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第27話:Carolina LAST MISSION Case3

第27話:Carolina LAST MISSION Case3

魔砲少女の視界は赤外線や銃口が見えれば弾道もある程度なら目視できる。

なら、普段何故それを使わないか。簡単な話だ、実力を知られてしまうため。

大抵の魔砲少女なら可能だが、それに対応する動きができるかと聞かれたら本人の技量次第となる。


もし、あなたが今から0.5秒後に秒速800mの銃弾が何発も飛んできますと言われ、冷静な回避と反撃ができるだろうか?答えは9割以上の人間は不可能。私はJSOCの訓練でそう学んだ。


視覚刺激に約0.25秒かかると言われてる。つまりこの時点で猶予の半分を失ってるわけだ。だが、魔砲少女のエリートなら魔法現実反作用で防いだり、中には弾丸には弾丸で撃ち落とす者もいるだろう。


私は赤外線用の視覚に魔力で調整し、相手の光学照準器のレーザーサイトを確認する。


「24名……もうすぐロビーのメインドアが破られるな……」


Mk48のコッキングハンドルを引いて、初弾を装填する。


さぁ。来い!!


ドアだけが静かに開き、何かが幾つも投げ込まれる音がする。

爆風破片手榴弾の可能性も考え、伏せるが、プシューという音と共に煙がまかれる。


「やってくれたな……」


視界が完全にブラックアウトする。これは間違いなく魔法系統の光の屈折率を変えてくる厄介な代物だ。

ならば!

足音が聞こえたと同時にMK48を敵正面に乱射する。


ダダダダダーーーーン!!


7.62mmNATO弾が豪邸内の綺麗な空気を切り裂き、芳香剤の香りすら硝煙の匂いの戦場へと変化させる。

そして向こうも発砲してきた。

銃声からして7.62mmNATO弾。規格としてはこっちと同じだが何か変だ。


200発の弾倉はあっという間に底を尽き、40mmグレネードを1発お見舞いし、SIG127の亜音速の対物ライフル弾クラスの弾をプレゼントしながら階段を上り、ロビーの上という戦略的に優位な位置へ陣地転換をする。


「グレネード!負傷者いるか!?」

「ストライク1-5が……」


どうやら向こうで重傷者が出たようだ。

40mm擲弾をぶち込んで重傷で済むなど敵の防弾装備は相当な物らしい。


耳を澄ませ、両階段を上る音を察知し、SIG127で煙から出た敵の脳天に向けて、セミオートで3、4発叩き込む。

タァァァン!!という少し響きづらい銃声と共に右階段の兵士を2名射殺。そして左階段からお返しの弾丸が飛んでくるが、これで分かった。


魔法徹甲弾だ。つまり魔法現実反作用や魔砲少女装備の防御力は期待できない。常に弾丸を回避しながら、敵を翻弄し、確実に排除するしか勝機はない。


パシュン!パシュン!とサイレンサー付きと言えども減音されすぎてる銃声に用心しながら応戦する。


タァァァン!!タァァァン!!

流石12.7mmクラスの車のエンジンブロックを撃ち抜ける弾丸なだけある。これなら敵の防弾装備はあまり役に立たない。だがそれも直撃させなくては意味が無い。


ドンドンと敵が登ってくる。


「数が多すぎるんだよ!」


タァァァン!!タァァァン!!

敵も馬鹿では無い。大人しくこのまま消耗されるわけではないだろう。次の一手が来る!


その一手はあの厄介なスモークグレネードだった。2階に次々と投げ込まれ、私の視界は白もやに包まれた薄暗い館へと変貌する。


「チッ、これじゃ当てらない!」


もはや五感のの中でも最大級の情報量を持つ視覚は役に立たない。残りの四感で戦う他なし。


敵には私が見えているはず、なのに何発も叩き込んでこないのは、恐らく小隊レベルでの掃射によって私の魔法現実反作用と魔砲少女装備を粉砕する火力を用意するためだ。


私は2階からロビーに飛び降りると煙が無い、ロビーの虚空に赤いレーザーがいくつも私の身体に弾道を教えてくれる。


タァァァン!!タァァァン!!タァァァン!!


右階段の部隊を恐らく3名は殺した。これで向こうと簡単には……


パシュン!パシュン!


いくつものサイレンサーで殺気を消してきた弾丸が私の魔砲少女装備と殴り合い、火花を散らした。床直前で回転着地し、遮蔽物を頼りながら、走りながら応戦。


シューティング・オン・ザ・ムーヴ。ムーヴとは行進とかの意味があるがこんな速い行進など観閲式がすぐに終わってしまう速さで移動し、柱の右から出ると見せかけ、左側から出て、素早く撃ち抜く。


タァァァン!!タァァァン!!パシュン!パシュン!


