第27階 黒宴の行方
「なぁ、カズヤ……町の外ってこんなに出たか?」
「それ、俺も思った。モンスター多すぎ。」
「今、そんな話をしている場合じゃないから!コイツら、連携してくる!」
森に入ってすぐに違和感を感じた。
――モンスターの数が多すぎる。
ドンッ!
エイレンの槍が一角兎アルミラージの体を捕らえた。
「もう一匹、左に回り込んだわ!」
「任せろ!」
ガンッ
ダイキが片手剣を水平に薙ぎ払うと、兎型モンスターの角だけが吹き飛ぶ。
「しまった!」
ザンッ
「――油断大敵。」
俺はダイキが撃ち損ねたアルミラージを倒した。
「右からも来た!!」
――――
「はぁ、はぁ、はぁ…」
息が上がる。
小型のモンスター、アルミラージ……強いモンスターでは無い。だが、数が異常に多かった。
殲滅した後、3人揃って安堵の溜息が溢れる。
「やっぱり魔法使いが居ないと、すばしこいのや鳥型に手こずるわね。」
「あぁ、早くユイを取り戻さないとだな。」
「"誓いの黒宴"が向かった町は、この森の向こうだ……急ごう。」
俺達3人はギルドで得た"誓いの黒宴"の足取りを追っていた。ユイを助ける為に必要なパーティー。見つけて協力を申し出ないと。
森を抜けると、視界が広く開けた崖の上へと出た。
眼下には大きな川と、その隣に円形の町が見える。
「あの町だな。」
「あぁ、そうに違いない。」
「急ぎましょ。」
町の名前はリュウリーン。
山間のこの町は林業を生業にしている。
「何か……暗い雰囲気ね。」
「あぁ、何だろうな?」
木材の売買は今、景気が悪いのだろうか?
町に活気は無く、露店の商品も少なかった。
俺達は宿を確保した後、ギルドへと急ぐ。
「あの、"誓いの黒宴"というパーティーは来ていませんか?」
「はい……来ております。」
「――どこに、どこに居ますか?」
「森の探索に出て貰っていまして……ですが。」
受付嬢さんは不安気な表情を浮かべながら続けた。
「――しばらく、帰って来ていないのです。」
「そうですか。」
森と一言で言ってもこの町の周辺は広大な森林が広がっている。探すのは大変だ。
しばらく帰っていないとの言葉も聞き、俺は思わず項垂れてしまった。
「でも……探さないとね。」
「エイレンの言う通りだ。」
2人の前向きな言葉に励まさられる。
「そうだな、探そう。」
そう伝えると、俺達3人は頷きあった。
「あの……どうせなら、依頼を受けて貰えませんか?
多い方が有難い依頼ですので。」
受付嬢の方は、そう言うとそっと紙を差し出した。
「え?モンスターの多発ですか?」
「はい、森に異常な数のモンスターが出現していまして、とても困っているのです。」
「それで……この町は活気が無いのか。」
モンスター多発の原因の解明依頼――だが、俺達は"誓いの黒宴"を探さなければならない。
「この依頼、受けましょ。」
エイレンは俺の顔をジッと見ながら、さらに伝えた。
「町の人達が困っているから……」
「それは……確かにだが……」
「困っている人を放っておけないのが、俺達"蒼き閃光"だよな。」
笑いながら言うダイキに向かい、俺は頷いた。
「そうだな……この依頼を無視したら俺達じゃない。」
俺達は依頼書を受け取った。
「ねぇ、カズヤ……少し焦りすぎよ。」
「焦りは、危険を生み出す。カズヤがいつも言っていた言葉だな。」
宿に帰ると、装備を解きながら2人は伝えてくれた。
「そうだな……焦ってミスをしたら元も子もないよな。
すまない……俺、ユイを助けないとっていう思いが強すぎて。」
「カズヤが負い目を感じるのは分かる。でも、カズヤだって元は被害者でしょ?」
エイレンの目が少し潤んでいるのが分かった。
「俺も同意見だ。この前は……少し腹を立ててしまったがよ。俺はお前が生きていてくれた事が嬉しいんだ。」
ダイキは、そう言うと頭を掻いた。
「だが……ユイを管理者にしてしまったのは俺の失敗だ。必ず助けないと。」
「それは確かにカズヤの言う通りね……だけど、もう失敗は許されないわ。分かる?」
「あぁ、俺は二度と同じ過ち《あやま》ちを繰り返さない。」
「じゃぁ……冷静にならないとだな。カズヤ、それとも俺を次の管理者にするつもりか?」
「そ、そんな訳無いだろ!」
何故、ダイキがそんな事を言うのか、俺は分からず叫んだ。
「ほら、冷静じゃないじゃないか……お前らしく、堂々としていろ。」
「そうね、蒼き閃光のリーダーはカズヤだけ。しっかりしてね!」
エイレンは、そう言うと俺の背中をバンッと叩いた。
「イテッ!……でも、二人共ありがとう。」
ユイを管理者にしてしまったのは、俺の失敗だ。
だが、しっかりと前を向いて行かないと……次は他の誰かを犠牲にしてしまうかも知れない。
「さぁ、早く飯食いに行こうぜー!」
「ね、今日は久しぶりに贅沢しちゃおうよ!」
ダイキとエイレン……2人が仲間で本当に良かった。
酒場の席に着く。
が――そこには酒場特有の賑やかさが一つも無かった。




