第25話:Carolina LAST MISSION Case1
第25話:Carolina LAST MISSION Case1
「ララさん、カロライナ……本当に任せてもいいんだね?」
「大丈夫だよ。今のままだと私は本当に汚れ仕事専門か、弥生からイノセントピースを奪わなくちゃいけない。後者は私としては絶対にしないからね」
「朝月さん!私はこれでも祖国で早いうちから射撃訓練は受けてます!それに外交官に当てたら大変なことになるのは敵も承知のはずです!」
私は悩む、魔砲少女小隊小隊長として仲間であり、先輩であり、助けてくれたカロライナに死の道を歩ませるのは……したくない……
そしてララさんにもイジメから助けたとはいえ、それ以上の恩返しを受けている。もし彼女が死傷する事態になればシャレにならない。
「カロライナ……心の弾丸の侵食はどうするの?」
「まぁ、相手はJSOCからかき集められた最強の対魔砲少女部隊『ラストトリガー』だから、不安がないと言えば嘘になる……かな……」
私の握りしめてるコルト・ターミネーターを一丁、彼女の胸に当てる。
それがどういう意味か魔砲少女なら分かってくれるだろう。
「弥生……ありがとう。いざと言う時は使わせてもらう」
そして実戦に長けたレイラからも何かをララさんに渡す。少しカロライナから視線をずらし、見てみると特殊音響閃光弾を2発渡していた。
しかも煙幕も同時に張るタイプ。逃げるための時間稼ぎ用だろう。
「ねぇ……カロライナ……今からでも自衛隊を頼らない?」
「それが分からない私じゃないよ。自衛隊が介入しても米国との関係悪化は望まないから大人しく差し出されて終わり。さぁ行って、私のお嫁さん」
私も覚悟を決めて、残りのコルト・ターミネーターの残弾を確認する。
45口径230グレイン弾頭がしっかり装填されたマガジンが5本あり、逃げるだけなら十分だ。
「弥生……生きて帰れたら結婚してくれる?」
「死亡フラグを立てるな……と言いたけど、今回ばかりは生きて帰ってきて欲しい。結婚でも、大人の階段上りでもなんでもするわ」
「よーし!言質も取ったし、頑張っちゃお!それじゃあ、ご武運を!朝月小隊長!」
「朝月さん!私達が全力で時間を稼ぐのでそれまでに市ヶ谷に避難してくださいね」
ララさんとカロライナの捨て身の作戦に感謝する反面、2人が死ぬのが怖かった。私がイノセントピースに選ばれなければこんな事にならずに済んだのだ。私の……私のせいで!!
そんな時リリーナから肩を叩かれ、一言。
「朝月がこれ以上責任を負う必要ないと思う。今は逃げるぞ、お前が死んだら魔術界戦争は絶望的になる」
「……わかった。カロライナ、ララさん。ご武運を!」
私達魔砲少女小隊はララさんの家の地下通路から都内の地下鉄駅に逃げる道を走った。
「さーてと、ララちゃん。武器が欲しいね」
「そう言うと思ってましたよ。来てください」
私はララちゃんの小さな背中を追いながら、地下室へ通ずる金属製のドアの暗証番号を入力して、機械音と共に金庫室への扉が開かれた。
そこに広がっていた光景は日本ではとてもじゃないが、まず見れないし、見れたとしたら警察官どころか自衛官ですらドン引きするレベルなのも間違いない。
「WOW……スイスもやってるね」
「永世中立国ですからね。表面上の同盟ができない以上裏で攻めるしかないですからね。さぁお好きな物をどうぞ」
HK416D、SPAS-12、M500リボルバー、SIG550、MK12AS101S、MP45……もう古今東西あらゆる銃火器が揃っていた。
これだけの銃器を集められるのはもはやララちゃんの外交官としての責任は国家が全てを託すレベルなのは疑いようのない事実だ。
「私のスイス連邦情報局から提供された情報による米軍統合特殊作戦コマンドの次世代特殊部隊ラスト・トリガー。詳細は不明だけど魔法装甲は対魔砲銃を意識しつつ、小隊単位で魔砲少女を圧殺する厄介な連中ですね。現行銃火器がどこまで効くか分からない以上マンストッピングパワー(銃弾が人を足止めする能力)と貫通力に優れた銃弾を複数種使わないと戦うのは厳しいかと……」
