日常訓練
ジョー達はカティア“達”を連れて訓練に出ていた。
ベルンの町の外縁地の見知った場所での訓練を行っている。
訓練と言っても走り込みをしていた。それも鎧を着込んで“鎧マラソン”を行っている。
当然、魔術によって軽量されていない素のままの重さの甲冑(※ある程度省いて完全装備ではない)を着こんでいた。
「ほら、フィフィ頑張んなさい!」
カティアはヨロヨロと走るフィフィに声を掛けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、もう駄目……」
息も切れ切れにフィフィは答える。
「まだ、10周よ。それにアレをみてみなさいよ」
カティアは後方を走るメリーダのさらに後ろを指さした。
そこには、“黒三星”のガイヴ、ラッシュ、オルイガが甲冑を着こみ、さらに荷物籠を背負い、砂袋を入れられ。手と脚に足輪と鎖をはめて、石の砲弾のような物をつけられていた。
そして、酷く青い顔をして、すぐにでも死にそうなほど辛い表情をしたまま、ゾンビのように身体を引きずられながら走っていた。[当社比3倍の重さ]
彼らも訓練に参加していたのだ。
この訓練の前日にギルドにて計画を知り。――「ちょっと、ちょっと、お願いします。ジョーの兄貴!」、「おれらも訓練に参加させて下さい」、「おねがいします。俺らも強くなりたいっす」と――そんな事を言ってジョーとサイリアに懇願し、土下座、崇拝五体投地を決め、涙ながらに『強くなりてぇ~』と力説していた為にジョーは仕方なく許可をして。現在のような格好をさせ外を走らせていたのだ。
「おら~、ガンバレ! あと2週!」
ジョーが監督のように腕を組みながら特訓の様子を見守っている。
サイリアがマネージャーのようにナニかを用意しながら声援を送っていた。
「は~い、がんばります!」
カティアが元気に声を出して声援に答える。
「は……~い」とフィフィは答え。メリーダは手を振り。
“黒三星”は「あ゛~~~」、「あ゛~~~」、「あ゛~~~」とゾンビのように受け答えをしてジョーとサイリアの前を通り過ぎた。
** *
「あ~疲れた~」
カティアはサイリアお手製の水分補給用の特別水を飲んで草原に大の字に寝転がった。
もちろん、甲冑は脱ぎ捨てて傍に置いている。
その行動にメリーダがお約束のように諫め。フィフィは特別水をまだ飲んでいた。
「生き返るぜぇぇぇぇ」
「まったくサイリア姐さんの水は最高だな。身体が生き返るぜ」
「ふいぃぃぃ~、こんな水飲んだ事ねぇぞ」
ガイウ、オルイガ、ラッシュの3名も鎧を脱いで休憩をしている。
ちなみに――『サイリアの特別水』とは1リットル程の水に蜂蜜大さじ2杯、塩小さじ1杯ほどを水筒の中で混ぜるだけの訓練用水分補給水で大した効果は無い。
** *
休憩を終えた一行は戦闘訓練と魔術訓練に分かれていく。
ジョーとカティアは一対一で剣術訓練を行っていた。
場所は特殊で、草原の平地に長めの木杭を等間隔で何十本も打ち。木杭に縄をランダム巻きつけ地面に転びやすいような訓練場を造っていた(※カティア達が走っている間にジョーが作った)
その場所で現在、木剣を交え、激しく戦闘訓練を繰り返している。
「ハッ!」
カティアは気合いと共に距離を詰め、ジョーに向かっていく。防がれ、流されるが素早体勢を立て直し、踏み込み切り込んでいく。
ジョーが居ない間に訓練の成果が出ているのか。縄に転んでも素早く起き上がり、立ち上がり戦闘を続けていた。
激しい攻撃を繰り返し、カティアは身を屈め、突きを繰り出し間合いを詰める。
袈裟斬り、切り上げ、薙ぎ払い、連続突きを繰り返し、しっかりとした姿勢でジョーに向かっていた。
不安定な場所でそれなりに向かってくるカティアにジョーはアドバイスを送りながら剣を交えていく。
けわしく真剣な表情のカティアに対し、ジョーはどこか余裕がある。
それは、完全に実力差を現していた。
木剣が合わさり、鍔迫り合いになる。
「カティア、良くなっているな。修練の後がみえる」
ジョーはそのまま声を掛ける。余裕の表情で褒めた。口角をあげて嬉しそうだった。
「はい、師匠も油断しないでください」
軽口を叩きながらカティアも笑う。
「大丈夫だ」
ジョーはニヤリと笑みを浮かべ、そのままカティアを力任せに後方に飛ばした。
吹き飛ばされたカティアは何とか立ち上がるが、目の前に木剣が現れる。
吹き飛ばされている間にジョーが間合いを詰めていたとこの時気がつき。そして反撃できない体勢であるとカティアは理解した。
「カティア、至近距離で力の無い者は腕力勝負はしちゃいけないぞ。まだまだだな」
と、いってジョーはカティアに声を掛ける。
「ハイ……参りました」
「よし、交代だな」
――訓練が終わると。
「おしかった、おしかったですぜ。カティア姐さん」、「いや~頑張った、頑張った」、「こいつは感動だぜぇぇぇ」
と、訓練を見守っていたガイヴ、オルイガ、ラッシュが声を掛ける。
「じゃあ、カティアはこのままサイリアの所にいって魔術訓練でもしてきな。俺はこいつらの相手をする」
「はい、師匠も頑張って下さい」
カティアはそう言って礼をして去っていった。
(まぁ、こいつら実力じゃぁ、頑張る事もできないんだけどな……)
ジョーはなんとなしに落ち込んだ。
「へへへッ、誰から行く」
「オレに行かせてくれ。兄貴にオレの実力をみせたいぜぇぇ」
「メリーダさんが近くにいるから緊張するな~」
などと、“黒三星”3名は話し合う。
「あっ、そんな相談はいいから、3人まとめてかかってきなさい」
ジョーはやる気無さそうに言う。
「本当ですか。俺ら3人を同時に!」
「へへへっ、兄貴、そりゃぁ、見込み違いですよ」
「こりゃぁ、本気でいかねぇと」
ガイヴ、オルイガ、ラッシュはジョーの余裕の言い方に殺気立つ。
彼らも彼らなりの修羅場は経験している、それに冒険者としてやってきた自負があった。
「いいから準備してくれ。得物はなんでもありのアリアリでいく。最低でも2分は持てよ」
そう言って木剣を振るった。
「いいんですかい、兄貴? 俺ら先月“E”ランクに上がったんですよ」
「“E”ランク冒険者を3人同時に相手にしようってんですか?」
「まったく、“E”ランクの実力をみせてやりますよ。へへへッ」
(おい、Eランクっていってもギルドレベル11だよな……)
ジョーがそんな事を思っていると訓練場所に3名が入ってくる。
ラッシュは大きな木盾を持ち、オルイガは短い木剣を2本持ち。ガイヴは短い棍をもって戦闘体勢をとった。
「みせてやりますよ。俺達の必殺技『邪斗須徒裏霧攻撃』をね!! いくぜ、ラッシュ、オルイガ。戦闘体勢“威猪”だ!」
ガイヴの叫びと共にラッシュとオルイガが返事をした。
【よし、じゃあ、開始!】
スネークが戦闘の合図を宣言した。
もう気がついてますよね?
ガンダムの黒い三連星の必殺連携技ジェットストリームアタックです。




