装備論!
ジョー達は強化合宿に向けて買い出しに出ていた。
昼からではあるが商業区画は慌ただしく人が行きかう、その石畳で舗装された道路にジョーとサイリア、カティア、フィフィの4人は歩いていた。
普段の服装と違い、それなりに女性陣はオシャレをしている。ジョーは普段着に長剣だけで変わりがない。
蛇腹刀は家に置いている。文句は言っていたが、やはり重い大剣は町中では移動しづらいのもあり、生肉の土産を買ってくるという例の如くお約束をして家に残していた。
メリーダは家の仕事の都合で一緒には来る事が出来すにいるので、子守もジョー達が兼業している。
「ねぇ、フィフィちゃん、あそこに何か売ってる? 見てみようよ」、「わぁ! なになにカティアちゃん」などと2人は楽しそうに買い物をしていた。
ジョーは木の背負い鞄を持って、買い物をした荷物を運んでいた。
サイリアは駆けだす2人に注意している。
――まるで、家族のような一幕ではあるが――荷物持ちをさせられているお父さんにも見える。
昼過ぎの通りは飲食店からの行列も疎らになり始め、露店での買い物客が増えていた。
ジョーは見ていた。注意しにいったサイリアもつまみ食いのように食べ物露店で一緒に食べる姿を。
(俺の事。忘れているよな……)――と寂しい気持ちになりながら仕方なく傍まで歩いていく。
そんな行動を繰り返しながら一行は“ある店”に向かって歩いている。
路地に入り、手慣れたようにサイリアが先導していた。
そう、ジョー達の御用達の店『トム爺の店』に行くのだ。
店の前につくと、普段と変わりなく冷やかし禁止の看板が立ててある。
その店の扉をカティアは勢いよく開ける。
すると、すぐに「らしゃ~~い」――と、ジェイロのやる気の無さそうな声が響き渡る。
「わぁー! 武器多い、防具多い!」
カティアはテンション高めに見渡した。
「そりゃそうだ、装備品を売っている店だから、無いとダメだろ」と、ジョーは後ろから駆けつけてカティアにツッコむ。
「ジョーさん、いらっしゃい。なんですか大人数で、隠し子ですかぁ?」
カウンターに座りながらジェイロは軽口を叩く。
「なんだよ、いきなり。隠し子って歳でもないだろ? 弟子だよ、弟子!」
「そうなんですか、弟子をとったんですか~、時は流れますねぇ~」
「まぁいいや、荷物置くから見てくれ」
「は~い」
とやる気が感じられない声が響く。
まぁ、いいや――と言う感じでジョーは店の中に入っていく。
店内には冒険者風の男女数名が真剣に装備を物色していた。
そして、いつものようにジャイロの座っているカウンター近くに寄ると荷物を降ろしていく。
ジョーの普段通りの行動と対照的にカティアとフィフィは店内を興味深く見回っている。
初めて訪れた武器防具屋に興味津津の様子だった。
カティアもフィフィも冒険者学校御用達の簡易装備しか身につけておらず。専門店など初めて訪れた為だ。
《※カティアの装備は家で採寸して御用達の商人が届けている》
ジョーは身軽になると、肩周りを回し、近くに居るサイリアを呼び寄せる。
「じゃあ、探すか……」
「どうするの?」
「まずは、フィフィの装備を探す。そしてマントも買わないといけないな。それに色々と入り用だ」
「ジョーさん、親方呼びます?」
ジェイロは唐突に話しに割り込んで来た。
「いや、先ずは自分達で品物を見させる。勉強だよ、品物の良し悪しが分かるように育てないと」
「そうですか、重要ですね。まぁ、そう言うことなら呼ぶのは止めます」
ジェイロは納得して、席に座りなおした。
(コイツは、気がきくのか……何時も不思議……)
ジェイロの姿をジョーは見ながら思っていた。大きく欠伸をしてやる気の無さそうな彼を。
***
ジョーはカティアとフィフィに声をかけ、店内にある、雑貨の区画に寄った。
