第19話:Move The Witchcraft would Case1
第19話:Move The Witchcraft would Case1
山岩陸将の発言に基地の空気は凍りついたが、同時に人類初の魔術界への侵入となるのは目に見えていた。
そして山岩陸将の後についで黒姫も降りてきた。これは私に撃てという暗示だろうか?
そんな意味の無い予想をさせて、場を混乱させる意図がない山岩陸将でない事も理性が教えてくれる。
待てよ……CIAのウィルソン担当官も居るということは今回の目的は……諜報も兼ねた交渉会議か?となると……CIA側の魔砲少女も……!?
よく辺りを見回すと黒姫の隣に日本人と見間違う黒い長髪の魔砲少女がいた。
武装が明らかに自衛官でも国家情報局じゃないためと、瞳の色が青いから気がつく。
「さて、諸君。車に乗って数時間のドライブといこうじゃないか。ウィルソン担当官はこの緑熊に乗っくれたら助かる」
「イエス。1度乗ってみたかったんですよ。ミスター山岩」
「ハッハッハ。乗り心地はあまり良くないですぞ?」
2人はまるで知り合いかのように談笑しながら緑熊に乗り込み、私達も後ろの緑熊に乗り込む。
すると私の隣にカロライナが座り、なにか地図のようなものを見せる。
「これは?」
「実は既に先遣隊が魔砲妖精の許可の下地図を作成していてね。この地形を見れば飛行部隊の編成も頷けると思うよ」
地図を見るとほとんどが山岳地帯になっており、同時に対空陣地の印やドラゴンの巣と書かれたエリアも点在する。
なるほど、これでは地上部隊のみ、2次元の部隊では圧倒的に不利。しかも魔術界の入り口の大きさ的に空軍基地を作るとしても何年かかるのやらの広さしかない。
「従来の魔法戦ドクトリンでは話にならないか……」
「魔法にしろ、魔砲にしろ、もう異次元の領域だよ。私からすると弥生は異次元の可愛さだけどね」
「少し黙ってろ、変態」
私は地図を眺めながら考える。それにしてもよくできたものだ。前線となる魔術界の入り口から離れたところに敵の航空部隊と思われるドラゴンの巣を配置し、それを守るように対空陣地、大砲部隊……大砲?榴弾砲や迫撃砲じゃなくて?
「カロライナ、大砲っていうのは中世時代とかの大砲?」
「んーとね、魔力砲のようなものだと聞いてるよ」
「威力は?」
「チャージ時間にもよるらしいけど、最大では巡航ミサイルレベルらしい。つまり魔法現実反作用でも防げないね。それどころがあっちでは魔法が事実上の物理だから魔砲殺しも魔法現実反作用も使い方を変える必要がある」
戦闘はなかなかに厳しいものになりそうだな……飛行戦闘が現実性を帯びたのも魔術界の特性を利用出来るからか……?
車両に揺られながら想定される戦闘に思いふけ、この新人大隊がいきなり実戦となれば一瞬で壊滅するリスクすら想定される。
桜さんを任されてる身としては桜さんを戦死させるわけにはいかない。最優先で守るべきか……いや、それだと将来的な戦力にならない……
数時間車に揺られ、パラベラム祭壇のあるNATO軍欧州魔法拠点に着くと物々しい雰囲気だった。常に小隊単位の対戦車ヘリコプターが飛び交い、レオポルト戦車やエイブラズム戦車が祭壇に向けられ、入り口には魔砲少女と連携を取る戦術機動特殊作戦大隊クラスの特殊部隊も待機していた。
「お疲れ様です!山岩陸将!御崎統括課長もレフィーゼCIAMPOO(CIAの魔法準軍事工作担当官)課長!」
日本語で挨拶したのは先発したと思われる国岩一等陸佐だった。
あのCIAの少女……レフィーゼというのか。
「カロライナ、レフィーゼって知ってる?」
「彼女はねぇ……裏の最強と言うべきかな。心の弾丸が侵食し切ってるのに生きてる。そして全ての銃器を魔砲化させて、しかも仲間の分まで。つまり単独で無差別で人を殺せる魔砲少女小隊の完成だよ。恐怖以外の何物でもない。本当に人間なのかすら怪しいよ」
