第15話:Magical Pacific CaseLAST
第15話:Magical Pacific CaseLAST
「真田一等陸曹が重傷を負った模様!他にも3小隊は負傷者多数!朝月訓練生!行けるか!?」
「行けます!中隊長!」
あの時の私は自信に満ちていた。資料で見た魔砲構成生命体など気持ち悪いからコルト・ターミネーターで撃ち抜けば解決する。そんな油断しかない精神で3小隊の救援に向かったが……
「なによ……これ……」
3小隊のいた地域はARSGが映し出す仮想現実は……内臓が少し見えかけてるほどの重傷または死亡した陸自隊員しかいなかった。
周りから「助けてくれ……」や「死にたくない……」といった呻き声に近い声が響き渡り、私は恐怖で立ちすくんでいた。
そして剣を2本持った魔砲構成生命体がこちらに気がつく。3つの首を持つ魔物で胸からは人間の上半身が出ているという地球上ではまず見ない化け物なのは間違いない。
「いや……来ないで……来ないで!!」
私はコルト・ターミネーターを向こうの方向に乱射する。死にたくない一心だった。
弾が切れても引き金引き続け、気がついたら死んでいた。
「……い……弥生……!!」
「カロライナ……?」
「良かった……間に合った……」
私は辺りを見回すと空挺降下地点の砂浜で幾つか天幕が貼ってあり、戦時傷病者集合地点だと気がつく。
「ミラが朝月が負傷したと聞いて、急いで魔法現実反作用で空を飛びながら来たよ……まぁ……だからしばらく休憩だけどランチャークラスとキャノンクラスは排除出来たから後はゆっくりしてて……無理は許さないから」
私は撃たれた太ももを見るとCATと呼ばれる止血帯と粉状の止血剤を撒いた跡に圧縮包帯を二重で巻かれていた。
「もしかして私が意識を失ったのって……」
「そう、大腿動脈と大腿静脈が同時に離断してた。リリーナがすぐにエミリアに緊急手当させて、私が飛んできて予後不良など一切排除した治療をしたから大丈夫」
「私小隊長失格だね……」
カロライナは私の背中を叩き笑いながら答える。
「そんな落ち込まないでくれよ。JSOCの特殊部隊ですら死者は出るし、大統領だって暗殺される。死は特別ではないし、朝月は演習で重傷判定とはいえ生きてる。しかもARSGのパラメータを見る限り後遺症もほぼ無し。小隊長としては合格なんじゃない?」
カロライナの可愛らしいウインクを見て、私は少し彼女の胸に自分を預ける。
「どうした?結婚してくれる気になった?」
「少しだけ……でももう少しこうさせて……」
「いいよ、いつまでもしてくれて構わない。小隊指揮権はレイラちゃんが継承したから安心してくれ」
「うん……」
その後空を眺めたりしていると支援戦闘機による対地爆撃が行われ、対戦車ヘリコプターが空を舞い、機甲部隊による全力砲撃の結果、今演習は人類側の勝利で終わった。
私は状況終了の合図と共にARSGを外し、国岩一等陸佐とキャンプで報告を行う。
「国岩一等陸佐、小官は負傷し、戦線を離脱しました……申し訳ございません……」
「気持ちは不要。君達は自衛官である以前に人間であり、少女。よく耐え切ってくれた!桜訓練生も近いうちに三等陸佐は昇格するだろう。そして君も二等陸佐入りだ。今演習での作戦立案及びキャノンクラス三体との戦闘が山岩陸将に認められ、同時に防衛記念章第11号の授与も決まっている。良かったなこれで2個受賞で銀桜花1も授与されるぞ」
正直複雑な気持ちだったが、受け取れる物は有難く受け取ろうと思う。
では、私は小隊長として何ができるか?確かに私は絶望的戦況を打破する作戦を立案し、ほぼ全部隊の驚異となる敵を3体撃破に貢献した。だが、仲間無しでは戦死していたのも事実。
「国岩一等陸佐……今度山岩陸将と話させて貰えませんか?」
「なんなら今話すか?」
初老の少し枯れた声と共に後ろから制服姿で、左胸に多数の防衛記念章と防衛徽章を携えた陸自のエリートが姿を見せる。
「お、お疲れ様です!山岩陸将!」
「貴官もよく奮戦した。ご苦労。話があるなら向こうの天幕で話そう」
山岩陸将と共に夜の海辺を歩きながら、明かりの着いた天幕へ、案内される。
何故陸将がここに……?
