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第7階 ダンジョン、使い切る

「待て、誰だ?この剣士は??

――強い。」


バリバリッ!!


ダンジョン内に電撃が走る。

"赤い稲妻"に、こんな剣士は居なかった筈だ。


「先生!流石です!」

――カケルの声。


「先生??この紳士風の剣士の事か?」

その剣士は……剣を振ると同時に稲妻を放った。


「もう、4階層に居るのか?」

先程の手練のパーティーとの戦闘の結果、

マジックポイントが切れて……眠い。


「アチチチッ!」

いつもの"赤い稲妻"の魔法使いの火魔法が、眠気覚ましとなる。

――今日だけは、感謝しておく。


4階層に残っているのは……レッドスコルピオンが居るな。

手練パーティーとは遭遇しなかった幸運の持ち主。


新たに産み出すにはマジックポイントが勿体ない。

――そして何より、さらに眠くなってしまう。


レッドスコルピオンは火魔法に強い。

背後から、毒針を刺せれば……


思いが通じたのか?

背後から回り込むレッドスコルピオン。


「よし!行けっ!」

緊張が走る。 


――ザンッ!!


先生と呼ばれた剣士がレッドスコルピオンの尻尾を胴体と斬り分けた。


「クッ!!ヤラれた!!」


「流石ですね〜」

褒めるカケルの声……少し驚いている様子がうかがえる。


5階層も難なく突破されてしまった。


このまま15階層まで行って貰い……

冷凍保存された俺の体を発見して貰うか?


「いや……駄目だ。」

俺はカケルとの因縁を思い出した。


ギルドで喧嘩になって……俺はカケルを倒した。

もし、恨まれていたら。


15階層で眠る俺の体をカケルは……

破壊されかねない。


「やったぞ、ついに7階層だ!」

フォレストエリアでカケルの声が響き渡った。

――クソッ

普通の状態だったら、こんな場所まで来させないのに。


「そうだ……さっきのトロントとサラマンダーのコンビが生きている!」

俺は2体の場所を確認。


2体のモンスターは侵入者"赤い稲妻"に気がついた様子。

ゆっくりと、カケル達の方へと向かっていた。


「えっと……残りのマジックポイントは5か。

ギリギリBランクを一体だけ出せるな。」

だけど……全部使い切って良いものなのか。

――躊躇する。


すると……赤い稲妻とモンスターは遭遇した。


「て、手応えありそうなモンスターじゃないか。」

「そうだな……お前には倒せない。」

カケルの言葉に反応するも、俺の声は届かない。


「このコンビは厄介だな……だが、私のサンダーブレードの敵では無い。」

紳士風の剣士が言う。


「何?倒すのか……この2体を。」


「カケル殿……右に!」

「おうよ!」

2人が同じ方向へと走り出す。


ボオオオオオ〜


サラマンダーは、走る2人に向けて炎を放った。

「熱い……」


炎によって、木々が焼かれる。

――あとで消火用のモンスターを出さないと。


「うぉーーーー!」

「サンダーブレード!」


バリバリッ!!


サラマンダーと剣士二人が衝突。

手に汗握る攻防が繰り広げられる。


「ファイアーアロー!」

「ちっ!あの魔法使いか。」


いつの間にか、サラマンダーとトロントとの距離が離れていた。


Bランクモンスター、トロントの体が炎に包まれた。

周りの木々と共に焼け落ちていく……


「――しまった。ヤラれた。」


バリバリッ!


「電撃っ!!」

サラマンダーの頭上に電撃が落ちる。


「うぉーーーー!!」

叫び声は、カケル!


サラマンダーの背後へと回ったカケルが飛びかかった!


「マズイ!マジックポイントを……使い切る!!」

俺は新たなBランクモンスターを1体、生み出した!

これで、マジックポイントはゼロ、

もう何も出せない。


森林は炎に包まれ……黒い煙が立ちこめる。


サラマンダーは……まだ、動いている!


「よし!行け!」

大きく体をくねらせて、サラマンダーは尻尾を振り回した。


ドンッ!


防いだだと!?

"赤い稲妻"の斧使い……そう言えばコイツも盾役だったな。


バリバリッ!

"先生"のサンダーブレードから放たれる稲妻。


サラマンダーは……力なく、その体を横たえた。

ドスンッと倒れた音がフォレストエリアに響き渡る。


「やったぞ!倒した!!

――俺達、"赤い稲妻"は強い!!」

そう叫ぶカケル。


カケルは右腕を高々と上げ……そのまま固まった。


「カケル殿!」

叫んだ紳士風の剣士も……石となる。


傍らには、黄色い目がクルクルと回っていた。


「よし、間に合ったな……バジリスク。」


残った"赤い稲妻"の女性魔法師と巨漢の斧使いも、

バジリスクの目を見て……石化した。


「バジリスク……僕はもう疲れたよ。」

俺はゆっくりと目を閉じる。


"ピロンッ"

ダンジョンレベルが上がった事を知らせる音を子守唄にした。


◇◇◇ 優しい声 ◇◇◇


「ちょっと、カケルさん!カケルさん!」


ん?この声は……


「ユイ?? どうしてユイが7階層に!?」


目を覚ますと、"蒼き閃光"の3人の姿がフォレストエリアにあった。

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