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辺境の騎士団5

翌朝は快晴だった。シドを起こし元気に市場を回る。


エリオスは用事があるらしく今日は別行動だ。


市場は活気があった。魔物の串焼きが上手そうだ。


「おかあさん、これ10本ちょうだい。うち5本はこいつに食べさせるから串を外して」


シドを指さしてお願いする。


「はいよ。それにしてもかわいいタイガーちゃんだね。でも隠しとかないと騎士団に持ってかれちゃうよ」


「実は、昨夜すでに言われたんだよ。ちょうど黒い騎士団の女団長が来て助けてくれたけど‥‥‥いつもあんな感じなの?」


「そりゃあ災難だったね。今の男爵様の変わってからあんな感じだよ。場所代も請求されて商売も厳しくなっちゃってね。でも私らはここで生まれてここで生きてきたから‥‥‥」


話に聞いていた通り男爵の評判は悪いんだな。


「湿っぽい話になっちまったね。でも黒鋼騎士団が私らを守ってくれるから大丈夫さ。あんた団長にあったんだろ。美人さんだったろ?でも彼氏がいないらしいんだ。この際あんたでもいいから口説いておくれよ!」


田舎に行けば行くほど娯楽が少なく、恋愛の話になる傾向がある。しかし、これは話が飛びすぎだろ!


「俺にはもったいない位の美人だったな。折角だから口説いてみるよ。っと冗談はこれくらいにして仕事に行ってくるよ。おかあさんも頑張ってな」


そう言ってジグの大森林に向かう。といっても依頼を受けてないしやることがないから散歩だ。


門を出ようとすると門番に声をかけられる。


「おい、ハンターなのにジグの大森林に入って大丈夫なのか?」


純粋な心配なのだろう。


「問題ないよ。今後、鉱晶の迷宮には入るつもりはないから」


「そうか‥‥‥今は魔物が多いから気を付けろよ」


「平常時に比べてどのくらい多くなってるの?」


「一か月前に比べて三倍位になっているな。人手が増えないから忙しくてたまらんわ。はっはっは」


騎士のおっさんは努めて明るくしていた。騎士が不安になると住民も不安になるからな。少し話しただけで有能だと分かる。


折角忠告してくれたが、予定通りジグの大森林に向かって歩いていく‥‥‥が、入る直前に城壁から号令がかかる。


「南東方向よりシルバーウルフの集団が接近距離はおよそ500m!数およそ30!至急対応せよ!」


南東方向に配属されている騎士団5名が初期対応にあたるようだ。5名で30匹を倒せるのかと疑問に思うが、そこは精鋭黒鋼騎士団、初動に火属性魔法をぶっ放し半数を壊滅させる。散り散りになったシルバーウルフは統制がとれず各個撃破されていく。


「やるぅ!すごい連携だね。これは人族じゃなきゃできないよ。神は基本的に個人プレーだからね」


シドも感心しきりだ。


「でも、後ろから少し強い奴が二匹来るよ。かなりの速さだ。対応できるかな?」


その言葉で俺はハッとする。

騎士団の角度からは四角になっていて見えないようだ。


「まだだ、次が来てるぞ!」


俺は大声で呼びかける。

その声に気が付いた騎士団は隊列を組み、シルバーウルフの突進を受け止める。動きが止まったシルバーウルフは先ほど倒されたものと比べて二倍程の大きさだった。


「グレートウルフに進化してるね。おそらく二匹で魔獣中位クラスはあるんじゃない?」


のほほんと解説をしてくれる。こいつに危機感というものは無いのか。まぁ俺もなんだけど。

先ほどの突進で騎士団は体勢を崩されている。もう一発は受けられない。

さすがにまずいと俺も急いで向かおうと影転移を発動しようとした瞬間、黒い影が走った。


——ドシャッ——


破壊音と共に一匹のグレートウルフの頭が破裂した。


「隊長!!!」


絶体絶命だった騎士は声をあげる。


「よくやった。後は私に任せろ」


カッコいい!そして美人だ。そんな彼女がジャンヌダルクに見えた‥‥‥いや、ジャンヌダルクと会ったことなかったわ。


もう一発の『ドシャッ』という破壊音を背中で聞いて俺は森の中を進んでいった。


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