第22階 初心者パーティー
俺は強いモンスターを生み出せずに居た。
『見知らぬ冒険者を殺して俺は生き返る。』
生き返る為の手段が分かった。
実行しようとするも……気持ちに踏ん切りがつかない。
――カチッ。
「わっ!何だこの光は?」
侵入していた冒険者達の叫び声が木霊する。
今、お気に入りのトラップが発動した。
このトラップを冒険者が踏むと、辺りが強い光に包まれ……
「ここは……一階層!?」
ワープトラップ。
この冒険者パーティーも五階層から一階層へと飛ばしてやった!
「何だよ!せっかく五階層まで行ったのに。」
「このダンジョン、弱いモンスターしか出なしハズレね。」
「そうだよな、今日は帰って明日は違うダンジョンに行こう。」
一階層に飛ばされたパーティーが、つまらなさそうに話をしていた。
正直、不甲斐ない。
だけど……俺はこのパーティーのメンバー、誰一人として知らない。
何の恨みもない人達を、俺の代わりにこのダンジョンの管理者にする事が出来なかった。
カケルは……一瞬、考えたけどな。
「カケルを殺せないのなら……他の誰も無理なんじゃ?」
管理者となれば、孤独との戦いだ。
誰とも触れ合う事も、話をする事も出来ない。
リーンとか言ったか……俺が天使様と思い込んでいたあの娘。
俺を殺してリーンは生き返った。
あの娘も孤独だったんだ。
こんな役割、そりゃ……耐えられないわな。
「俺がずっとこの役割を担っていたら、他の誰かを不幸にする事にはならない。」
――だけど。
「俺はもう、ユイと話をする事が出来ないのか……」
俺が生きていると信じて、何度もこのダンジョンに足を運んでくれているのに……
また冒険者がやって来た。
「よし!初ダンジョンだ!」
「頑張ろうね!」
「記念すべき一歩。」
3人組のパーティーか、初心者っぽいな。
剣士に弓使い、そして魔法師。
まだ若く……15歳くらいかな?
「とりあえず……ゴブリンで良いか。」
俺はグリーンゴブリンを生み出した。
あ、コイツ……ユイが俺と間違えたヤツだな。
踊るような仕草をしながら歩くゴブリンの姿。
絶対、俺と違うやん……改めて思う。
「来たぞ!ゴブリンだ!」
「私が倒す!」
剣士の少年が叫ぶと同時に、弓使いが弓を引いた。
ビュッ!!
真っ直ぐに飛ぶ弓矢を、グリーンゴブリンはクルリと回ってかわした。
――独特なかわし方たな、コイツ。
「ウォーターボール!」
お、水魔法使いか。
だが、グリーンゴブリンは水魔法に強い。
当たっても……ダメージは低い。
というか……またしても、グリーンゴブリンはヒラリとかわした。
「ヤーーー!!」
剣士の少年が突っ込んだ。
ちょっと、前のめりだな。
あんな上段からの構えだと、カウンターを喰らったら大怪我するぞ。
俺の予想が当たった。
グリーンゴブリンは、ひょいとかわすと少年のお腹に一撃を加えた。
「ガハッ!」
――息が止まる。
悶絶しながら、倒れる少年剣士。
「おいおい、手加減してやれよ。」
「キョウ!!」
弓使いと魔法師の少女2人が、倒れた少年剣士の名前を叫ぶ。
グリーンゴブリンは、構わず追撃。
――すると思ったら、倒れている少年から離れて踊りだした。
「何……してんだ?」
もしかして、このグリーンゴブリン。
冒険者を殺すのが怖い!?
そうか……今の俺か。
このグリーンゴブリン、
ユイが俺と間違えた理由が分かった。
外見じゃなくて……中身か……
弓使いがサポートしている間に、魔法師の少女が少年を助けた。
「大丈夫?ポーションを飲んで!」
グリーンゴブリンにさえ手こずる初心者パーティー。
そう言えば、俺達"蒼き閃光"も最初はこんな感じだったかもな。
こうやって、ずっと冒険者達を育成するのも良いかも知れない。
もしかしたら、冒険者を殺す以外にも生き返る方法があるかも?
――そんなの単なる希望である事を分かっている。
だけど、その可能性に逃げたい。
もし……他に生き返る方法があるとしたら?
おそらく、その答えを知っているのは――あの知能を持ったドラゴンだ。
俺は、あのドラゴンにもう一度 会いたいと思った。
そう言えば……
あれ?あのグリーンゴブリンが居ない。
「もしかして……アイツ、逃げたのか?」
――俺、みたいに。




