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辺境の騎士団6

森の中に入ったはいいものの、俺には迷宮の場所を見つける能力は無かった。シドに呆れられながらも3時間程森の中を彷徨う。魔物が多い方に向かえばいずれ迷宮を見つけられると考えていたが、そこまで遭遇率も高く無い。


魔物を50匹は倒しただろうか、いい加減頭に来たからジグルを呼ぶことにした。ジグルは俺と同じ転生人で、今は俺の下僕だ。シドには秘密にしておきたかったが、背に腹は代えられない。


影の世界の中にいるジグルに呼びかける。


「おめえの出番だぞ。ジグル!』


影の中からぬっと色白イケメンが出てくる。イケメンは滅びろ。


「なに?ハマーがやたらと魔物を放り込んでくるから解体で忙しいんだよ」


真面目に働いていたようだ。


「近くに迷宮があるはずなんだけど見つからないんだよ。手伝ってくれよ」


「探すのは良いけど、あれほど勝手に外に出るなって言ってたけど良いの?」


もういいんだよめんどくさい。ずっとシドと一緒にいるのにこれ以上秘密にできるかっての。


「なんかボクに隠してコソコソしてると思ったら、ゴーレム泥棒の妖精人君を飼ってたのか。キミのそういう腹黒いところ本当に好きだよ。ボクを楽しませてくれるのはキミだけだよ」


「よせやい。照れるわ」


全く嬉しくない褒め言葉に対し適当に返答する。


「まいいや。こいつはジグル。俺と同じ転生人。愛の神とやらから便利な能力をもらったらしい。その一つに迷宮の場所と封印されている神の名前と強さが分かるんだ」


「なにそれ!ものっすごい便利な能力だね。後で研究させて!」


研究とは‥‥‥まぁ考えないでおこう。


「それで、迷宮の場所は分かるか」


「うーん、何個かありそうだけど一番近いところに行ってみようか」


そこから二時間程離れたところに木の入り組んだ場所があった。そこに隠れるように迷宮が存在した。


「ここから出てきてるみたい」


めちゃくちゃ遠いやないかい!


まぁ、ここまで来たんだから入ってみるか。

入ったらすぐにいた。無数のG形状の昆虫型魔物が。


「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


三人とも乙女のような悲鳴をあげた。数匹なら問題ない。無数の黒光りがうごめいていたのが‥‥‥


「ぶるぁああああああああああああああああああああああああ消えろ消えろ消えろ!!!」


俺が神々波を使う前にジグルが火・風・土の三属性融合魔法ファイアストーントルネードを使って全滅させた。


「はぁはぁはぁ」


涙目になってやがる。シドを見るとシドも涙目だ。俺は‥‥‥曇って前が見えねえよ‥‥‥


「よくやったジグル。それでここは何の神の迷宮なんだ?」


「愛憎の女神ゼラ=アモルだって。属性は‥‥‥制約系の神性魔法みたい。色はピンクっぽい。1744位だから上位神じゃないみたいだけど‥‥‥」


「そうか‥‥‥シド、どんな神かしってるか?」


「全然分からない。というか未だ最高神しか思い出せないからね」


なんだと?封印が解けて半年以上経ってるのに。まるで成長していない。


「でもこの神は普通の神じゃ無いみたい。まるで何かに操作されているかのような‥‥‥それで、この迷宮を壊すの?」


「壊さない。今日はただ、場所を確認しただけ。よほど害が無い限り迷宮は壊さない。この迷宮も食料になる魔物を生み出しているんだろうし。Gだけは許さないがな」


片っ端から迷宮を壊してしまったら、ここの住み魔物や魔獣の生態系を壊しかねない。この世界に存在するのは人族だけじゃないからだ。


「そうだジグル、この迷宮の場所の地図をざっくり描いて黒鋼騎士団の詰め場に放り投げておいてくれよ。今日はありがとうな」


ジグルはうなずいて影の世界に戻る。


迷宮を出たらもう陽が傾きつつあった。さぁ帰るか。


影転移を使ったのは言うまでもない。


町に戻ったらすっかり陽が暮れていた。


昨日の酒場で飲み始める。相変わらずの混雑具合だ。ちなみに今日は一人だ。シドもいない。本当に一人だ。だから、カウンターに座る。


シドは影の世界が気になってしょうがないようで、しばらく影の世界にいるそうだ。白剣騎士団に見つかるとめんどくさいから、都合がいいけど。


今日は謎肉のステーキと謎野菜のサラダだ。うん、どっちも美味い!エールをしこたま飲むぞと気合を入れる。


そんな一人の時間を過ごしていたら、キノコ大好きおじさん‥‥‥いやユイガさんが来た。


「おっ!今日も飲んでやすね。ご一緒していいですかい?」


もちろんだと隣に座らせる。


「乾杯!!」


俺たちの夜は始まった。ユイガさんも飲める口でくだらない話をしながら楽しい時間を過ごす。

そんな中ユイガさんが質問をしてきた。


「ハマーさんは何かただ者じゃない気がするんですが、どちらの出身なんですかい?」


「俺は、この世界の出身じゃないんですよ。いわゆる転生人ってやつです。だからこの世界の常識がないんですよ」


「転生人ですかい!?これは驚きやした。あっしは今まで生きてきた中で1人しか転生人に会ったことがないですね。自由都市にいたバンジョーという男なんですが、これがまた変わった男でして‥‥‥ハマーさんも変わっているから転生人は変わった人が多いのかもしれやせんな。はっはっはっ」


否定できない‥‥‥ジグルも大概だし。バンジョーってやろうは知らないが、ユイガさんが言うってことは相当だろうし、まともなのは俺だけか‥‥‥異世界人の名誉は俺が守る!


「バンジョーって人はどんな人なんですか?」


「自由都市に来て長いようですが、バンジョーが来てから自由都市が大きく変わったようでっせ。特にスマポとかいう四角い薄っぺらい板で、人が何をしているのか見ることができるんでっせ。あっしにはどんな魔法か分からないんですが、すごいことだけは分かりやす」


スマポ‥‥‥四角い薄っぺらい板‥‥‥完全にスマホです。ありがとうございました。

この世界でそんなものを開発してしまうなんて常軌を逸しているぞ。自由都市‥‥‥バンジョー‥‥‥覚えておこう。そしていつか必ず行く。


「自由都市はどこにあるんですか?」


「ここはゴゴ王国の南の辺境なので‥‥‥ゴゴ王国の北の国境がリルム帝国と面していて、リルム帝国の西の辺境が自由都市と面しているんでっせ。そう考えると約3か月くらいはかかりそうですかな」


二人の話は尽きることなく夜は更けていった。


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