その時敵の手練にSIG127に弾が命中し砕け散る。破片は魔法現実反作用で防げたが、私の魔力はそう多くは残ってないし、心の弾丸の侵食的にコイツらを排除した後に数名でも増援が来たら耐えられない。


MK12を取り出して、ドンッ!ドンッ!とスラッグ弾を撃ち込む。

これと同じスラッグ弾は別名マスターキーの異名を持ち、ドアノブを破壊し、エントリーするという事も可能な威力バカな火力である。

本当はウィンチェスターに頼りたいがリボルバーの為、射程が短く、威力調整の為の魔力コントロールの時間も考えると隙が生まれる。


ドンッ!ドンッ!


景気良く撃っていたら、残弾のカウントを脳内でしていたがもう1発しかない。


弾幕を張るにも使えないのでまだどこかに隠れてる敵の小隊が居そうなところに1発プレゼントして、次の武器を選択思考へと移る。


「デザートイーグルで削りつつ、M93Rで脇とかに叩き込むか……」


小声で放った戦略図案はとても、とてもリスクの伴う物に変わりはなかった。


敵はまだ10名前後はいる。散開されていたら厄介だな……


「生存隊員はフォーメーションBを形成!1人でも多く生き残り、敵にダメージを与え続けろ!」


フォーメーションB、恐らく壁を背に広範囲に散らばり、各自が狙いを定めて撃つ。

実はこれは驚くほど難易度が高く、そして危険だ。射線が味方に入りやすく、最悪同士撃ちになりかねない。


今いる柱から発砲すれば間違いなく四方八方から凶弾が、アイラブユーしてくるだろう。


こうなったら……!!


相手には我々が見えてないはずだ。少なくともマズルフラッシュ以外は。2/3が死亡もしくは戦闘不能になった現況において、生き残る秘訣は早期解決。それしかない。

「ターゲット。確認できません!」

「階段を上った痕跡もありません!」

「どういうことだ!?まだこのロビー内にいるはずだ!しっかり搜索しろ!」

私の声が邸宅に響くほど聞こえてるはずだが、おかしい。何名かの気配を感じない。


「全部隊!応答連絡!」

「……」


まさか!?俺以外全滅したのか!?だが銃声は聞こえなかったぞ!?


「た、助けて……隊長……」


四眼ナイトビジョンで下を向くと、身体に致命的な切り傷だらけのワイバーン1-3がいた。もはや「いた」と言うより「あった」の方が正しいのかもしれない。


「クソッ!」


仲間に最期に少しでも楽にさせるために脳天を撃ち抜く。

音もなく、この強力な防弾装備を貫くには……


「魔法現実反作用によるホバー移動……からの魔法実体化させた刃物……!?」

「正解だよ……」


後ろから弱りきった殺意の刃物を腕の防御プレートで防ぎ、ライフルから拳銃に移行しようとするが、相手は判断が鈍ってるのか意味のないM93Rをプレートキャリアの真上から撃ち続けてきた。


「あぁ……クソッ……もう思考が……」

「おい、カロライナ。プロとして聞く。なぜ祖国を裏切った」

「祖国が……裏切ったから……だ……」

「そうか。だが我々特殊部隊は祖国の命令で、祖国の思慮から、祖国は関係を絶つ。それが分からないお前でもないだろ」


彼女はもう、ろくに言葉もまとまらないようだ。ならかつてJSOCで共に戦ったお礼として楽に……


その瞬間窓ガラスが割れ、一瞬で視界が真っ白になり、音も聞こえなくなる。

「がっ!!」


四眼ナイトビジョンもヘッドセットも完璧な特殊部隊仕様。フラッシュバンごときでは……


「カロライナさん!最期のチャンスです!撃って!!」


ララだと!?まさかスイス国防軍特殊部隊の新世代フラッシュバンか!?

視覚と聴覚が大打撃を受けただけでなく、思考が回らず、拳銃のホルスターを探していた。


「私は……私は!!ここでくたばるものか!!!」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!


私の身体に数えるのも出来ないくらいの強烈な衝撃と共に、体が引き裂かれるような激痛が走る。

資料にあったウィンチェスターマグナムのリボルバーか?だが……弾数が……合わ……ない……



私はついに、ラスト・トリガーを殲滅した。もう意識は絶え始め、立つことすら出来ず、彼らと同じく地面に伏っする。


「ライカ……弥生……愛してるよ……来世ではきっと……」

「いや、それは現実になるよ」

「だ……れ……?」


私はマグナムリボルバーを握ったまま、泣き叫ぶ声の元に弾丸を撃ち放った。

意識はそこで途絶えた。

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