第21話:Study in Greece
第21話:Study in Greece
荒廃した世界での戦闘の後に学校のメンバーと合流し、ギリシャ研修を楽しんだ。
アテネにあるパルテノン神殿で西洋文明の原点を学び、新アクロポリス博物館では大学教授による演説を感想にしてレポートにする学習をして、ホテルはアテネの最高級ホテルの1つ、キング・ジョージホテルに泊まった。静かな空間に私と桜さんは2人の部屋で、桜さんの表情に気を配りながら、レポートを書く。
「桜さん大丈夫?」
「あ、弥生さん……その……実戦は怖いなって……怪我とかしてないですけど、怖かったです……」
「安心して、私もカロライナもプロだから守り通して見せるわ。まぁこの前の演習では重傷判定だったけどね」
その頃、カロライナとミラはスダ空軍基地でレフィーゼと会話していた。
「全く貴官らにはガッカリされたよ。カロライナ、君もあの銃の候補だった」
「あんたら飼い主である政治家や軍上層部の信頼の問題だろ?」
「はぁ……1度痛い目に遭う?」
「これでも痛覚遮断ができるんでね」
彼女は舌打ちをしながらタブレット端末にライカの映像を映す。
覆面を被った男がペンチを持っている。
「おい……何のつもりだ?」
「ライカさんの指って綺麗ですよね〜。私の部屋に飾りたいくらいですよ。4本ほど貰ってもいいかな?」
「ふざけるなぁっ!!!」
基地全体に響くほどの大声をあげて、私は片手で史上最強の魔砲銃の1つである.458口径ウィンチェスターマグナム弾を装填してあるリボルバーをこのクソ女の脳天に向ける。
「触れてみろ……ライカ以上の苦しみを味あわせてやる……」
「おぉ〜怖いね。推定エネルギーは5万Jかな?」
「100万まで出せるぞ……」
この女は本当に怖いと思ってるのか口に指を当てて、一言。
「今回は許して差し上げましょう。ダーディー、撤収して」
その時ウィルソン担当官がUSP拳銃をレフィーゼの脳天に突きつける。
「何のつもりかしら?」
「お前らのやり方が気に入らない。彼女達は国に忠誠を誓ってるんだぞ。これ以上彼女達を傷つけるなら……」
「ねぇ、私が今上げてる手を下に下げたらどうなると思う?」
ウィルソン担当官はセーフティを掛けて、銃を下ろす。
「いずれお前も撃ち殺す」
「人間が魔砲少女に勝てるとでも?」
「大人を舐めると痛い目に遭うぞ」
そのままレフィーゼは部屋を出ていき、私はリボルバーをしまう。
「カロライナ、そんな恐ろしいものを持っていたんだな」
「私の怒りの結晶とアゼールのおかげだよ。アゼールが私を信じてくれた証さ」
「そうか……ミラ。カロライナを任せる。私はCIA本部に今日の交渉結果を報告する」
「承知しました。メリン、特製ハンバーガー作ったんだけど食べる?」
私はこの捨てきれない気持ちに悩まされ即答できなかった。
「あ、あぁ……私は何を……誰を……信じればいいんだ……」
声が震え、ノイズ様な物が走るメリンの声に私は震えた。
「メリン落ち着いて!乙女の願望が壊れかけてる!」
「私は国に!軍に!仲間や皆に忠誠を尽くすと誓った!誰を信じれば!!教えてくれミラ!!」
どうすれば……一体どうすれば……メリンを落ち着かせるには……
「私には守るべきものなんてないんだ……全部捨てちゃえば楽になれるんだ……」
「メリンっ!!」
私はビンタした後に特製ハンバーガーを口にぶち込む。
「どんなに理不尽でも、どんなに希望がなくても、皆に希望を見せるのが私達の役目でしょ!?ライカちゃんはどうするの!?あなたが捨てたら本当に誰にも愛されなくなっちゃうよ!?それにまだ……弥生ちゃんと結婚してないじゃん……!」
メリンはしばらく、特製ハンバーガーを食べて、深呼吸して、落ち着いたようだ。
「そうだ、私にはまだライカと弥生という大切な存在が居たな。ごめんミラ」
「いつも通り、女の子大好きなメリンが1番好きだよ!」
「いや〜照れるなぁ〜、籍入れちゃう?」
「弥生ちゃんに浮気したって伝えておくね」
メリンは綺麗な土下座をしたので秘密にしておくことにした。
