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辺境の騎士団1

投稿を再開します。よろしくお願いします。

エリオスが同行してから、すでに2ヵ月が過ぎた。ジグの大森林は想像以上に広大で、北海道ほどの大きさがあるかもしれない。


運命の双子神の迷宮を攻略して以降、新しい迷宮は見つからない。ジグルの迷宮探知能力を使えば見つかるだろうが、面倒なので使っていない。シドもそれほど暇を持て余していないようだったから。


最近は強い魔獣はおろか、普通の魔獣すら出現しなくなっていた。魔物しか出現せず、それもエリオスの魔力を感じ取ってか、なかなか襲いかかってこない。

エリオスは運命の双子神の片割れノクティルの神性魔力を手に入れてから、格段に強くなったようだ。


「この先に誰か倒れてるかも」


肩で眠っていたシドが声を上げた。進むと、採集カゴを背負った筋骨隆々の禿頭の男性が倒れていた。


「どうしたんですか?こんなところで寝てたら危ないですよ」


おじさんはうつろな目で俺の顔を見る。


「あ‥‥‥あ‥‥‥」


呂律が回らない。マンティコアの解毒薬が残っているので、とりあえず試してみるか。


「はい、効くかどうか分からないですけど薬です。飲んでください。水もありますので。」


数分後、おじさんの目の焦点が合ってきた。


「ありがとうございます。助かりました。新種のキノコを見つけて毒見してみたところ、思いのほか毒が強くて‥‥‥あの調子なら後半日はしびれてたかもしれませんな。はっはっはっ!」


死に片足を突っ込んでいただろうにポジティブ過ぎる。さすがにエリオスも呆れ顔だ。


「命の恩人に名も名乗っていませんでしたな。あっしはユイガと申します。四十で未だ独身。伝説のキノコを探してジグの大森林に入っているんですが、これが‥‥‥さっぱり見つからんのですわ」


だから山ほどキノコを持っているのか。


「俺はハマー。長い間ジグの大森林を彷徨って、町に向かうところです」


早く町に行きたい。人の文化に触れたい。ヤバイ‥‥‥禁断症状が出てきた。


「こっちのベビータイガーはシド、あっちの男前はエリオス。あと、ユイガさんは年上なんだから敬語はやめてください」


「あっしは誰にでも敬語を使っているもんで、これが抜けんのですわ。こういうもんだと思って気にせんでください」


ユイガさんが良いならまぁいいか。それにしても腰の低い人なんだな。


強さは‥‥‥魔力量はあんまり多くなさそうだが、体はめちゃくちゃ鍛えられている。おそらく近接戦闘がメイン。着ている物はボロボロで、豪鬼が来ているような道着だ。そして裸足なのがユイガさんの異様さを増幅させている。


「ユイガさんはハンターですか?」


エリオスも異様さを感じ取ったのか質問をする。


「へい、ようやく8級ハンターになったばっかりのペーペーですが、何とかやっていけてまっせ」


「8級。失礼な質問になるかも知れないですが、ユイガさんはもっと強い気がします。強さとハンターランクが釣り合っていないような‥‥‥何か事情があるんですか?」


エリオスは、言葉を選びながら、空気を読みながら質問していた。


「大したことはありやせん。以前は自由都市で必死に働いて、小金持ちになったんですが、この人と決めた女に裏切られて‥‥‥全財産奪われた挙句、捨てられたんですわ。その捨てられ方があまりにも酷くてですね‥‥‥男としての自信を無くしてしまって‥‥‥いわゆる不能になってしまったんですわ」


中年男性にとって深刻な悩みだ。かく言う俺も実年齢はアラフォーだからな。その気持ちはもの凄くわかる。


「それで、噂に聞いたジグの大森林に生えてるという最強精力剤であり最強発毛剤の『ムゲンワンナップ』を手に入れて、再び男としての自身を取り戻そうと、一つ上のおとこになろうと、一生懸命探しているんでっせ。でも、これがなかなか見つからんのですわ」


キノコでムゲンワンナップ‥‥‥ここでも俺の知っている世界の匂いがしやがる。名付けたのは間違いなく転生人だな。


「それで、特にやることも無いんで、だらだらハンターをしながら探しているというわけでっせ。それで‥‥‥あっしの強さですかい?ハンターやって食うに困らない程度の強さですわ。まぁ今のランクが適性っちゃ適性ですな」


エリオスは何か心当たりがあるのか考え込み、俺はまだ見ぬ町に思いを馳せ、シドはいつも通り何も考えていないであろうすまし顔だ。


あぁ‥‥‥早く町に行って酒を飲みたい。


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