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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第5章;弟子達との修行
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訓練・川下り

(よし、いい感じで割れた)とジョーは納得した。

「いいか、この訓練の終わりに最低でも岩を割ってもらう。剣でも魔術でもいいから、この位の攻撃力を目指して貰うぞ」

 ジョーの説明にカティアもフィフィもメリーダも呆気にとられている。


「す、すご~い、師匠、手で岩を割るんだ」

 カティアはすぐに行動を起こし、全力で拍手を送る。

 それに釣られるようにフィフィもメリーダも同じ様に拍手を送った。


(うん、カティアは良い反応だな……しかし、師匠として厳しく、浮かれた行動はとらない様にしなくては……)

 弟子の前で格好をつけられ思いあがらない様にジョーは固く誓った。


「ウッフォン! いいかな、これ位はDランクに上がれば大抵の者が習得している必須な技術だ。肉体強化魔術によって力を引き出し、魔力操作によって拳を硬化し、攻撃力の強化を行っている。それに岩は一見硬そうに見えるが、ある程度の衝撃で割れる。石工屋がノミで石を加工するだろ? 1部分でも割れれば、そのまま衝撃で一気に割れるんだ」

 1つ偉そうに咳をして――さも当然のようにジョーは説明した。


「でも……硬いですよね?」

 フィフィは恐る恐る言う。


「まぁな、でもこの位の硬さを破壊出来ない様じゃ、少し強い魔物に会っただけでなぶり殺しに会うだけだ。なりより岩よりも硬い魔獣もいるからな……鋼鉄なみの硬さで巨大な魔物なんかもBランク、Aランクの魔物に多いし、それに実際には硬さも関係無い厄介な魔物もいる」


「そうですか……」


「心配するな、フィフィ、その時の対処法のノウハウを俺達が教えるから、その為に訓練があるんだろ?」


「は、ハイッ!」


「よし、じゃあ、訓練を始めるぞ……」

 ジョーはそう言うと「ちょっと待って下さい、師匠!」とカティアは前に出た。


「なんだよ、カティア?」


「そのまえに、私にも岩割に挑戦させて下さい!」と自身満々に言ってきた。


「なんだよ、急に、まだ無理だって」と、ジョーは困り顔で予想を言った。


「いえ、やってみない事にはわかりません!」とそれっぽい正論を述べるカティア。


「お嬢さま、無理ですよ、怪我をしますから」

 メリーダは心配そうにカティアに近寄り諫めた。


「大丈夫よ、メリーダ、冒険者になったら怪我の1つや2つは当たり前だわ」


「ですが……」

 メリーダも困ってしまう。


「いいからやらせてみせよう、カティアはこうなったら言う事を聞かないから……」

 ジョーはこれまでの経験とカティアの性格を考慮してメリーダを説得させた。


「カティア、無理しちゃ駄目よ」と、サイリアも心配の言葉をかける。


「大丈夫ですよ、見ていて下さい」

 カティアはそのまま近くにある自分よりも大きい巨岩を目の前にして、笑みを浮かべた。


「カティアちゃん、ガンバレー!」と、フィフィは声援を送る。


「まかせて、こんな課題すぐに終わらすから!!」

 と元気よくそう言うと、カティアは構えた。ジョーが護身用に教えた正拳突きの構えをした。

 構えると右手に魔力を集めるように集中し始める。

 先ほど、ジョーがやっている事を真似ていた。


(たしか……魔力を固めて、右手に力を込めるのよね)と確認するように心の中で繰り返す。

 次第に魔力が集まり固まるのを感じると――。カティアは「ハッ!!」という声と一緒に踏み込んで、腰を回し、肩と腕を連動させ見事な突きを巨岩に放った。


[ゴスッ……]と音がして――すぐに身体を震わせたカティアは「イッタァいぃ~~!!」と大声を上げた。


(やっぱり……な)と、ジョーは思いつつ、勢いよく放たれた突きだけは評価した。


「お、お嬢様ッ!」と言いながらメリーダは飛び出し、フィフィも心配そうに見守る。半泣きのカティアにサイリアも近づいて回復魔術を施していった。


 なんとも予想とおりの結果となるカティアの岩割りの結果だった。

 

