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ゴースト撃退

 地上にいるゴーストを1体ずつ倒していく遼は、歯を食いしばりながら動き回る。


「どんだけいるんだよ!」


 霊力消費を抑えるため、七色を付与せずに攻撃するが、一撃でゴーストを倒せないのは遼にとってストレスだった。背後からの攻撃に注意しつつ、的確に倒していくが、霊力も体力も限界近かった。


「くそッ! このままじゃ……」


 自分の実力不足を感じた遼は、歯ぎしりし、悔しそうな顔になる。その時、遼の周囲に爆発が起き、周りにいたゴーストが一気に消滅する。何が起きたのか理解できない遼は、思わず銃口を下げる。


「ボロボロですね。西原さん」


「三上!」


 遼は目の前に現れた隼人を睨みつける。隼人は呆れた表情を浮かべて、遼に背を向ける。


「助けてくれなんて言ってないぞ」


「君の隊長からさっき無線がきて、助けてやってくれって言われたから助けただけですよ」


「玲奈が?」


「お喋りはここまでです。ここは僕に任せて撤退してください」


『遼くん、隼人の言うとおりだよ。霊力も残り少ないし、撤退して』


 遼は数十秒悩んだ末、穂香に「了解」と言葉を返して、隼人に目を向ける。


「……借りだ」


「ん? 借り?」


「認めたくないが、俺は限界だ。今回はお前に借りを作らせてもらいたいって言ってんだよ!」


 隼人はクスクスと笑い、ニッコリと笑みを作って遼に言葉を返す。


「いいですよ。今回は貸しにしておきましょう。さっさと獣ゴーストと戦っているお嬢さんと一緒に撤退してください」


 遼は舌打ちしながら翼を展開し、無線で詩織に撤退することを伝える。


「詩織! 撤退だ!」


『了解!』


 詩織のところにもAランク隊員が到着し、詩織も撤退し始める。合流した2人は、本部に向かって飛び始めるが、2人の無線に慌てた穂香の声が飛び込んでくる。


『追撃警戒!!』


 無線に素速く反応した2人は同時に背後を振り向く。そこには霊力弾を放ったゴースト数体の姿があった。遼の代わりに地上のゴーストの殲滅をしていた隼人が「しまった!」と声を漏らし、2人に向かっていく霊力弾に向かって銃口を向ける。


「ダメだ! 距離が遠い! 間に合わない!」


 射程範囲外だと瞬時に悟った隼人は、翼を広げて近づこうとするが、ゴーストが行く手を遮る。


「邪魔だ!!」


 的確な射撃でゴーストを消滅させるが、霊力弾が2人に被弾するかしないかの距離まで近づいていた。遼は詩織を庇うように前に出て、詩織は目を瞑る。


 しかし、2人に霊力弾が当たることはなかった。


「……全く、最後の最後で油断しすぎ」


 2人に迫っていた霊力弾は跡形もなく消え去り、2人の前にある人物が飛んでくる。


「玲奈!」

「玲奈ちゃん!」

「水澤先輩!?」


「って説教する場面じゃないか……よく頑張ったね。2人とも」


 遼と詩織はパァッと明るい笑みを浮かべ、隼人は軽く微笑み、玲奈に無線を送る。


「水澤先輩。ここにいるってことは……」


「ああ。あっちにいたゴーストなら1体残らず倒してきたよ」


「驚きましたね……たった数分で2,000体のゴーストを倒すなんて……」


 隼人は思わず笑い、その無線を聞いていた他のAランク隊員は驚いた表情を浮かべる。


「と言うわけなんで、この場は私に任せてもらいますよ」


 玲奈は獣ゴーストと戦っているAランク隊員に目を向けて、軽く微笑む。


「構わないですよね? 司令室のみなさん」


 玲奈は司令室に無線を送り、返答を待った。向こうでは動揺する声が聞こえ、指示を送ってくることはなかった。


『構わない。その場は玲奈に任せて全員撤退しろ』


 司令室の代わりに無線を返してきたのは優一だった。


「優一さん、戦場に顔出さないで何しているんですか?」


 玲奈は冷やかしの言葉を優一に送り、優一は「悪い悪い」と言葉を返す。


『こっちも色々忙しいんだ。指示は出した。玲奈以外の隊員は撤退しろ』


 優一の指示を受けた隊員たちは一斉にコクリと頷き、撤退し始めるが、隼人1人だけが優一に無線を送ってある提案をする。


「自分は残っても良いですか? 自分の身は自分で守るので」


『自信満々だな、三上。分かった、お前は残っても良い。だけど、玲奈の邪魔はするなよ』


「分かっています」


 隼人と優一のやりとりを黙って聞いていた玲奈はニヤリと笑う。


「三上……お前!」


 遼は声を大にして隼人に近づこうとするが、詩織が抱きつきながら止めに入る。


「さあさあ、戦えなくなった人間は早く撤退したまえ」


 人を見下すように言葉を吐く隼人に何も言い返せない遼は、渋々撤退行動を再開する。玲奈は2人に手を振り、それを見た2人は改めて彼女を尊敬した。



 ======



 指示無線を送った優一は対峙しているフード男に再び目を向ける。


「いやはや……まさか無線をする余裕があるとは」


「常に余裕を持って行動するのが主義なんでね」


 フード男はクスクスと笑い、再び優一との距離を詰め、霊力で生成された剣で攻撃する。優一はヒラリと躱し、カウンターを狙う。しかし、優一の攻撃はあるものに遮られ、それを見て驚いた優一は大きく後退する。