「さて、要件を聞こうか」
「その前に1つ……陸将殿が何故この現場に?」
「私は魔法特殊作戦コマンドの指揮官だぞ?この演習終了と共に着くように手配済みだ。無論魔砲少女達の話を聞いたり見たりする為にな。現場を知らない指揮官などお飾りがお似合いだ」
私は山岩陸将らしいなと思いながら、今回の演習で得られた自分なりの今後の魔法特殊作戦コマンドに属する隊員への提言を行った。
「魔法特殊作戦コマンドの全隊員のTCCC(戦術的傷病者救護)とTMET(戦術魔法緊急手当)の課程の義務化か……」
山岩陸将は今回の作戦の報告書を確認しながら、お気に入りだという電子タバコを吸いながら、ため息を漏らす。
「戦略レベルでは大いに同意だ。今陸上幕僚監部内で魔砲衛生隊員の設立案が出ている。現在訓練中の魔砲少女達にARSGを付けた訓練をさせたが、やはり半数近くが対不正規魔砲少女相手でも重傷または死亡判定が出ている。死因の大半が出血性ショック。つまり適切に処置すれば防ぎえた死だ」
私は魔砲少女装備から手帳を取り出して、メモしながら、陸将の話を聞く。
その後聞き進めると、現在自衛隊全体で魔砲装備化が検討されており、魔砲妖精も『対人』目的以外なら使用を許可するという運びとなり、同時に魔法及び魔砲系統問わず特殊な医療と既存の現場緊急医療の強化が主な課題だという。
そこで私はリジャーシャの発言をようやく思い出した。
「陸将実は空挺降下時に……」
リジャーシャの言葉を伝えると、陸将は「極秘案件だ」と付けてから話を始める。
「現在世界各国の防衛最高責任者達に魔砲妖精幹部陣から魔剣種族生命体との不穏な動きと意志の決裂が表面化しているとの報告があった。つまるところ魔術界でも大規模戦争前夜という厄介な話という事だな。リジャーシャは魔砲妖精の中でも重鎮かつ強力な信頼力を有する。早いに超したことはない。貴官の学校に特別海外研修としてギリシャ行きを行わせる。希望者かつ1年生のみだ」
怪しまれそうな気もしたが、これ以上休みを取ると学校側も嘘の記録が間に合わないのも確か。ならばいっその事当該学年かつ希望者で、海外研修の方が説明が行きやすいだろう。
「承知しました。桜訓練生もご同行ですか?」
「無論」
「承知致しました、それでは失礼します」
私は天幕を出て、夜の砂浜の空気を吸う。とても新鮮で不思議と美味しいとすら思える。
そういえばもう15時間何も口にしてなかったな……
魔砲少女小隊の天幕へ移動すると糧食班の自衛官達が唐揚げとトンカツのカレーライスとツナサラダを振舞っていた。
皆の前でお腹を鳴らしてしまい、桜さんから食事を受け取る。
「ありがとう、桜さん。陸将からもうすぐ三等陸佐に昇進だそうよ、おめでとう」
「本当ですか!?ありがとうございます!朝月さんと出会った時は不安でしたけど……今はとても頼りになるお姉ちゃんみたいです!」
「そう言ってもらえて嬉しいわ」
そして夕食後は特殊作戦中隊の乗ったボートに乗り込み、揚陸艦内で夜を過ごした。
魔砲少女は高級士官であるため、快適な2人部屋でフカフカのベッドで夜を過ごし、翌朝には君津市の国連魔砲軍団基地に到着して、魔砲少女小隊の皆としばらくの別れになるだろうと思い、全員と握手をして、解散となる。
残りの休みは療養と桜さんとのプラモデル作りがあると思うと楽しみでしょうがなかった。
「今日最後の投稿はゲスト無しで朝月三等陸佐でお送りしたいと思います。私の愛銃コルト・ターミネーターについてです。45口径ACP弾を使用するロングスライドのオートマチック拳銃ですがマウントレールやアンダーレールもあり、フルでカスタムすればドットサイトやフラッシュライトと付けれます。ちなみにですが九龍教官も拳銃を得意としてるそうですが、何を使ってたかは教えてくれませんでした。ただ上腕が発達してるので大口径拳銃だと私は考えてます。そしてコルト・ターミネーターの装弾数は薬室に1発と弾倉に7発が基本ですね。拡張マガジンも作ってもらいましたが、扱いづらくなる欠点があります。それでは今夜は長々とありがとうございました。これからも私達の活躍をお送りするのでお楽しみにしてください。それでは良い夜を」