そこで言い争いを始める。
「だから……『赤』ダメ! こっちの『茶緑』か『紺色』にしないと」
「え~、それじゃあ、地味、地味です、師匠!」
「アホ! 派手なマントを持って外にいってどうするんだ! 魔物に気付かれるだろ!」
「でも、でも、せっかくならこの色がいい!」
ジョーとカティアは長い丈のマント、それもフードがついて鎧の上からでも広がる幅のあるマントの色で言い争いになっていた。
店内にいる数名の冒険者もその様子を見守り、サイリアとフィフィもどうしていいのか分からずに黙って立っている。
「ダメだ。冒険者の基本は『黒系』って決まってるの!」
「ヤダ――! だって地味、地味、地味! 師匠、それにどっかの騎士団とか凄い派手じゃないですか! アレと同じ考えていきましょう!」
「あれは見栄だろ!? それに領分が違う、それに冒険者学校で習っただろ? 野外に出れば黒系、茶系の装備でまとめた方が無難だって!」
「そうだけど、やっぱ好きな色がいいと思います!」
「だから、ダメだって。隠れる時に目立つだろ……それなら……これはどうだ? 赤もある」
ジョーは棚にあった“メイサイ柄”を取り出す。ウネウネと黒、深緑、若干の赤と黄色が混ざった色をしている。
「ダサい……」
カティアは小さい声で唐突に暗い表情になった。
「おぉ……でもな、森とか林とかなら、こっちの方がいいと結果が出ているんだぞ……」
予想外の弟子のヒキにジョーも思わず躊躇った。自分もメイサイ柄はキツイと思うからだ。
「じゃあ、カティア。ここは多数決で決めよう。それならどうだ?」
「いいでしょう。多数決理論ですね。受けて立ちます」
「じゃあ、『赤』がいいと思う人手を上げろ」
ジョーがそう言うとカティアは「はい!」と思いっきり手を上げた。
「じゃあ、この『紺色』がいいと思う人手を上げろ」
ジョーがそう言うと、ジョー、フィフィ、サイリアが手を上げた。
「よし、3対1でこっちを買います」――ジョーは宣言するように言う。
「ちょっと待って、ジョー師匠! それにフィフィちゃんとサイリア師匠は何で裏切ったの?」
カティアは振り向くと気不味そうにしているフィフィとサイリアを見た。
「それね……カティアも冒険者続けていけば黒の良さに気がついていくわよ」
「ごめんね……でも先生も言ってたから『黒系』は汚れが気になりませんって。それに野宿の時に一番役に立つって」
サイリアとフィフィはそう言うがカティアはまだ諦めていなかった「ジョー師匠! 少数派の意見も聞くと言い事があります。少数派理論です。正解ではありません」と必死に食い下がる。
ジョーは無視して大きさを確認していた。
「それに、赤が売られているんですよ。需要があります。火山帯なら最も有効だと思います。師匠御再考を!」
サイリアがそこまで言うと――店の奥から人影が出て来て。
「そのとおりっす~! お嬢さん、いい事言ったっす~!」
と前かけエプロンをした。白髪のおさげをした女性が大声を出し、賛同してきた。
その後ろにはトムソーヤ(=トム爺)が金槌を持ってヤレヤレといった表情で歩いてくる。
ちょっち語りたい装備論。冒険者やるなら一度は語り明かしたい議論の1つです。
トムソーヤの店も久しぶりに出てきました13話位に『買い物日和』という話で出てきて以来です。
ちょいちょい話に入れていきたいと思っています。
後は迷彩柄の事ですが……自衛隊の方々すいません。分かっていますよ
作者も迷彩柄キューピーのストラップを持つ身です。
「ださい」とか言って本当にすいません。ですが、買い物、デート、旅行など、もし黒のタンクトップと迷彩柄を合わせたら確実に浮きます。街中では浮いてしまいます。しかし森や林などのブッシュ戦では浮きません。地形に合わせるという話ですからご容赦ください。




