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第19階 秘密を知る

ついに出会った…天使様。

俺が死んだ時に聞こえた声の持ち主。


あの透き通るような美しい声を思い出す。


でも……どうして、人間側に居るんだ?

しかも、冒険者ってどういう事だ?


「おーい!天使様ー!

戻してくれー、俺を人間に戻してくれー!」


そう叫んだが、天使様と呼ばれたリーンは、無視して仲間達と歩いてる。


「俺の言葉……天使様には届かないのか?」


せっかく巡ってきたチャンス。

何としても復活する方法を聞かないと。


それとも……天使様に15階層まで行って貰って、俺の体の氷を溶かしてもらう?


色々と思考を巡らしている間に、"赤い稲妻"の5人は8階層へと辿り着いた、


8階層 《水鏡の迷宮》


「――ここは、何だ?」

「水鏡の迷宮…迷いやすいから、離れ離れにならないように気をつけて。」

リーンがカケルを落ち着かせるように説明した。


「まるで鏡の中を歩くようね。」

「火魔法に弱いモンスターが多いから、よろしくね。」

そう言われると……反抗したくなるな。


とは言え……出せるモンスターに制限をかけられているのは確か。

このエリアではワイバーンなどの火を使うモンスターなどは出せない。


「仕方ない……セオリー通り、サハギンを出すか。」

マジックポイントを5使用。


「お、コイツも出せるな。」

俺はさらにホワイトシャークも生み出した。


どちらもBランクモンスター。

シャークに消費したマジックポイントも5。


サハギンの後をシャークが追随する。


水面から飛び出したサハギン!


「何!?この鏡から飛び出すだと!!」


慌てるカケル。

冷静な紳士風の剣士も取り乱している。


鏡だと思って歩いていた床面が突然、水飛沫を上げると共にモンスターが飛び出るのだから当然の反応だ。


だが、リーンは…冷静だった。

まるで、すべてを分かっているかのよう。


さらに飛び出したホワイトシャークをリーンは、ヒラリとかわした。


「サンダーブレード!」

「ファイアーアロー!」

それぞれが技を繰り出すも、当てる事は出来ない。


サハギンと、ホワイトシャーク、

二体のモンスターは、上下左右の水面から飛び出し、攻撃を加える。


「動きの予想が出来ないわ!」

「どこに盾を構えれば良いんだ!」

魔法師と、盾使いも混乱している。


”赤い稲妻"の5人は、それぞれ別々に動き連係を取れないでいる。

次第にお互いの距離が開き始めた。


「リーン!どうしたら良い!?」

カケルが叫ぶ。

――も、返事が無いようだ。


あれ?リーンが居なくなった?


俺は体内を探った。

すると……少し離れたところで、くつろいでいる姿を見つけた。


「天使様…何しているんだ?」

俺はオブジェクト……水面を揺らしてみた。


すると、天使様……リーンは俺の方を見上げた。

――気がした。


「アイツらじゃ駄目ね、力不足だわ。

――この先に進むのは無理ね。」

俺に告げるかのようにリーンは叫んだ。


"赤い稲妻"じゃ15階層まで辿り着けないって事か?

俺は、さらに水面を揺らした。


「言い忘れてたけど、一度管理者になった者は、二度管理者になる事は無いわ。」


ん?管理者……ダンジョンの管理者って事か?

今の俺の事?


応えるかのように、水面を揺らす。


「だから、私を殺しても無駄よ。」


へ?天使様を殺す?

――そんな事をする訳無いじゃないか?

何を言っているんだ?


俺は水面を大きめに揺らしてみた。


「あのカケルって奴を殺したら?

――生意気だし、良いんじゃない?」


一体、何の事だ?


「カケルを殺したら……どうなるって言うんだ!?」

思わず叫ぶ声が大きくなる。

が……やはり天使様には聞こえていない。


さらに大きく水面を揺らしてみた。


「そう、その気になったのね…じゃぁ、カケルに代わって貰いなさい。」

天使様の言葉が脳内に響く。


「ちょ、ちょっと待て…

何でそんな事を言うんだ?」


『カケルに代わって貰いなさい。』

その言葉が脳内で繰り返される。


もしかして……


「カケルが死んだら、

俺は生き返る事が出来るのか?」


リーンは……俺と同じだった…

元管理者だ……


そして、俺をこのダンジョンで死亡させ、

リーンは生き返った。


天使様じゃなかったんだ。

透き通るようなその声を聞いて、俺は勘違いをした。


証拠は無い。

リーンの言葉から推測したに過ぎない。

――でも、間違っているとも思えなかった。



呆然となった。

俺が生き返る為には、誰かを殺さなければならない。


――そんな事、出来る訳がない。


だが、


「もし、俺が戻れるなら……?」


その考えを、

完全に捨てきる事が出来なかった。

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