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大好きなゲームに転生したら、推しも世界も腐りかけてて困るんですが…私が元に戻します!  作者: 藤紫
第一章 日常?編

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4.ガルドは攻めであって受けじゃない

「ねぇ、美味しいって噂の"タルト"食べられました?」


クラスメートの一人が、そう声をかけてくる。


……えっ、ガルドが食べられた!?


いや違う。落ち着け、私。ガルドは"攻め"であって"受け"じゃない。

ってそれも違う。今のは、タルトの話。お菓子の。食べ物の。


「あ、あー……タルト、まだ食べてない、かな……」


引きつった笑顔でどうにか返す。危ない、危なかった。


「そうなんですか? すっごく美味しいって評判で……」


会話は続いているはずなのに、頭の芯だけがずっと別の場所にある。中庭で見た光景、訓練場での呟き。ガルド様の震える手。あれは一体、なんだったのか。


『ガル×ユリ』カプ?『ユリ×ガル』はないはず…ってそうじゃない。そこが問題なんじゃない。


「そういえば、来月の合同演習、剣術科と魔導科の"ダブル担当"らしいですよ」


――ダブル? まさか、二人一緒に……!?

いや、担当が二人ってだけの話でしょ、これ。落ち着け。落ち着け私。


「へ、へぇ……ダブル、なんですね……」


我ながら、変な食いつき方をしてしまった。クラスメートが一瞬きょとんとしたが、すぐに話を続けてくれたので事なきを得る。


危ない。私の脳、完全に誤作動を起こしている。


「それより聞きました? Aランク冒険者が、傷だらけで帰ってきたって話」


――えっ、ユリウスが襲われた!?


いやいや、待って、なんでユリウス変換されるの、私。落ち着いて。今のは冒険者の話。ギルドの。この学園と関係ない、遠い街の話。


「い、Aランク……そう、なんですか……」


自分でも分かるくらい、声が上ずっている。


「いつもなら余裕で対処できるはずの魔獣に、まったく攻撃が効かなかったらしくて」


……攻撃が、効かない?


さすがにそれは、聞き流せなかった。私はやっと会話に意識を戻す。


「え、それって、どういう……」


「なんか、魔獣が急に強くなってるみたいなんですよね。討伐隊も何度か出てるらしいんですけど、いまいち手応えがないというか」


「森のあたりの様子もおかしいって、うちのお父様も言ってました。花の咲きが悪いとか、獣道が変わってるとか」


クラスメートたちは軽い調子でそんな話をして、また別の話題――今度こそ本当にタルトの話――に移っていく。


私は相槌を打ちながら、心の中だけで盛大に頭を抱えていた。

ガルド様のこと、ユリウスのこと、それだけでも十分すぎるほど混乱しているのに。


森が、おかしい?


魔獣が、強くなっている?


……まさか、ね。関係ないよね。ただの、偶然だよね。

そう自分に言い聞かせながらも、胸の奥で、何かがざわついて離れなかった。



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