第7話:Training and RussiaMeeting
第7話:Training and RussiaMeeting
私と桜訓練生は今日学校を休み、辛さを紛らわす為に習志野駐屯地に来ていた。ここには特殊作戦団から第一空挺団と言った精鋭とか特殊部隊と呼ばれるエリートが揃い、魔砲少女が活発化して以降の魔砲少女特殊作戦コマンドもここにある。
「珍しいな、朝月がここに来るとは」
国岩一等陸佐が出迎えてくれて、応接室でコーヒーを出してくれる。
「ちょっと嫌なニュース見ちゃって……少し訓練したいなって……」
「それは構わない。大歓迎なくらいだ。だが安全管理を怠るようなメンタルなら眺めるだけか筋トレくらいにしておけ」
「……御崎一等陸尉に会えますか?」
「特殊作戦群のエースのあいつか?」
私は頷くと、国岩一等陸佐は回線電話から第3応接室に来てもらうように頼んでくれる。
「10分ほど待ってくれ。ひとつ聞かせて欲しいんだが、御崎とはどういう関係なんだ?」
「魔法特殊作戦コマンドとの合同訓練の時に私が、寒さに耐えれず歩けなくなった時に温かいコーヒーをくれた恩人です」
国岩一等陸佐は「そうか」とだけ答えて、コーヒーを飲む時間が過ぎる。一方で桜訓練生は久しぶりに習志野に来たということで、魔砲少女教官から指導を受けているという感じだ。
コンコン
ドアを丁寧にノックする音と共に「失礼します」と若く優しい男性声と共に、高身長で全体的に清潔感と健康感のある男性が入ってくる。
「お呼びでしょうか?」
「朝月三等陸佐が話したいんだとさ。少しでいいから相手してくれ」
「御崎さん!お久しぶりです!」
「朝月三等陸佐……!ご活躍、小官の耳にも聞き及んでおります!」
そのまま私は御崎一等陸尉と最近の自衛隊情勢について話合った。やはりと言うべきか、魔砲少女の台頭により、特殊作戦団も肩身が狭いらしい。特殊作戦団の育成費用と魔砲少女の育成費用は2桁から3桁違うと言われることもあり、政府及び統合幕僚監部としては魔砲少女ドクトリンを推進したい思惑があるとか。
「御崎さんは今度どちらへ?」
「まぁ、詳しくは言えないがドイツのある地域にNATO特殊部隊サミット演習に出てくるよ。演習後2週間くらいで広報の動画が出るらしいから、よろしければ小官の事も見てくだされば励みになります!」
「もちろんです!御崎一等陸尉のご活躍を期待しております!訓練中に申し訳ありません……」
「いえいえ、小官はこれにて」
御崎一等陸尉のキッチリとした敬礼に私は見とれていた。
「お前、御崎のこと好きなのか?」
「嫌いではないですよ」
「御崎はああ見えてまだ20代半ばだ。16の朝月が結婚できる頃にはもうお嫁さんが居るかもな……悲しい話だが、魔砲少女である以上事実を冷静に受け止める覚悟も必要だぞ」
「えぇ……分かってます……」
私はコーヒーを飲み終わると、魔法特殊作戦コマンドの訓練を眺めていた。
「歩調歌(歩くタイミングを整えつつ、声を出させる事で負荷を与えつつも協調性を養うハイポートの時の歌)!私たち!」
「「「私たち!」」」
「魔砲少女だ!」
「「「魔砲少女だ!」」」
「変質者たちは!」
「「「変質者たちは!」」」
「刑務所行きだ!」
「「「刑務所行きだ!」」」
なんだか物騒な歩調歌だが、これから先血なまぐさい現実と思想を見る事になる彼女たちにとっては丁度いいのだろうか。
一応私は習志野駐屯地のどこに居ても文句は言われないため、私の所属する陸上自衛隊魔法特殊作戦コマンドのMCH(MagicCanonHunting)(魔砲少女狩り)小隊の訓練施設にも足を運んだ。
すると1体1でラバー銃とラバーナイフをものすごい速さで振りかざし、突いてくるが相手は素手1本で上手く交わして、銃を奪い取ると胸にある程度力加減して刺して、引き金引いた時のビィーという音で相手の魔砲少女の絶命判定を下す。
「凄いな……」
そう呟いた時だった。後ろから冷たい衝撃、ある種の痛みが走り、思わず「キャッ!」という自分らしくない可愛い声を出してしまう。
「瑞奈……教官……?」
「久しぶりだね〜、製薬工場での任務ご苦労。あと下の名前で呼ぶのは相変わらずだな」
「教官も相変わらず生徒にイタズラしてるんですか?」
「失礼な事を言うな〜、私なりの愛情とコミュニケーションだぞ〜」
私はため息をつきながらアイスコーヒーを貰い、教官とベンチに座りながら雑談をする。久しぶりの教官はなんだか、寂しそうにしていた。
あの、人のリアクションで楽しむ教官が珍しいな。
「教官、何かあったんですか?」
「教え子の人が……中東での人道作戦中に死亡した。お前の同期じゃないからそこは安心してくれ」
「それは……すみませんでした……」
