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辺境の騎士団18

ユイガさんに追いつく前にシドに話しかける。


「もしかして、ユイガさんって俺より強いんじゃない?」


「ユイガは闘神を宿しているね。全てではないだろうけど。もしハマーと戦ったら‥‥‥間違いなくハマーが勝つだろうね」


どうやったらあんなのに勝てるんだよ。イメージが全く湧かない。


ようやくユイガさんの背中が見えてきた。どんなスピードで走ってるんだよこの人は。


「ユイガさん!ようやく追いつきましたよ。さっきの戦いは凄かったですね。強いだろうとは思ってましたけど、想像以上の強さでした」


「ハマーさんに触発されてしまって、年甲斐もなく張り切ってしまいやした。早くムゲンワンナップを手に入れたいからってのもありやすが」


やはりこの人にとっては、あれが普通のことのようだ。


「方角的にはあっているので、あと一時間ほどで着きます」


道中は魔獣はおろか、魔物すらいなかった。スタンピードに巻き込まれてしまったのだろう。


迷宮の近くに着いた時にはすっかり暗くなっていた。遠くにいたときから気配を感じていたが、かなりの数の魔獣が迷宮あたりをうろついていた。


もしかしたら、第五波もあったのかもしれない。


「ここは俺がやるよ」


久しぶりにデイサイドを使ってやりたいと思った。気味が悪いがあいつも一応仲間だからな。


影収納からデイサイドを取り出し、鞘を外す。


「ギョ‥‥‥ギョギョ‥‥‥スンッ」


拗ねてるやないかい!分かりやすく拗ねてるやないかい!!!


「やるぞデイサイド。久しぶりだからって鈍っていないだろうな」


シドの黄金の魔力は使えないので黒霧の狩神ヴァル=ライクと世界樹ノクトグランの魔力を循環させる。俺の魔力はって?俺自身の魔力は死ぬほど少ないから循環させられないんだよ。


そしてそれを薙ぎ払う。


「ギョギョーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


相変わらずキモすぎる叫び声だが威力は十分だった。膨大な魔力の波に飲み込まれた魔獣は跡形もなく消滅した。


前々から思っていたが、デイサイドを通して魔力を発すると数倍になって放出される気がする。今後、要検証だな。


「ハマーさんは、やっぱりハマーさんですな。バンジョーも大概でしたが、異常者ランキング圧倒的一位ですわ。はっはっはっ」


はっきり言わせてもらうと。俺はかなりまともな部類だ。変なのはシドだから。こいつの封印を解いてしまったばっかりに俺まで変人扱いされるのは納得いかん。


「キミのことだから、自分はまともだと思っているかもしれないけど、キミは間違いなく変人だよ。それは認めなよ」


認めん!決して認めん!娘が初彼氏を家に連れてきた時の勢いで心の中で叫ぶ。


「これは‥‥‥」


ずっと後をつけてきていた団長が、デイサイドが奇声をあげながら魔獣を消滅させた光景を見て、目を丸くして驚いていた。


激しく息切れをしているが、あのペースについてくるなんてやるじゃないか。


「いつもジグの大森林でキノコ採りをしているユイガ殿と、ああ、この間、白剣騎士団に珍しいベビータイガーの件で絡まれていた‥‥‥」


「ハマーと言います」


「ハマー殿か。随分と若く見えるが、その歳でその強さは相当苦労してきたのだろうな。二人とも、この町を助けてくれてありがとう。私は黒鋼騎士団、団長のセリスだ。団長でもセリスでも好きなように呼んでくれ」


団長は非常に礼儀正しい人だった。人気があるのもうなずける。美人だし。


「スタンピードに長年悩まされていた辺境の町では、原因となる迷宮を長年探していた。しかしどうしても見つけることができなかったんだ。ユイガ殿とハマー殿はどのようにしてこの迷宮を見つけることができたんだ?」


「魔物のいない方に向かって行ったら着きました。運が良かったです」


ジグルの能力で見つけたなんて言えるわけないよな。


「ちなみに先日騎士団の詰め所に投げ込まれた地図の内容と合致している。これも偶然かな?」


「そ、そうだと思います。そ、そうだ、早く迷宮に行って魔物を倒さないと!」


そう言って迷宮に向かうも、この間のGの大群が脳裏によぎって足取りが重い。心なしかシドが肩に掴まる手に力が入っている。


上手くユイガさんとセリス団長を誘導して先に入ってもらった。


Gは、いなかった。心の底から安堵のため息がでた。


「今日はいないみたいだね」


シドがひそひそと話しかけてきた。こいつもトラウマになっていたようだ。


入り口から多くの魔物がいたが、ユイガさんが突きと蹴りで倒していく。時折出てくる魔獣は何かしらの技を使っていたが、苦戦はしていなかった。


この迷宮にムゲンワンナップがあると聞いてからというもの別人かと思うほどのモチベーションだ。見た目は完全に別人だが。


この、愛憎の女神の迷宮は神殿のような空間だった。広いフロアが何個も連なっていて、その一つ一つに魔物がひしめき合っていた。しかし、俺らが部屋に入ってすぐ肉塊に変わってしまう。


強すぎなんだよ闘神ユイガが。それについていく棍棒女子セリスも相当なもんだ。各々が強く、各々が自分の戦いをしているのに、まるで熟年夫婦のように息があっていた。

あなたたちはスミス夫妻でしょうか?二人の戦いぶりを見ていたら懐かしい映画を思い出した。


迷宮の奥へ、少しずつ休憩をはさみながら進んでいった。それでも1日半ほどで迷宮の最奥に到着した。


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