第20話: Move The Witchcraft would Case2
第20話: Move The Witchcraft would Case2
会議には慣れっこではあるが、異界の地では胃を削られるような不安に襲われる。
不意にARSGに殺された時を思い出し、奥歯を噛み締める。
クソッ、気にすんな。私に私のやるべきことがある。もしここで山岩陸将達を死なせてしまったら大変なことになる。
その時、バレットMRADのサイレンサー付けた独特の発砲音と同時に魔砲構成生命体の砲撃音が聞こえる。
すぐに腕時計を見たら3番レッドが点滅していた。
「大隊総員!戦闘配置!飛べる自信のある者は何人いるか!おくれ!」
「1-0小隊から大隊長へ!こちらは全員飛べます!おくれ!」
「1-0小隊は屋上へ集結!ミラ隊員の狙撃支援のもと敵部隊を撃滅する!返答不要おわり!」
「カロライナから弥生へ。桜ちゃんのことは私がしっかり見ておく。絶対に2人とも死なせないから安心してくれ。あとこっちの飛行小隊も飛ばす。返答不要おわり」
カロライナ……やっぱりあんたは頼りになるよ。すぐに屋上に登ると十数体の魔剣構成生命体が剣をを投げてきて、宮殿を攻撃し、それに呼応するように屋上の魔砲構成生命体が砲撃を実施している。
「ミラ!こちらはいつでも飛べるぞ!」
「ドラゴンを始末しました!ただ……高速機動の魔剣妖精が排除しきれません!魔剣構成生命体は魔砲構成生命体が引き受けてくれるそうです!」
「了解した!。小隊迎撃準備!軍用時計の信号合図は規定3を使用!内容は覚えてると信じてる!行くぞ!初の飛行戦闘だ!!」
私はブローチに魔力を込めるとフワーと体が浮き始め、即座に感覚をイメージし、真っ先に突っ込む。続いて1-0小隊が9.8mm航空機関銃を構えながら着いてきてくれる。
「1-0リーダー、感明よろしいか?」
「大隊長、問題ありません!」
「魔剣妖精は20体いるが、集団で固まってる。離れた地域から銃撃を食らわせてやれ!私は魔法装甲で弾けるから当てるつもりで撃っても構わない!質問以外返答不要!」
私は全力で魔剣妖精に近づくと、次々と刃物ような物を投げてくる。
すぐに軽い魔力を当てて威力を検証するが、ただの鉄のナイフとしか判別されない。
「逆に不気味だ……」
そして後ろからダダダダダーーーン!!と機関銃が音を立てて、風を切り裂きながら魔剣妖精を撃ち抜く。
私も負けじとコルト・ターミネーターを引き抜き、初めての航空戦だが、ゲームでやった戦闘機機動をイメージして、ガンガン!と撃ちながら、旋回時に速度を落として、旋回半径を短くする。
「1-0小隊!止まるな!常に機動を徹底しろ!外しても誰も笑わない!今は実戦としてはかなり良い試金石だ!突撃隊形で魔剣妖精の行動阻止と撃滅を優先!返答不要。おわり!」
私は後ろに回り込まれた瞬間、すぐに嫌な予感がして、立ち止まるようにブレーキと共に反転し、敵を正確に拳銃狙撃する。
魔剣妖精もバカじゃないはず。このままだと火力負けすることはわかってるはず……まさか!?
「カロライナ!応答しろ!!」
返事は無い。クソッ!はめられた!
「1-0小隊長!魔剣妖精は囮だ!私は速やかに宮殿へ戻る!敵の主力がいるはずだ!!」
「大隊長!1人では危険です!こちらからも何名か!」
「囮だからといえ、無視はできない!殲滅したら来い!」
私は急速反転攻勢に転じ、宮殿まで最大速力で向かう。
あまり使いたくはないが……
魔法がこの世界の物理なら魔力さえあれば、地球での物理学上可能なことなら出来るはず!
望遠レンズのデザインをイメージし、宮殿を拡大すると火の手が上がっていた。
なんとかミラの隣に着地し、深呼吸してから状況を聞く。
「状況は!?」
「周囲一帯の無線がブラックアウトされてる模様!ただ……敵が弱すぎるというのか……圧勝してます……まるで死を恐れない自爆テロ犯みたいです!」
どういう事だ?魔剣構成生命体は命が惜しくないのか?そもそも人間の思考と違うのか?このままでは宮殿が自爆で崩壊しかねない……
「私は山岩陸将達の保護に向かう!ミラは引き続き、敵の排除を任せるわ!」
「ラジャーです!」
私は階段かけおり、会議室に向かうとアメリカの魔砲少女達が防衛ラインを固めていた。
流石戦争慣れしてるだけはある。
「カロライナ!桜は無事か!?」
「桜ちゃんに怪我させるわけないだろ?それよりも会議室からお呼びだよ」
私はこういう時はノックすべきか悩んだが、緊急なら!と思いドアを開けて、儀礼上の挨拶を行う。
「会議中のところ失礼します!お呼びということでノックは省略しました!」
山岩陸将の手招きに預かり、そばに駆け寄ると黒いガンケースが渡される。
「魔砲妖精軍達は君を信じることが総意ということだ。それを裏切ることをしないなら受け取れ」
「……魔砲妖精との契約は私は守り続ける覚悟に変わりはありません。頂戴いたします。開けてもよろしいでしょうか?」
山岩陸将は魔砲妖精の長であるワイングラスを片手に持つ人形妖精に視線を向ける。
「構わない。リジャーシャ、心の弾丸の魔力流れの登録は任したぞ」
「はいっ!」
リジャーシャはガンケースと一体化して、私はガンケースに触れるとピーという認証音と共に、黒色と銀色の見た感じはコルトM1885 10ゲージライフルのようなリボルディングライフルが出てくる。回転弾倉は見た感じは8発、それが黒色と銀色。ストックは高級な感じがするダークブラウンだった。
「これは……」
「零式対魔法装甲完全貫徹型ライフル。イノセント・ピース(純粋な平和)だ。一撃で魔剣構成生命体最強のエクスカリバークラスの聖盾も撃ち抜ける。量産はできないし、人間には効力を示さないが、君なら使いこなせると信じているよ」
魔砲妖精の長はワインを飲みながら答えてくれる。
「弾数は魔力で補充されるから魔力があれば無制限で撃てる。弾丸は魔力を使いたくない時に限定してくれ。10ゲージ魔法徹甲スラッグが64発つまり、8弾倉分だ」
「ありがとうございます。必ずや期待にお応えしましょう」
そして会議も決着したようで、銃声と砲声が鳴り響く中、各魔砲少女が周囲警戒しながら、宮殿の外へ出る。
そのまま山岩陸将は魔砲妖精の長に問いかける。
「逃げなくてよろしいのですか?我々はあなた方を迎え入れる準備はありますよ」
「我々が逃げては妖精王に示しがつかないからな。それに妖精の剣王スター・レーヴァンなどが来られてはかなり戦況が厳しくなる。会議通りに数週間は持ちこたえてみせる。だから早めの人類戦力の投入をお願いします」
「かしこまりました。必ずや今度は我々がお助けします」
魔砲妖精の長と山岩陸将は握手を交わし、迎えに来ていた自衛隊の高機動車に乗り込み、荒廃した大地に破壊された建物の残骸が泣く、世界を後にした。