***


 一時騒然としながらも――なんとか落ち着きを取り戻したジョー達は、この後やろうとしていた訓練を早速開始する。


「じゃあ、これからやる訓練を始める『渓流上りだ』。カティアの希望していた川遊びも含まれるぞ!」とジョーは威勢よく言う。


 治療を終えたカティアを始め、フィフィもメリーダも訓練前に背負い籠を担いでいる。

 “防虫灯火草”を入れていたモノを訓練に利用する為に一緒に持って来ていた。


「師匠、その前に質問です。この背中の籠は何のためにあるんですか?」

 とカティアは素朴な疑問を口にする。


「あぁ、こいつは……」

 ジョーはそう言いながらしゃがみこんで河原に落ちている拳大ほどもある石を持ち上げる――とそのまま背中の背負い籠に投げいれた。

「こうやって重しに使う。河原だから石はいっぱいあるからな」とニヤリと笑みを浮かべた。


 3名の弟子はその意味を察する。――背中の背負い籠一杯に石を入れられたら、それこそ相当な負荷がかかる事は想像出来る。


「今日は5個位を入れて始めるぞ、その前に武器を降ろして、靴を脱げよ」と命令するジョーだった。


 用意が出来て――。

 カティアたちは服のまま川の中に入っていった。

 外ではサイリアとスネークが「無理しちゃだめよー!」、【初日で潰すなよ】と声をかけていた。見張りの為にサイリアと生命武器(スネーク)は周りの見張りでソコにいる。


 互いの籠に小岩を入れ合い、早速ジョー達は川の中に入っていった。


「いいか、訓練中といえども魔物の襲来の可能性もある。訓練中は必ず動ける者を1人つけ周囲を見張るんだぞ」


「「はい、師匠♪」」と弟子たちから元気な返事が返ってきた。


「カティアちゃん、水冷たいね?」

「そうね、それに足の裏がツルツルする感じ……」

「川底にある石の苔ですよ、お嬢様」


 楽しそうに渓流沿いを川上に向かって進んでいくジョー達は修業とは思えないほど楽しそうだった。

 ジョーはそのまま川中心部に進んでいく。


「本当は革靴を履きたいが今回の川上りでは禁止する、それに訓練中は丈の長い服を着る事。これは山の中でも同じだぞ」

 ジョーは注意事項を言いながら、――膝下まで川の水が流れている。


「それに山でも訓練するが、その時も基本は丈の長い服装だ。毒草にふれるとかぶれる可能性や、木の根っこで転がる危険もあるから肌の露出は厳禁だぞ」


 ――腰下まで川の水が流れていく。


「この訓練はあそこの滝つぼの近くまでいって、その後で反対方向に戻って、赤い木が生えている巨岩の辺りまでを往復する。距離は1往復で……大体1650尺(=500メートル)位かな」


 ――腰上まで川の水が流れた。


 そのあたりでジョーは後ろを向いた。

 カティアもフィフィもメリーダも急に苦しそうな顔をし始める。


(あぁ、そろそろキタか……)

 ジョーは、この訓練の意味を初めて理解した弟子たちに笑みを浮かべていた。

 川の水は進行方向とは逆向きに進んでいく、それに水を含んだ服に、籠と重石による加重と水の抵抗も加わり、川底に引き込まれるような重力を感じていた。

 ジョーが説明する間には意味をなさなかった物がココにきて一気に意味をなしていく。


 踏ん張りの効かない川底でふらつき、常に前に重心を持ってこないといけない状況で身体全体の力を使っていた。


「じゃあ、このまま行くぞ。軽い修行だ。喋りながらでもいいぞ……」とジョーは意地悪く言うと前に進んでいく。まるで弟子たちの心情を知っているかのように。





訓練とは自然を利用する事である。

亀仙流の亀の甲羅背負おうしようとしましたがが周囲に海はありませんので籠+岩です。重さも変えられるすぐれものです。


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