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【幕間】辺境に生きるハンター

とんでもなくヤバい奴がいる——それが、俺があいつを初めて見た印象だった。




俺はジグの大森林に隣接する辺境の町で生まれ育った。魔物がひしめくその森は確かに危険地帯だったが、珍しい薬草が自生しており、命懸けの小遣い稼ぎには格好の場所でもあった。


ジグの大森林では年間何百人も行方不明になっているし、友人を何人も失っている。


それでも俺がおっさんと呼ばれる年齢まで生き残れたのはある能力のおかげだった。


人より魔力が見える。


たったそれだけの能力で片手で数えられないほどあった危機を切り抜けてきたんだ。


そして、俺は今まで山ほど強いやつの魔力を見てきた。


1級ハンターになって王家直属のハンターになったやつも、黒鋼騎士団の団長も、獅子人族の二人の英雄も。


その中でもユイガは別格だった。うまく隠されていたが、迸るオレンジ色の魔力が俺には見えた。


何の目的でこの街に来たのか、最初は疑いの目で見ていた。しかし、毎日キノコ狩りに行く姿を見て無害だと判断した。


「あいつはどうなんだ?」


とあるベテランハンターから聞かれた。


「敵対しなきゃ大丈夫だ」


簡潔に答えた。


この町のベテランハンターは俺の言葉を素直に聞いてくれる。なぜなら、俺が何らかの力で危険を予測していると勘付いているからだ。


あ、ちなみに白剣騎士団はゴミばっかりだから何も話すことはない。


そんな俺が、今まで見たことの無い程魔力をたぎらせている男に会った。


最初は見えなかった。しかし、何か違和感を感じて目を凝らしてみた。そして気づいた。目が眩むほどの黄金色の魔力に。その魔力に触れたものすべてを破壊してしまいそうな恐怖があった。


同席していた男は実力者で、どことなく育ちの良さを感じさせた。

話している内容から危険はないと、酔ったふりをして絡んでみたら、どこにでもいる普通の青年だった。しかし、若さの中に老獪さがあり少し違和感を感じた。


その男が来てから数日後に最高レベルのスタンピードが起こった。俺が経験した中で最大規模だ。


中には絶望を感じたやつもいたかもしれない。しかし、辺境の男で諦める奴はいなかった。全員が各々の想いを胸にスタンピードに立ち向かった。


俺自身、町を救えるならここで死んでもいいと覚悟を決めていた。


スタンピードの第三波が来た。高レベルのスタンピードならこれで終わりだが、今回は最高レベルだ。いつも以上に気合を入れた。


現れた魔物の群れの中に、より恐ろしい存在が混じっていた。空飛ぶ魔獣ワイバーンが十体も現れたのだ。ワイバーンは魔石の大きさこそ小さく低位魔獣に分類されるが、その脅威度は中位魔獣を遥かに上回る。三次元を自由に移動できる敵ほど、地上に縛られた人間にとって厄介なものはないからだ。


黒鋼騎士団の騎士たちも、歴戦のベテランハンターたちも、どう対処すべきか分からず困惑していた。そんな隙に、ワイバーンたちは翼を羽ばたかせながらどんどんと町に近づいてくる。



その時、天地がひっくり返る程の魔法が降り、ワイバーンはおろか地を這う魔獣・魔物、全ての存在ごと粉砕した。


それは、世界を救う神の祝福にも、世界を破壊し尽くそうとする悪魔の呪詛にも見えた。


その後、騎士団を中心に誰がやったか必死に探したが、結局、分からなかったみたいだ。


だが、俺だけは知っているよ。


今度美味い酒をたらふく奢ってやる。ありがとうな、ハマー。


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