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第36階 王都軍との戦い

 ついに俺達の町まで戻って来た。

 突然の王都軍の来訪に町がザワめく。


「一体、何事ですか?」

 ギルドの前まで来ると、ギルドマスターのアイザスさんが飛び出して来た。

「ちょいと助っ人じゃ。」

 シイラスさんがニコリと笑いながら答える。


「シイラス師匠、私から……」

 サファイアさんが前へと出て説明をする。

 とは言っても、ドラゴンの事は伏せてダンジョンの調査だと伝えていた。

 混乱を避ける為だろう。


 時間が遅かったので、今日は宿屋へと泊まって明日の朝からダンジョンへと潜る事となった。


 俺達は早くユイに会いたい気持ちを抑え、久しぶりに拠点であるホームへと足を踏み入れた。

 "誓いの黒宴"の皆さんと離れるのも久しぶりとなる。


「いよいよだね。」

「まずは……深くまで潜らないとだな。」

「でも私、ドラゴンに会うの……ちょっと、怖い。」


「サファイアさんも、シイラスさんも居るし、王都軍の方々も一緒だ。きっと何とかなる。」

「カズヤは前向きだな……」

「私も、そう思う。」


「それでカズヤ……ドラゴンに会ったら何と話すんだ?」

「ダンジョンから、ユイを……管理者を解放して欲しいと頼むつもりだ。」

「ドラゴンが、本当に鍵を握っているのかしら?」


「それは……分からない。だけど、きっと何かを知っている筈なんだ。」

「そうか……俺はカズヤを信じる。」

「私も信じる。ユイを助けたい。……いえ、必ず助けよう。」


 俺達は珍しく自分達の部屋には行かず、リビングルームで横になりながら話ていた。

『一人で眠るのが心細い。』

 ダイキとエイレンも俺と同じ気持ち……何となく、そう感じながら……いつの間にか眠りについていた。


 ◇◇◇◇◇◇


「表向きは、ダンジョンの調査だ。が、何が起きるか分からない……心して挑もう。」

 ダンジョンの入り口、サファイアさんが部隊を鼓舞した。

 入り口にも兵士を配置して冒険者が入るのを防ぐ。


「ドラゴンが出たら、無理に攻めずに撤退も視野に入れる。良いな?」

「はい!分かりました。」

「そうじゃな、慎重に挑むとするかのぉ。」

 総勢25人程のパーティーとなる。

 俺達は、最後尾にて進軍を見守った。


「このダンジョンのモンスターには法則があるな。」

 3階層まで降りた所でサファイアさんが呟く。

 

「そうなのですか?」

「あぁ、物理攻撃に長けたモンスターと魔法攻撃に長けたモンスターがコンビを組んでいる。必ずだ。」

 

「ユイが……出してますから。」

「すまないが、その管理者の話を私は信じる事は出来ない。」

 

「じゃぁ、何故ここまで?」

「ダンジョンの秘密を知りたい……ただそれだけだ。」

サファイアさんはそう伝えると、前線で兵士達が戦う姿を真っ直ぐに見つめていた。


「大丈夫じゃ……あやつは自分が信じた事は必ずやり遂げる男じゃ。」

「そうですね……きっとユイを助け出します。」


 ◇◇◇◇◇◇


 ——ユイ視点


「ちょっと、ちょっと……大人数じゃないの!というか兵隊さん?何事なの!?」

 私は慌ててモンスターを生み出す。


「レッドゴブリンとスケルトンをって、瞬殺されちゃったじゃないの。これは……数の暴力ね。」

 私はマジックポイント温存の為、5階層までモンスターを出すのをヤメた。


「あれ?後に居るのカズヤくん達じゃないの?シイラスさん達も居るわね。これは……何かある?」

 このまま……15階層まで降りて貰った方が良いのかな?

 そう考えた途端……

「いったーい!」

 頭痛!!どこか頭なのか分からないけど、とにかく痛い。


「出します、出します!」

 しばらく管理者をして分かった。私は……誰かにコントロールされている。

 そう、モンスターの管理をさせられ、冒険者達が下層に行かないように仕向けられている。


 ダンジョンの管理者の上には……さらなる管理者がいる。そう感じた。


「サラマンダー、出て!」

「あと……トロントも!」

 火に強いサラマンダー、そしてツタの攻撃を得意とするトロント!


「敵さん多いから、2体づつ!」

 ダンジョンの本能が一気にモンスターを出すべきだと言っている。

 ——いえ、管理者の上の管理者が言っている!?


「行け!サラマンダー、火を放って!」

「トロント!そっちの兵士さんを捕らえて!」


「そう!尻尾も使って!」

「トロントが捕らえた所をサラマンダーよ!」

 

 手に汗握る攻防が繰り広げられる。

 その時。

 ——空気が張り詰めるのが分かった。

 

「サンダーボルト!」

 背の高い魔法師が電撃を放つ。

 

「え?何?この広範囲魔法は!?もしかして、シイラスさんよりも強烈??」

 一人だけ服装が違う魔法師……この人がリーダーね。

 あきらかに実力が違う。

 こんなのBランクモンスターじゃ無理!


 トロントとサラマンダーは力尽きた。


 私はあえて、フォレストエリア、火山地帯、氷の迷宮を突破させた。

 戦略を持って侵入者を見逃した時には、頭痛は無い。

 私を管理する者の意思?

 一体、誰が……?

 

 ——考えても、答えは出ない。

 兵隊さん達と"蒼き閃光""誓いの黒宴"の進軍を見守るしか手は無かった。


 ここまでは。

 

 10階層に辿り着いた所で、Aランクモンスターを繰り出す。


「——勝負よ!」

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