「なんでって顔をしていますね。常に余裕を持つのではなかったのですか?」


 真剣な表情を浮かべる優一の額に、冷や汗が流れる。


「……なんでお前みたいな奴がそれを使えるんだ?」


 フード男は不敵な笑みを浮かべ、優一に言葉を返す。


「今は内緒にしておきましょう。今回は小手調べと言うことで、この辺で切り上げさせてもらいましょうか」


 フード男の姿が消え始め、逃がすまいと優一は四色を纏わせた霊力弾を放つ。しかし、間に合わずフード男の姿が完全に消える。


『再び会いましょう。強き戦士よ』


 フード男の声だけが響き、優一はスッと目を閉じて、バトルサポートを終了する。そして頭をガリガリと掻き、ため息をつく。


(厄介な奴が現れたな……)



 ======



 玲奈は約500体ほど残っているゴーストに目を向け、隼人に声をかける。


「見るのは構わないけど、もう少し下がっていた方が良いよ」


「大丈夫ですよ。ゴースト程度にやられませんよ」


 玲奈は首を横に振って言葉を返す。


「違う違う。間違って攻撃しちゃうかもしれないから」


 隼人はクスクスと笑い、大人しく玲奈から離れる。そして玲奈はキャノンを右手に携え、大きく深呼吸をする。


「……それじゃあ、終わらせようか」


 玲奈は翼を軽く羽ばたかせ、風の流れを読んで高速で移動し始める。そして数発、地上に向かって一色を纏わせたチャージ弾を放ち、一気に地上のゴーストを殲滅させる。


 それを見ていた隼人は腕を組んで、感心する。


(霊力は使うけど、チャージ弾と一色の組み合わせなら、広範囲にわたってゴーストを殲滅することが出来る……だけど、照準が定まりにくい空中で、的確な射撃をするとは……恐れ入るよ)


 空中にいたゴーストが玲奈の後ろにつき、霊力弾を放って攻撃する。放たれた霊力弾を一瞬だけ目視で確認した玲奈は、翼の角度を調節し、軽快な身のこなしで全て躱す。霊力弾を躱しきった玲奈は素速くゴーストの背後に回り、無駄弾することなく殲滅させる。


「まだまだ!」


 周囲にいるゴーストに目を向けた玲奈は、一色と四色を纏わせた霊力弾を自分の周りに数十個出現させ、容赦なく放ち始める。玲奈が放つ霊力弾は隼人の方にも流れていき、隼人は慌てた表情を浮かべて急降下する。


「おお!! 完全に油断していた……」


「だから言ったでしょ! もう少し離れてって!」


 玲奈は隼人の心配をすることなく、最後に残った獣ゴーストに向かって飛び始める。キャノンを左腰のホルダーに収め、右腰に携えている両刃剣に手をかける。


「グルルル!!」


 獣ゴーストは両前足で玲奈を叩き落とそうとするが、動きが見えているかのように玲奈は躱す。そして両刃剣に霊力を纏わせ、獣ゴーストの体を一刀両断する。数秒遅れて、自分が斬られたと感じた獣ゴーストは、苦しそうな呻り声を上げながら消滅していく。


 流れるような動きに、隼人は思わず玲奈に視線が釘付けになる。


「500体程度なら5分掛かるか、掛からないくらいだね」


 隼人は苦笑いを浮かべる。


「恐れ入りました……」


『玲奈ちゃんお疲れ! ゴーストの反応は完全に消えたよ。事後処理は処理班で行うから、戻ってきて』


 穂香の無線に「はい!」と元気よく返した玲奈は、ゆっくり翼を羽ばたかせて、本部に向かう。隼人も玲奈の後を追って、撤退を始める。


 水澤玲奈の参戦により、B・Cランク隊員、及び一般市民の被害は最小限にとどまり、ゴースト警戒は解除された。



 ======



『はぁ……はぁ……』


 玲奈の実家付近の草原にて、真里と芳香は仰向けで寝転がっていた。


「……年を取ったといえども、私がここまで消耗させられて負けるなんて」


「流石は最強の称号を得ただけはありますね……私もここまで苦戦して勝ったのは初めてですよ」


 2人は赤くなり始めている空を見上げながら、お互いを称賛し合う。そして2人の戦いを見守っていた暁美が、ゆっくりと歩み寄る。


「良くやった、伊澄」


 暁美は真里に手を差し伸べ、真里は暁美の手を取って微笑む。芳香は上半身を起こし、満足そうな顔を浮かべる。


「はぁ~、久しぶりに楽しかった。あんたは文句なしの最強だよ」


「あ、ありがとうございます!」


 素直に褒められた真里は嬉しそうな顔を浮かべる。すると暁美は芳香の横まで歩み寄り、芳香と視線を合わせる。


「約束です。一緒に来てもらいますよ」


 芳香は大きくため息をついて、暁美に言葉を返す。


「条件が1つある!」


 暁美は芳香が提示してくる条件を予想しながら覚悟を決める。強い風が吹き抜け、全員の髪が乱れている中、芳香は口を開ける。


「昔みたいにちょっかいかけても良いか?」


 すると芳香の脳天に暁美の拳骨が落ち、芳香は頭を抑える。


「バカなこと言わないでください。ほら、行きますよ」


 暁美は芳香を引きずりながら移動する。それを見ていた真里は笑いを我慢することが出来ず、口元を手で隠して笑う。

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