私はララちゃんの話を聞きながら壁に横がけされたMK12AS101の12ゲージ散弾銃弾のスラッグ(熊狩りやドア破壊に使う1個の大きな弾)を装填されたドラムマガジンを差し込む。
他に考えられるとしては……ShAK-12というロシア製の世界でも最強クラスのプルバック式自動小銃を手に取る。
あまり使ったことがないから避けるべきか……
「カロライナさん、それが使う12.7mm×55亜音速大型弾のNATO規格に加えて、反動抑制型のコンベンショナル(トリガーの前にマガジンを付けるタイプ。現行のアサルトライフルの大半はこれ)タイプのスイス最強の自動小銃SIG127ガリフェデウスです」
「威力は?」
「3500Jに加えて、徹甲榴弾、2段階式加速弾、曳火弾(弾道確認用の弾丸。しかし実際は少し他の弾頭と異なる動きをする)があります」
私は「オーケー」と返して、徹甲榴弾を4マガジン120発と2段階式加速弾2マガジン60発を用意して、魔砲少女装備の大型弾専用マグポーチにしまう。
さて、拳銃も強力なやつが欲しいな……
「ララちゃん、テイスティングを頼みたい。敵の装甲を貫徹ないしは動きを止められる拳銃が欲しい」
ララソムリエは少し指を口に当てて、1番奥の金庫室を指紋認証と静脈認証で開いた扉には2丁のかなり高度にカスタムされた自動小銃……恐らくMK24MRGG-Aという10年ちょっと前のアメリカ特殊部隊の銃だ。それに光学機器を複数付けて、長距離戦を見越したバイポッドも着いている。そしてその隣に2丁のサイレンサーとレーザー及びフラッシュライト複合型支援装置、ドットサイトの着いたデザートイーグルが並んでいた。
スイスヤバすぎる……というかこれを米軍知識のある者が見たら内通者を死ぬ気で炙り出すだろう。
「特殊作戦用のデザートイーグルです。タングステンサイレンサーで前方重量を増やすことで反動によるマズルジャンプを低減し、弾薬はその分強装弾になっており、近距離なら軽装甲車両や最高クラスの防弾ガラスも粉砕可能です」
私は渡された特殊部隊カスタムのデザートイーグルを持ってみるとビックリするほど重さのバランスが取れている。前方少し重たいおかげで確実にマズルジャンプを相殺とまではいかずともかなり楽に当てられるのはよく分かる。
「マガジンは8本か……大型用拳銃弾倉ポーチで良かったよ」
素早く切り替える為に、スリリングベルトをMk12とSIG127に取り付け、他に必要なものを考える。
使い捨ての強力ないしは弾幕を張れる銃器が欲しい。これで敵を撃破あるいは負傷させればそれに超したことは無い。
「これでも戦闘も想定していた外交官です。カロライナさん、弾幕を張れる兵器にオススメとしてMk48にIRレーザーとナイトビジョン照準器、7.62弾帯200発。40mmグレネードランチャー搭載です」
「Great!Professionalだよ!ララちゃん!生きて帰ったら仲良くしてほしいなぁ」
「ふふ、構いませんよ。お友達は沢山いた方が良いっていうのがお父様の教えですから」
「あとこちらも使い勝手がいいかと……」
彼女は棚からM93Rを取り出して、丁寧に作動確認をする。
M93Rは3点バースト機構のある効果的に敵の急所に3発連続で叩きつけれるため、急所を取れれば確実に殺せる。
「弾倉は4本、弾頭はホローポイントでどうですか?」
「ありがとう。ナイステイステイング」
「私は外交官である以上発砲は自己防衛のみが最も理屈が通りやすいと思うので、護身用にスイス政府と日本政府に認められてるSIG SAUER P220の9ミリパラベラム弾を8マガジンで対応します。カロライナさんには私の警告が無視された時の最後の砦です」
私は「了解。ララソムリエ」と返して、この装備だけなら歩兵部隊一個小隊クラスの戦力を持ちながら、ララさんに指示された襲撃時用防弾プレジデントデスクのある1階ロビーーで戦うことを決める。
「さぁ。かかって来い。恩知らずのクソども」




