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Hope〜希望を信じて〜  作者: 伊澄 ユウイチ
ようこそホープへ
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霊力変換 七色 その1

 仁は言葉の説明に入る前に、玲奈に液晶端末を手渡して、ある録画映像を見せた。映像の内容はAランク隊員の模擬戦闘だった。


「バトルサポートを介した霊力は、七つの力に変換され、通常弾や近距離武器に纏うことも出来る。これを俺たちは七色と呼んでいる」


 そして映像の隊員が仁の言う七色を使い始める。玲奈は真剣に映像を凝視し、七色の性能を自らの目で確認する。


「七色は簡単に説明すると属性付与だ。文字通り、七つの色を武器等に纏わせることによって力を発揮する。もちろん武器に纏わせなくても、無形武器として使用することも出来る。まずは一色目の説明をしよう」


 仁の話が一段落したタイミングで、録画映像に一色が映し出される。隊員が放つ銃弾が赤く輝き、地面に着弾する。着弾した瞬間、半径約10メートル程の爆発を発生させた。


「一色は炎の力だ。映像を見て貰ったとおり、銃弾に付与させると広範囲の爆発を発生させる。威力は少し落ち、連射も出来ず、弾速もあまりないが、広範囲で攻撃したいときには便利な属性だ」


「炎の力……近距離武器でも爆発を発生させることは出来るの?」


 すかさず、分からないことを説明する玲奈。仁は冷静に玲奈の質問を返す。


「もちろん出来る。それに爆発だけじゃなく、炎を纏わせることも出来る。ただし、当然のことだが至近距離の相手に爆発させると、自分も巻き添えを食らう。使うときは距離に注意してくれ」


 そして映像は進み、新しい七色の説明に入る。遠距離戦を嫌った隊員が距離を詰めて、近接武器を振り抜き、攻撃を始めたが、鍔迫り合いに持ち込まれ、膠着した場面になった。しかし、遠距離で攻撃していた相手の翼が突如消滅し、墜落し始めた。


「え?」


 あまりの出来事に玲奈は驚きの声を上げた。そして仁は二色目の説明を始めた。


「今、何が起こったか全く分からなかっただろ? 武器を振り抜いた隊員は、振り抜いた瞬間に七色を纏わせて攻撃していたんだ。今のは二色、水の力だな。二色は銃弾や斬撃波、ありとあらゆるものを隠すことが出来る属性だ。一色と違って攻撃的な属性じゃないが、こいつの厄介なところは使用者も隠れることが出来るとこだ。熱反応も消すことが出来、奇襲を仕掛けることに優れている。罠も隠すことが出来るが、乱戦時では相手の先を読むことが要求される。使う人間を選ぶ属性とも呼ばれている」


「使う人も隠す? でも見破る方法はあるんでしょ?」


 玲奈はありとあらゆるものを消すことが出来る二色の感想ではなく、弱点について興味が沸いていた。一色同様、二色にも弱点はあった。


「二色は属性でいう水。水は電気を通しやすく、温度によっては蒸発したり、固まってしまう。液体状態を保てない環境では二色は使えない。二色の天敵は温度と電気だ」


「温度は分かるけど、なんで電気も弱点になるの?」


 頭を抱えながら二色の弱点を理解しようとする玲奈だが、頭の弱い彼女では少し理解しがたかった。


「使用者自身が二色を纏って姿を消している場合だと、電気も弱点になって肉眼で使用者を見ることが出来る」


「へぇ~」


 ただ返事をしただけの玲奈を無視して、仁は弱点に関する補足をする。


「ただし、銃弾や斬撃波などには電気は逆にプラスに働くことがあるから、完全な弱点にはならない。二色の主な弱点は温度だと思ってくれ」


「二色は頭使いそうだし私には無理だね」


 玲奈は諦め半分で二色の説明を聞き終えた。仁は腕を組んで、やる気のない玲奈に説教をする。


「この程度で頭を悩ませていたら、この先ずっと足踏みをすることになるぞ。使わなくても知っておいて損はしないぞ」


 やる気のない顔を継続している玲奈は、渋々「はいはい」と返事をして映像に目を向けた。


 今度は鍔迫り合いから一転し、飛びながら中距離武器で撃ち合っていた。しかし、ただの撃ち合いではなく、放たれた銃弾の軌道が変化していることに玲奈は気づいた。


「次は……軌道の変化?」


「よく気づいた。それが三色目、属性で表したら風だ」


 やる気のない顔から一変、玲奈の顔は好奇心に満ちあふれていた。そして仁が三色の説明を始めた。


「本来、銃弾や斬撃波は放たれた方向に真っ直ぐ進んでいく。躱されたらそのまま行ったきりの状態だ。だが、三色を使用することによって、銃弾や斬撃波の軌道を変化させることが可能になる。使用者の頭の中で描く軌道の通り変化する」