「魔砲少女の死亡は公開されない。ただ公式プロフィールが消されるだけ……私もかつては魔砲少女だったが、悲しい話だよ」
すると桜さんが走ってきて、敬礼する。
「お疲れ様です!朝月三等陸佐!……と失礼ながら……」
「九龍瑞奈二等陸佐だ。この朝月の教官もしていたよ。今では魔力もすっかり落ちたけどね〜」
「桜さん、訓練は終わりましたか?」
「はい……もう疲れちゃいましたよ……」
「じゃあ帰りましょうか。瑞奈教官、ありがとうございました」
教官は優しく手を振ってくれて、駐屯地警備をパスし、自宅へと戻る。
シャワーを浴びながら、カロライナの事を思い出す。魔砲少女達は純粋な子達ばかりなのだ。むしろ純粋でなければ心の弾丸の制御ができない。そして今日見た訓練生達はしっかりとした眼差しで訓練に励んでいた。疑いようのない、純粋な乙女だ。
明日提出予定の学校の課題を進めながら、訓練用のエアソフトガンのコルト・ターミネーターを眺める。
これと出会った時、私は感動した。一目惚れと同時にこの銃と共に様々な冒険がしたいと心から願ったものだ。
課題を終わらせ、ベッドで大の字になる。
もうすぐ夕食の時間か……今日はお好み焼きって桜さんが言っていたな……
そんな時だった、インターホンが鳴る音が聞こえて、私がすぐに出るとリリーナが立っていた。
「リリーナ、こんな時間にどうした?」
「夜分遅くにすみません。当機関が入手した情報にて情報交換をして頂きたいと思いまして」
「とりあえず、解錠したから入って」
すると玄関から「お邪魔します」という声が聞こえ、応接室に案内する。桜さんが忙しそうにコーヒーを入れて、晩御飯のお伺いもたてる。
「サクーラがよければぜひ」
「サクーラ、ロシア語の癖は抜けないようだね」
「祖国の言葉だ。私は疎かにはしませんよ」
「ロシアでは客にウォッカを出すのが礼儀と聞いた事がある。ウォッカ飲むか?」
「確かに祖国の飲酒量は世界一で、販売を除けば18歳未満でも飲めるが……私は優秀でいたいからね。というかお前の家に酒があったら国岩一等陸佐に伝えておくぞ」
私は「冗談だ」と返して、本題へと移ろうとお互いに書類に用意する。まずは双方の情報のカード偵察が基本だ。私としてはカロライナが意図的に行ったのかを確認したい。
「カロライナの事は含まれてるのか?」
「無論よ。先にこれを見て欲しい。当局が入手した化学薬品反応検証をした結果、例の薬剤の入った金庫を破ったのは化学反応銃による破壊だと断定できた。こちらと協力協定を結んでいる科学捜査研究職員によるものよ」
私は書類をマジマジと見ながら、過酸化水素を用いた化学空気圧縮だと説明で確認した。
カロライナの魔砲銃能力でもない、明らかに他機関から渡された可能性と見るべきだ。
さて、こちらが渡せるものは……
「リリーナは何が欲しい?」
「あの製薬工場の薬品と言いたいところだけど無理でしょうね。ウィルソンCIA工作担当官の情報を貰えない?」
「魔砲犯罪特別対策官としての情報なら渡せる。CIAの方は私が土下座しても向こうが渡すとは思えないからね」
「ありがとう。対策官の情報だけでも助かる」
私は書類を下げて、普段持ち歩いてるUSBケースを魔力認証で開け、USBを渡す。
「今確認してもいいですか?」
「構わないよ」
ノートパソコンにUSBを差して、情報を数分ほど確認していた。リリーナの事だから、この情報はロシア国家警察の対外作戦総局に送られるのだろう。
「スパシーバ(ロシア語でありがとう)、夕食もお願いします」
そのあと3人でお好み焼きを食べていると、リリーナは珍しそうに箸でつつきながら、食べていたがひと口食べた時にはすぐに二口目、三口目……よっぽど気に入ったらしい。その後彼女を見送り、寝床についた。
「こんにちは、司会の朝月です。作者の運勢が今日は良いらしく特別投稿みたいです。今日のゲストはみ……九龍教官に来ていただきました」
「どーもー、教官としての矜持は学生とのコミュニケーションを忘れない九龍瑞奈二等陸佐ですよ〜」
「九龍教官、歩調歌は実際の軍隊でも取り入れられてますがどのような特徴があるのですか?」
「まず、歩調歌は歌いながらハイポートつまり銃を担いでランニングする時に歌うものだが、あれは心肺への負担もあるから普通科部隊やレンジャー課程で特に多く使われてるね〜。聞いた話だと自衛隊の幹部レンジャー課程では教官の思いつきで歌ったりとか米軍では決められてたりとか国色や課程の特色が伺えるな。この先サブカルチャーをより取り入れた歩調歌も出てくると私は考えてるね〜」
「なるほど、魔砲少女の歩調歌が物騒なのもそういう特色なのですね。それでは読者の皆さん、今日はそこそこ投稿するらしく、大規模演習編が20:30から投稿されるからそちらも見て欲しい。それではお疲れ様です」




