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辺境の騎士団13

「油断するなよリオン」


レオンとリオンという名のようだ。兄弟なのかもしれない。レオンが片手剣を、リオンが片手槍を持っていた。


俺も二人が見ている敵か味方か分からない人影の方を見た。どこかで見たような紫色の魔力を纏っていた。おそらく神性魔力だ。


神性魔力は迷宮の神の使徒、もしくは加護を得ることによって使うことができるものだ。それを持っているだけで一定の力があることが分かる。


「わ、私を優先的に逃がせ!一刻も早く!」


ルーイが金切り声をあげた。

レオンとリオンはルーイを一瞥して無視をした。看守は腰が抜けて動けずにいる。


「はいはい、お父さんはこっちね」


手を引いて牢の中に押し込んだ。ついでに親方を守れるよう近くに移動する。


人影が再度剣閃を放った。レオンが剣を打ち下ろして弾いた。今回は先ほどより余裕があるようだ。


「不意打ちができなければこの程度か。ひねり潰してやろう」


獣人特有の身体能力か、リオンが一気に人影との距離をつめる。槍にはリオンの纏う橙色の魔力が十分に込められていた。だが人影は、易易とその槍を受け止めてみせた。


「どうした英雄?ずいぶんと調子が悪そうだな。今の速さなら5級ハンターでも対応できてしまうぞ?」


「なぜ我々が英雄だということを知っている?これは、必ずここで仕留めなければならないな」


「奴らは英雄だと!?伯爵家はとんでもないハンターを男爵家によこしたようだ」


親方が驚愕の声をあげた。


「そりゃあ公爵家の筆頭錬金術師の護衛だ。それくらいの強さは必要だろう。そして、お前らはもう終わりだ!」


ヒステリックに叫ぶルーイ。そして何故か俺が含まれている。俺は鉱山奴隷になる予定の一般人だぞ。


「英雄は強いのか?」


「ああ、世間には上位七番目までのセブンスしか公表されていないが、三十人はいるとされている。伯爵領にある迷宮の加護を得た者に対する総称で弱くとも3級ハンター以上の実力はあるという話だ」


3級ハンター。出会った頃のエリオスと同じランクだな。それなら尚更負けるわけにはいかないだろ?なあ、エリオス。


次の瞬間、人影はっきりと見えるようになった。認識阻害魔法を解除したのだ。


その姿を見たレオンとリオンは目を見開く。


「お前は!なぜここに——運命の迷宮の帰らずの罠を踏んだはずだ!」


「帰らずの罠ってのが名ばかりのハリボテだったってことだろ」


エリオスの胸に光る二つの赤い宝珠からおびただしい魔力が溢れ出てきた。そして、纏っていた紫色の魔力に深く濃い赤が混ざり合っていく。


「なんだその魔力量は‥‥‥」


相対している二人は明確な実力差を感じとったのだろう。武器を持つ手が震えていた。


「お前らは知っているのか?英雄の力が多くの犠牲によって成り立っていたことを」


「当たり前のことを言うな。その犠牲が領地の、ひいては国の安定をもたらしていたんだ。犠牲者も本望だろ」


「お前らだけに都合のいい安定だな。しかし、その犠牲もこれ以上出させない」


エリオスの怒りを表しているのか、魔力が燃え上がるように立ち上がった。


「とこでそれだけの力を。ま、まさか‥‥‥」


リオンはレオンを横目で見た。レオンは軽く頷き出口へ駆け出した。


敵わないと見るや生存率を上げるために別行動を取るのか。すごい判断力だ。


「英雄を舐めるな!穿て龍神槍」


リオンが魔力を溜め、槍にこめて一気に放った。槍は高速回転し、貫通力を増していた。


俺が名をつけるなら「ブラッディースクライド」だな。


エリオスはそれを素手で掴みリオンごと持ち上げた。


「さすが英雄だね。いい槍を使っている」


今や恐怖を隠しきれないリオンは即座に槍から手を離しエリオスに殴りかかった。


エリオスは雑作もなくそれを避け、剣を持つ手に力を込める。


「俺はここで殺されるだろう。しかし、残った英雄が必ずお前を殺す。セブンスがお前を——」


全てを言い切る前にリオンの首が宙を舞っていた。


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