 映像を見返すと、不規則な変化で銃弾や斬撃波が飛び交い、軌道が読みづらい展開が続いていた。しかし、ある隊員が放った銃弾が相手隊員を追尾して、腕に被弾した。


「集中力が高い隊員なら変化だけじゃなく、追尾させることも可能だ。自分の周辺で使用することによって、強風を発生させて風の壁を作ることも可能だ。人はもちろん、銃弾も弾き返すことも可能だ。ただし、自分の周りの風向きがよく変わるため、飛行時の使用は難しいと言われている。あと、銃弾や斬撃波を変化させるためには精神力が大切だ。何事にも乱されない集中力を要することになる。二色ほどクセはないが、経験値が求められる七色だ」


「それでも攻めにも使えて守りにも使えるなんて……これは少し面白そうだね」


「三色に対抗できるのは一色と二色だ。一色は広範囲で爆発を起こして軌道をメチャクチャにさせる。二色は狙われる標的にならないように姿を消せば問題なし。それに他に意識が向いている状態だと奇襲を成功率はぐっと高くなる」


 三色の説明を聞いた玲奈は率直な質問をした。


「これって他の七色と組み合わせることは出来るの?」


 仁は驚いた表情を浮かべて玲奈の質問を返す。


「良いところに目をつけたな。答えはイエスだ。どの七色も組み合わせて使うことが出来る。例えば一色と二色を組み合わせてステルスの広範攻撃が可能だ。その他にもまだ説明していない七色があるが、様々な組み合わせで戦況を動かすことが出来る。だが、組み合わせた攻撃をするためには数秒の時間が必要になる。大技にはリスクが付きものだ。それに、やってみようと思っても中々出来ないのも現実だ」


「なんで中々出来ないの? 隙が大きいから?」


 仁は首を横に振って玲奈の意見を跳ね返した。


「隙が大きいのは微々たることだと割り切れるが、組み合わせ……俺たちは合成と呼んでいるが、合成するには、少し器用な奴が上手く出来るんだ」


 玲奈はニヤリと不敵に笑って茶化し始めた。


「遼みたいな大雑把な人間には絶対出来ないことだね」


 仁は苦笑いを浮かべて言葉を返す。


「俺が見る限り、お前も一緒だと思うがな」


 玲奈は笑いながら仁の言葉を受け入れる。そして、それた話を仁は戻す。


「合成七色を使うには、七色全ての知識と訓練が求められる。それに無理して使う必要はない。今はそういう技術もあるということだけ知っておいてくれ」


 玲奈は仁の言葉を真剣に受け止めて、それ以上は質問しなかった。


「お、次の七色が出てくるぞ」


 仁が映像に目を向けると、隊員たちは新たな七色を使い始めた。


 中距離での攻撃は変わらず続けているが、今まで以上に弾速が速くなり、威力も相当あるように見えた。


「何これ? 速くて威力もある……」


「雷属性の四色。見ての通り銃弾に纏わせると弾速が速くなり、威力も上昇させる。ほとんどの隊員が使い勝手が良いと言って使われているほどの七色だ。斬撃波も同様の効果を付与させることが出来る。そして三色と同様で自分の周りに帯電させることによって、銃弾の軌道を逸らすことが出来る」


「銃弾だけ? 近づかれたら突破されるの?」


「馬鹿なことを言うな。近づくと帯電している電流にやられることくらい理解しろ」


 玲奈は「そっか」と、とぼけた表情を浮かべて理解する。仁は呆れた表情を浮かべながらも説明を続ける。


「この七色も強力だが、弱点はある。四色は霊力消費が一番大きい。無駄に乱発すると霊力切れを起こすことがある。そうなると戦場から離脱しなければならない」


「霊力がなくなるとどうなるの?」


 玲奈は率直な疑問をぶつける。


「霊力切れを起こすと銃弾を発射することも出来なくなり、翼も生成することも出来なくなる。攻撃手段と移動手段を絶たれては戦闘どころではなくなる。ナノマシンが霊力が少なくなったら知らせてくれるが、気づかずに戦い続けると手遅れになることもある。実際、霊力が切れて死んでいった隊員も少なくはない。お前も気をつけてくれ」


 仁の忠告に玲奈の背筋は凍っていた。なぜなら玲奈は霊力を測定することが出来なかったからだ。自分の霊力量がどれほどあるのか、玲奈は理解できていないため、仁の一言で不安になる。


「どうした?」


 そんなことは仁に相談することも出来ず、玲奈は作り笑いをする。


「な、なんでもないよ」


 仁は玲奈の表情が変わったことを確認したが、深くは聞かなかった。


「まあいい。それと中距離だけの話になるが、四色を纏うと、連射速度が遅くなる。これも頭に入れておいてくれ」


 玲奈は軽く頷いて話を理解する。その時、玲奈のお腹が鳴る。


「オナカスイタ~」


「何故片言になる……まあいい。途中になるが続きは昼を食べてからにしよう」


 玲奈は明るい笑みを浮かべて仁の提案に賛成する。


「食事処はこことは別の棟にある。時間は掛かるが我慢できるか?」


「そういえば、私ホープのどこに何があるかなんて全く理解していないや」


「丁度良い。もうしばらく頭を働かせてもらうが、移動しながら俺が説明しよう」


 そして仁と玲奈は昼食を取るため、小隊部屋から出て行く。

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