第32階 強者の教えと、次なる試練
王都に向かう前に森の町のギルドへと立ち寄る。
「すまんが、今回の依頼は一旦保留とさせていただく。」
「俺達も、保留にする。」
「えっと……何か問題がありましたか?」
シイラスさんと俺達が同時に依頼を保留にした事により、ギルドの担当者は困惑した様子だ。
「まずは、王都へと行く必要が出てきたのじゃ。」
「問題は……山積みですね。」
困惑している受付の方に必ず戻ると告げ、移動を開始した。
王都へと向かう為に、まず東の森を越えて大きめの町へと行く必要があった。
「サンダーボルト!」
実際、目の前で見るシイラスさんの魔法は強烈だった。
「バーサス!盾を!」
「おぅ!分かった!」
サイバーさんとバーサスさんの連携技!
——凄い!
「なぁ、カズヤ……俺達もあんな技を使ってみたいな。」
「そうだな……今度、練習しよう。」
俺とダイキの胸は高鳴った。
森を抜けた先は交易が盛んな町だった。
「ここで食料などを補充した後、馬車にでも乗ろうかのぅ。」
「はい、とりあえずギルドに行って魔石を現金化して来ますね。」
「じゃぁ、ワシらが食料品を調達しておこう。」
「では、宿屋に集合で。」
ギルドでモンスターから取れた魔石を売る。
潤っているのか、思ったより高く販売出来た。
夕刻になり、俺達はシイラスさん達は酒場に入った。ゆっくりと話すのは初めてとなる。
「それで……シイラスさんのお弟子さんは王都で何をしているのですか?」
「王都軍所属の魔法師じゃよ。」
「え?軍所属って凄い方なんじゃ?」
「さて……凄い事なのかのぉ。」
「そんな、軍に所属している方が協力してくれるのでしょうか?」
「それも問題なのじゃが、ヤツは性格的にも問題があってのぉ。」
「へ?性格……が悪いの?」
「悪いとは言ってないのじゃが……まぁ、説明はしにくいのぉ。」
王都に行った後、すぐにユイが待つダンジョンに行けるかと思っていたが……
"蒼き閃光"のメンバーは下を向いた。
「お待たせいたしましたー。」
店員さんの明るい声。
森の町と違い、酒場も盛り上がっていた。
「バーサスさん、あの盾の動きはどうやるんですか?」
「力任せにせず、流すんだよ。」
「サイバーさん、今度、剣の使い方を教えてください。」
「そうだな、王都に着いたら時間も出来るだろう。その時に訓練しようか。」
「シイラスさんの指示って的確ですよね?どうやって学んだのですか?」
「経験が一番じゃな……ワシも昔はヒヨッコだったのじゃぞ。」
「えー?シイラスさんがヒヨッコですって?」
「おいおい、ワシだって若かった頃があるのじゃぞ!」
エイレンとシイラスの会話から、笑い声が起きる。
この中に……ユイが居たらな。
ふと、空いた席が目に入る。
俺はこの場に居る筈のないユイの姿を思い浮かべた。
翌日、乗り合い馬車で王都へと出発した。
他の町に立ち寄りながらとなるので、王都までは3日程要する。
「ずっと馬車だと体が鈍りますね。」
「カズヤ殿……休む事も必要なのじゃぞ。」
「ははは……そうですね、でも俺、ずっとダンジョンの管理者で動いていなかったので、体を動かせるのが嬉しいのです。」
「そうか……お前さんがワシらをイジメておったのじゃったな。」
「そんな……必死でしたよ、ヒュドラとケルベロスのコンビがヤラれた時はどうしようかと思いました。」
「あれは醜悪なコンビじゃったなのぉ~。やはりお前さんは意地悪じゃ。」
「あれが、仕事でしたので……とは言え、スミマセンでした。」
「いや、良い経験じゃったな。ユイ殿の水魔法に助けられた。」
「えぇ、見てましたよ……ユイ、強くなったなって。」
「ユイ殿を、早く助けてあげたいところじゃ。」
「はい……よろしくお願いします。」
◇◇◇◇◇
「王都が見えて来たぞ!」
あれ?いつの間に眠っていたのだろうか。
サイバーさんの声で目を覚ました。
初めて見る王都はとても大きく、とても高い壁に囲まれていた。
——王都軍の魔法師か、クセのありそうな方みたいだけど……何としても協力して貰わないと。
俺は改めて決意を胸に抱いた。




