、フィフィは自身を持った方がいい。『何かを成し遂げる者は自分を信じている者』だ」


 ――フィフィは2度頷く。

 ジョーはフィフィの頭から手を離し、「そうだ、出来るぞ」と言った。

 そして、消えそうな焚火に薪を投げ込む。


「フィフィ、いいか? 魔術でもなんでも自分に自信を持つ事が大事だ、どんな時でもだ。周りを魔物に囲まれている時でも“やれる”、“できる”と思ってしまえば案外出来てしまうもんだ。“出来ない”、“負ける”と思ってしまえば、その通りになってしまう」


 ジョーは火箸で薪を火の奥に入れる。

 フィフィは真剣にジョーの話を聴いていた。


「それじゃあ、フィフィ、先ずは目標を決めよう」

 ジョーは焚火の調整が終わると、フィフィにそう告げる。

「目標ですか、師匠?」


「そうだ、まず明日中は『無理』と『出来ない』を言わない事だ」


「それだけですか?」


「そう、まずは小さく行こう。それを何年も積み重ねてみろ、10年後には大魔術師と呼ばれているかも知れないだろ?」

 ジョーはまた、ニッコリと笑った。


「は、ハイ」とフィフィも笑顔を返す。


「そうだ、積み重ねていけば変わっていくぞ。いいか?『成功している者、全ては努力している』。フィフィだってそうなれるからな」


 先ほどより、フィフィの目が輝いているようだ。

 頷きながら嬉しそうにしていた。


「じゃあ、もう遅いから寝ろ。身体も温まっただろ?」


「はい、コレ飲んだら寝ます」


 フィフィは少し冷めた白湯を一気に飲んだ。


「あぁ、そうしろ……」

 ジョーはそう言って焚火の火を管理している。


 そうして、フィフィが立ち上がると、チラチラと外を見出した。


「なんだ、便所か?」

 ジョーの問いかけにフィフィは頷く。


「ランプ、持ってけよ」と、言って、ジョーは本を読むように用意していた手元のランプを渡した。

 フィフィはそれを受け取ると、また、ソワソワしだした。


(んッ、なんだ……)

 ジョーは思うが、すぐに答えに行き着く。


「付き添いが欲しいのか?」

 ジョーの問いかけにフィフィは頷く。


(カティアと同じだな……)

「洞窟の前までだぞ」

 ジョーはそう言って立ち上がり、蛇腹刀を背負った。


***


 ジョーはそのまま洞窟の外でフィフィを待っている。

 夜空の星は殆ど見えないほど雲が掛かっていた。


 ジョーは欠伸をしながら夜空を見上げている。


「ふぁ~、眠いな……」

【ジョー、さっきまでの説教は見事だったな、多少、芝居がかってはいたが……】

「おい、激励と言え、助言(アドバイス)と言え、それに師匠としてだな、そう言う風に言わないといけないんだよ」

【まぁ、細かい事はどうでもいいだろ? それよりもお前も変わったな……、“昔”のようにギラついていた頃のお前ではないぞ】

「そりゃどうも……」

【あぁ、そんなお前に褒め言葉を送ろう。『ロリ野郎』とな……】

「なんだよ、“ろりやろう”って?」

【昔に教えてもらった言葉だ……。意味は……小さき者に優しい者だったかな?】

「おい、随分と曖昧だな。それになんかムカムカする言葉だぞ“ろりやろう”ってのは」

【うむ、もしかしたら『ペド野郎』だったかもしれない。まぁ、良く知らんが、とにかく褒め言葉を送っておく】

「ありがとよ、スネーク」


 ジョーがそこまで行くと、ランプの灯りがフラフラと闇夜に揺れて近寄ってきた。


***


「おやすみなさい、ジョー師匠」

「あぁ、フィフィ」


 そんな、挨拶を交わしてフィフィは寝床に戻っていった。

 そして、ジョーはまた本を読みだす。


(良かった……、読んでいて)

 ジョーの見ていたページのタイトルは『迷った弟子に送る、やる気を出させるいい言葉、50選』であった。

 このページに3つ、ジョーが言った言葉と似ている文字が羅列されている。

 しかし、偶然かどうかは誰も知らない。





なんとなく、幼い子の相談とは小さな悩みですが、本人にしたら大きな悩みなんでしょうね。

徐々にではありますが、人間関係がわかってくればと思っています。

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