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洋館の記憶  作者: ヤン
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第二十三話 オレが……

「引っ越してきたその日に、何かの気配を感じて。次の日、うちの大きな木のそばで、また何か感じて。どうやら、それはよっちゃんだったみたい。今朝は、『トシヤ』って言ってて。だから、どこのトシヤさんかと思ったけど、登校して写真を芽衣子(めえこ)に見せたら、彼女が気が付いて。それから、私もわかったよ。自分の鈍さに、ちょっと呆れた。だけど、とにかく先生に会って話さないといけないと思ってさ」

「そうだったのか」


 先生は、カップを置いて俯いた。


「先生の、あの変なキャラクター演じてるのって、よっちゃんが死んじゃったのと関係あるの?」


 先生は一瞬もためらわず、「あるよ」と言った。


「オレはさ、自分が嫌になったんだ。だから、ああやって、変な人を演じて馬鹿にされて、嫌われて、生きていこうって決めたんだ。変だろう?」

「変だね。でもさ、事情があるからだろう」


 先生は頷き、私を見た。


「深谷野さんは、良子(よしこ)が何で死んだか知ってる?」


 首を振った。先生は、「そうか」と言ってから、さらに憂鬱そうな顔をして、


「オレが殺した。実際には手は下してない。でも、オレのせいだから。オレが殺したも同然なんだ」


 殺した、という言葉に胸がずきんとして何も言えなかった。


「高校に入学して、夏休みに入る前くらいだった。良子がオレに告白してきた。で、付き合うことにしたんだ。

 何て言うのかな。こんなことを君に言うと失礼だとは思うんだけど、良子がすごく好きだったんじゃなくて、付き合うっていうそのことにかっこよさを感じて。オレの周りには付き合ってる奴はいなくて、オレ、すげーだろ、みたいな感じで。

 ごめんな、深谷野さん。だけど、最初はそんないい加減な気持ちだった。徐々に好きになったけど。すごくいい子だったから」

「いい人だったんだ、よっちゃん。母とは仲のいい姉妹だったのに、私が生まれてからはあまり交流してなくて、よく知らないんだ」


 先生は、紅茶を口にした。ここからが、きっと辛い話になるんだろう。


 私は、青白い顔をした先生を、じっと見つめた。




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