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第24階 再会(第一章 最終話)

「ユイ……ユイ……」

 真っ白になった世界。

 俺は手探りでユイを探した。

 ……が、何も無い。何も聞こえない。


「ユイ!いないのか!」

 大きな声で叫んだ時。

 小さな声が聞こえた。


「カズヤくん……」


 それは紛れもないユイの声。

 姿は見えない。

 けど、俺は確かにユイを感じた。


 そして……確信した。

 俺はユイを殺してしまったんだ……


 ごめん、ユイ……

 言葉にしようとした思い。

 ――が、俺はその言葉を口に出せずにいる。


 あの時と同じ空間。

 ここはリーンの言葉を聞いた空間だ。


 ――管理者交代。


「カズヤくん……ここはどこ?」

 ユイの問いに俺は答える事が出来なかった。


「ごめん……ユイ。」

「え?どうして?」


「グリフォンを出したのは俺だ。」

「何を……言っているの?」


「よく聞いてくれ……ユイ。」

「うん。」

 

「誰かを殺せば……ユイは生き返る。」

「え?」


「けど……きっと俺が助ける!」

「うん。」


「それまで……希望を待っていてくれ。」

「希望……か……」


「そう、勝手な事を言っている事は分かっている。」

「怖いよ……カズヤくん。」


「怖いのは分かる……だけど、大丈夫だ。」

「本当に……ここから戻れるの?」 


「絶対に……俺が……助ける。」

「あ……何か……意識が……私、まだ一緒に……」


 眩しい光が収まると、暗闇に包まれた。

 うぅ……寒い。

 久しぶりの感覚を思い出す。


 風の音。

 何かが腐ったような嫌な匂い。


 そっと右腕を動かす。

「あぁ……木の枝じゃない。俺の腕だ。」


 左手、胴体、そして顔を触る。

「俺の体だ……」


 暗闇の中で一人、大の字で横になっている自分の姿が分かる。

「ん?これは……」

 右手に当たった硬い物……それは、俺が愛用していた剣だと分かった。


「イテテテ。」

 動かそうとする体からキシム音が聞こえるようだ。


 ゆっくりと立ち上がった。


「ここは……第一階層か。」

 見慣れた空間。

 第一階層から第二階層へと降りる階段がある場所だ。


「ユイ……ごめん。」

 俺は改めてユイに謝罪の言葉を口にする。

 ――もしかしたら、聞いているかも知れない。


「「――カズヤ!?」」

 階段から、2人の声が聞こえた。


「ダイキ……エイレン。」


「カズヤ!生きていたのか!」

「今までどこに居たんだ!?」

 2人は俺の体に掴みかかった。


「あぁ、ずっと……ここに居た。このダンジョンに。」


「そうか……」

 不思議そうな表情をしたダイキとエイレンは、すぐにその表情を変えた。

 

「カズヤ、助けて!ユイがユイが消えたの!」

 2人はすがるように俺に叫ぶ。


「体が消えた感じか?」

「そう!光に包まれたかと思ったら、跡形も無く消えたんだ!」

 

 ――ずっと見ていた。

 だから全てを知っている。

「ユイの体は……おそらく15階層にある。」


「「え?」」 

 2人の声が揃った。


「どうして知っている?」

「ユイは、電撃を受けたんだ!早く治療しないと。」


「知っている……全部、知っている。全部、見ていた。」


「一体、どういう事なんだ!?」

 ダイキはそう言うと、俺の肩を揺らした。


「俺が悪いんだ……」

身震いする体をグッと鎮めた。

「俺が……ユイを殺した。」

 伝えると、ダイキの手が止まった。


 エイレンの叫び声。

「何、言ってんだ?ユイに電撃を浴びせたのは、グリフォンだ。お前が、あのグリフォンだったと言うのか?」


「いや違う。だが……あのグリフォンを生み出したのが俺だ。ユイを殺してしまったのと同じ事だ。」

 俺は溢れ出る涙をグッと堪えた。


「……。」

 2人は沈黙となった。


「頭がおかしくなったと思うだろうが……

俺は死んで、このダンジョンとなっていた。お前達の事、ユイの事もずっと見ていたんだ。」


「ちょっと……何を言っているのか分からないな。」

2人は顔を見合わせた。


「その反応なのは……仕方ない。ただ一つだけ、これだけは信じて欲しい。」

「ユイは……生きている。」


「そんなの……信じるしか無いじゃないか。」

「バカヤロー、ユイは生きているに決まっているだろ!信じるも信じないもあるか!」


「信じてくれてありがとう。鍵は、あのドラゴンだ……きっと何かを知っている。

 2人共……頼む。俺と一緒にこのダンジョンを攻略してくれ。」


「あぁ、勿論だ!」

「3人でユイを取り戻そう!」


 俺はふたたび冒険者となって、ダンジョンを……ユイを生き返させる!

 ――もう、誰も死なせない。 


 俺達3人は、下階層へと繋がる階段をじっと見つめた。

 

―――― 第一章 完 ――――



ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ユイとの再会、そして別れ――

ここから物語はさらに大きく動いていきます。


もし少しでも「続きが気になる」と思っていただけたら、

評価やイイネで応援していただけると嬉しいです!

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