謁見1
ジョーは、4日程度で釈放された。
嫌疑不十分という名目上の釈放である。というか、既定路線での釈放なので名目などどうでも良かった。
ギルドの宿屋に戻ると、出迎えがあり、少しばかりの出所祝いのような飲み会もあった。
しかし宴の途中で予想外の出来事があった。早速、王城の使者が来訪して、ジョーに手紙を渡してきた。
王城への招待状を――
仕方なしに受け取ると、中身は予想していた通りに『姫殿下救出の褒美』を取らせると書いてある。
しかしながら、先程まで捕まって、その後すぐに招集行為が行われている。
――節操のない行動ともとれる。
「早過ぎないか?」と、ジョーが呟くと――
ヒュールは「とりあえず行っとけよ。俺達は待っているから」と言われてしまい、仕方なくジョーは準備を始めた。
ジョーは勢いに任せて熟成蒸留酒を一気に呷った。
景気づけのように。
***
翌日、ジョーとサイリアだけで秘密裏に王城で謁見を行っていた。
謁見の間はそれなりに広く、赤い絨毯が敷かれ、その脇を、重たい甲冑と槍を装備した国王親衛隊が立ち並び、王族の座る離れた所に段差のついた高台の上に玉座が2つあり、ブリューシュ王と王妃が座り、その脇に王子とルシア姫が背もたれの無い椅子に座っていた。
天井には水晶とガラスで造られた魔術照明用のシャンデリアが吊るされ、大柱の間には金と銀の刺繍が施された国旗と装飾布が掲げられ、至る所で贅と意匠を凝らした場所そのもので、まさに荘厳を尽くした謁見の部屋であった。
そして他の貴族達の姿は無く、あくまで秘密裏に色々と事情が絡まっている。と、ジョーは感じていた。
ブリューシュ国王、王妃、王子殿下、姫殿下、王国親衛隊、王国の宰相である大臣のみの少数での異例ともいえる謁見だった。
(柱の裏に何名かの騎士がいるな……)と――気配を探り、ジョーは涼しい顔をしている。
ジョーは身なりを整え、髭を剃り、髪を結って小奇麗な格好をして片膝を立て平伏している。
もちろん蛇腹刀は置いて来ている。服装も貸し衣装であったがそれなりに着こなしていた。
ジョーの横にいるサイリアも同様に平伏していた。
王族に対するドレスコードのように同じ様に髪を結いあげ、綺麗なドレスを着て。そして――震えていた。
そう、――場違いな場所にいるのはジョーよりサイリアの方が大きい、ただ困惑して目がグルグルと回っている。
「ジョー=カバライ殿、このたびの姫殿下救出、真に見事な働きだった。面を上げよ、国王陛下からのお言葉である」
宰相である大臣はそれなりの身なりをして、髭と眉を整え、髪を後ろにセットした、腹も膨らんでない壮年色男の風貌であった。
通る声でジョーに問いかける。
しかし、ジョーは動かない。サイリアはそのまま表を上げた。
(あれ? どうしたの、ジョー?)と、思っていたが他の騎士と大臣が変な空気になった事を感じる。
「サイリア……まだ、顔は上げないの、そう言う決まりと礼節があるんだよ」
ジョーは平伏したままサイリア極小さい声で話しかける。
《※この世界の独自の礼節です。そう言う所が無い所もあります》
ジョーは小声でそう言うと――サイリアは急いで顔を下げた。
「ゴホン、それでは王よ。お言葉を……」
と、再度大臣に促されブリューシュ国王はニコリと笑う。
「面を上げなさい、ジョー=カバライとサイリア=ヨキ」
深淵深い知性あふれる声が響いた。
ブリューシュ国王に言われ初めて顔を上げるジョー。そして困惑気味に顔を上げるサイリアがいた。
ジョーの目の前いるブリューシュ国王と王妃は貴賓館の会場で見た時と違っていた。国王は赤いマントを着こなし、服装も白色を基調とした豪華な金銀細工刺繍が施されている服を着ている。そして、その横の台に貴石と宝珠をあしらった4本アーチの宝飾品の王冠が置かれ、同様の装飾をされた杖も置かれていた。
王妃は基本に忠実で首飾り、耳飾り、腕輪、指輪と体重よりも重そうな貴金属を取りつけて自身を輝かせている。それよりも凄いのは服だが――ここでは省略させてもらおう。
(王族らいし装飾だな。高いね、アレは)、(キャァァァァ、眩しいぃぃぃ何アレ!!)
――と、ジョーもサイリアも第一印象でそう思っていた。
ある意味、王家の特有の案件であり見栄の張り所――『謁見』である。着飾るのは自然な流れである。
ルシアも王子も、おめかしをしている事は流れからいって当然であった。
「この度のルシアの救出、真に感謝を述べたい事です。私と妻の大事な娘であるルシアがもう少しで悪漢の手に落ちる所でありました。国王としてではなく父親として感謝を述べたいのです。助かりました」
国王は笑顔でジョーに話した。言葉を崩し、誠意を感じる語りがけだった。
「ハッ、ご拝謁を賜り、真に光栄に存じます。しかし、それは道義にかなった行動であり、当然の行いをいているだけです。心留める事ではありません、お気になさらずに……」
深く一礼をしてジョーはそのように言う。
「しかし、ジョー殿を拘束せざるおえない状況に心苦しく思いました。不当な扱いを此処に詫びましょう」
「それこそ、お気になさらず、お願いします。国政とは常に慎重に物事を進めていくモノ、思慮深い判断を求められる事も御座いましょう。怪しい一介の冒険者風情をお疑いになっても、それは極めて正常な御判断であると存じ上げます」
ジョーは自身の拿捕はそれほど気にしていないという風な言い回しをしていた。
遠まわしではあるが―――
礼節を弁えての言葉使いを選んでいる。
国王はニッコリほほ笑むと――「そうですか……それはありがたい事です」――とゆっくりと頷いた。
そしてそのまま――
「そこでは遠いでしょうから、もっと近くに寄りなさい」と――国王が言葉を発する。
すると、場の緊張感が段違いに増した。
(あれ……サイリアは大丈夫か?)と横目でチラリとジョーは見ると、顔を真っ赤にして非常に危険な状況であると言えた。
「ジョー殿、サイリア殿、国王陛下の御前に近寄りなさい」
と――宰相の命令が城内に響いた。
この話を書くにあたって、マナーの本を読んでみました。
難しいぞ! が第一印象。
その為、ため口で書くか――と馬鹿な事を思いました。
いや~難しい。ですので……マナー的に間違っていてもそっと見守って下さい。
やった事ないから正直わからない(さらに異世界で現実的にも仕上がる事もない)