「魔力はどれくらいあるの?」
「全世界魔砲少女の半分の量に匹敵する。規格外もいいどころだよ」
レフィーゼに黒姫。裏の最強達が集まるのはなかなかに不気味な話だ。
パラベラム祭壇はピラミッドのようになっており、最上段に祭壇があり、本来は外側から登って平和の誓いをするのだが、一番下の入り口から地下へと進む。見た目に寄らず内部は近代的な装飾が施されており、いくつもの監視カメラに睨まれる。
入る前に胸元に着けるように言われたブローチが飛行装備だと聞いてはいるが、そこに魔力を込めるだけで本当に飛ぶのだろうか。実験したいが今すれば天井に頭をぶつけるというドジっ子属性が追加されてしまう。
ピラミッドの底には大きな赤い和風の橋があり、そこから先の景色はボヤけている。
レフィーゼと黒姫に護衛された山岩陸将とウィルソン担当官が先へ進み、我々も恐る恐る足を踏み入れる。そこに広がっていた光景は……
紅い空、黒い雲、黄金の太陽、穢れた赤い大地。荒廃という言葉がこれ程似合う景色も少ないだろう。
「地獄だな……」
「酷い評価ですね。朝月さん」
私は驚くと隣にリジャーシャが浮遊しており、白猫に翼が生えたようなその存在は尻尾をブンブン振っている。
「ごめん、リジャーシャ。ちょっと驚いただけ……カロライナの魔砲妖精は?」
「もう腕にくっついてるね〜」
カロライナの方を見ると右腕にコアラ型の魔砲妖精。アゼールが抱きついていた。
眠ってるように見えるが気のせいだろうか……
「カロライナ、アゼール生きてる?」
「生きてると思うけど寝てるね。この子いつも沢山のお仕事押し付けられてるらしいし。ジャパニーズブラック企業って言ってたよ」
魔砲妖精社会にもブラック企業っていう概念あるんだ……
そのまま荒廃した空と大地にレンガ造りの建物があり、魔砲妖精や魔砲構成生命体が見える。
彼らも正直怖いのだろう、怯えてるように見える。実際ここにいる彼らが奇襲を仕掛けたら多分こっちは負けるだろう。
歩み続けること1時間、白い宮殿が見え始め、警衛の魔砲構成生命体に入り口を通されると山岩陸将が一言。
「ここからは上級役職者が話を決める。朝月君、君が全員を統率して万が一の襲撃に備えてくれ。黒姫統括課長は会議に参加してもらう」
「承知しました」
黒姫が笑顔で手を振るが、煽り好きのあいつだ。気にしなくていい。
「それで、どうする?我らが部隊長さん」
「カロライナはアメリカの魔砲少女の作戦指揮を任せるわ。魔法言語翻訳があるとはいえ、あなたが1番皆の特性をご存知でしょ?」
「そう言ってくれると思ったよ。すぐに配置につかせる。ミラ、君は屋上から敵影の視認があったら3番レッドでお願い」
「ミラ、承知しました!」
その後各自が会議室周辺警備へと当たる。異界の地での警備は人類初となる異世界大戦の発端か、あるいは会議は成功か……
そしてこの世界が荒廃するに至った理由も私なりに気にはなる。魔剣妖精と魔砲妖精は仲が悪いとは聞いていたがこの世界が荒廃するのは双方にデメリットとなるはずだ。
何かが起きた……違いない……
「いつも見て下さりありがとうございます。司会の朝月です。今夜は山岩閣下にお越し頂きました」
「山岩だ。よろしく頼む。今回は私から作者からの代理を頂いた」
「それは助かります。内容は?」
「魔砲少女シリーズを第2章開始まで毎日投稿に切り替えるそうだ。第2章開始前に読者を集めたい心が見え見えだな。あと執筆は基本Wordらしく、本人は字が綺麗に書けないから文明の利器に感謝してるらしい」
「そうですね。それでは皆さん、明日から毎晩投稿にしばらくなるのでお時間があればぜひ。それでは」