そして夜が明けるまで、弥生ちゃんとメリンは通話しており、私はそれを眺めていた。
翌朝キング・ジョージホテルの特別応接室に私は呼び出されていた。国岩陸将補からはゼールーア大佐がお会いしたいということで来たが、本質的にはもう少し異なる気がしたのは気のせいだろうか。
「失礼します」
扉を開けると、シガレットのすぐに灰皿にしまい、メガネをくいっとさせ、黒青の髪を整えて、挨拶してくる。男性。彼がゼールーア大佐だ。
「お久しぶりです。ゼールーア閣下」
「久しぶり。朝月2等陸佐。いや〜未成年の前でシガレットを吸うなと教えられていたけど我慢できなくてね」
「私は魔砲少女です。お気になさらず」
「いやいや。素敵な女性からシガレットの匂いがするのは問題ですよ。さて、貴官の部隊の上官という事だが、ぶっちゃけ君が最上位指揮官だ。私は事実上の大隊付属の参謀長みたいなものだよ」
そのまま私はオレンジジュースを「失礼」と言って飲みながら、ゼールーア大佐の出した部隊訓練計画書を確認する。
やはり機動戦の得意なドイツらしく、飛行戦闘魔砲少女大隊は基本的には航空機奇襲からの小隊レベルでの各位置からの突撃隊形、敵分断後の包囲戦滅を意識したトレーニングメニューとなっている。
しかもそれを無線封鎖環境下でも実現するための手法まで示されていた。
「閣下らしい、機動力に重きを置いた戦術訓練プログラムですね」
「まぁ、それが私の得意分野だからね。そして何より朝月2等陸佐、君は世界で12名しかいない最上位の魔砲少女だ。魔力量、戦術眼、格闘戦、加えて魔法装甲全般を破壊するライフルの入手。機動戦力として申し分ない」
私は「過分なお言葉感謝致します」と返して、ページを読み進めると小隊襲撃隊形にも様々な種類と予測戦術結果を記していた。
5人小隊を3人を前衛にして三角形のように配置して、真ん中から縦に3名の、ブレットアタックフォーメーションから、十字架を意識したロザリオフォーメーションなど、この人は図形大好きなのかとすら思える。
「閣下、失礼ながらこれほどまでの部隊隊形の推測。どこで知恵を得たのかお聞きしても?」
「簡単だよ。賢い知人から意見を貰って、自分で考える。私の友人には数学者、統計学者、戦術学者。様々いるが彼らに酒などをチラつかせて、意見を貰って、自分で統合すればおのずと知識は増えるものだよ」
「なるほど。そういうものですか……」
「朝月2等陸佐。友達は大事にした方がいい。賢い友人ほど頼りなるものはないからね。だが、賢い友人ほど見切られやすい。相手の頭脳を可能な限り多くの物差しで測るのがいい」
そうして、二人で軽く雑談している。ゼールーア大佐のスマホが鳴り、彼が応じる。
内容からして、魔術界への第1陣人類戦力が向かったとの事らしい。
あのエイブラムス戦車やハイマース(高機動ロケット砲システム)、ブラッドレー軽戦車が向かうと思うと結局人類は損をしてでも戦争に参加したい欲求がよく見える。
「さてと2等陸佐。私は先に習志野に向かうとするよ。山岩陸将も向かったそうだから、挨拶だけはしておきたいからね。あと……今回の魔術界への戦争介入。私の予想が正しければ航空部隊はヘリコプターと飛行戦闘魔砲少女部隊のみだ。空軍基地は作らないだろう。つまり魔力量は存分に用意しておいた方がいい。それでは」
リジャーシャから昔聞いた話で月光夜の覇王と呼ばれた夜間のみに現れる2本の剣を持った空飛ぶ魔剣構成生命体はマッハ6以上で飛び、物理法則を無視した飛行が可能らしい。
今の私ではとてもでは無いが手に余る。
イノセントピースの発射速度を考えてもこっちもマッハ5.5以上で追撃する必要があるのはそこまで難しく考えなくても分かるだろう。
「私が強くなる……か……」
魔砲少女は人類が戦争する必要を無くすために、魔砲妖精が動いたが、人類の裏切り行為が目立ち、魔剣勢力に人類への信頼性を問われ、破綻した結果、魔砲少女達は魔砲妖精達のために戦争をする。
世界とはどこに行っても汚い色をしているに思えるな……




