【幕間】妖精人ジグル5
「それで、ほかの3つをちょっと使ってみてくれ。迷宮は近くにないから反応しないな。あと、君の能力は‥‥‥魔力が無くてめちゃくちゃ弱く見えるかな」
本当に弱く見える。それが黄金色の魔力で世界樹ノクトグランの火炎弾を打ち消すのだから‥‥‥って黄金色?
「ねえ、まさか黄金色の魔力って!!!」
「多分、俺が封印を解いた神のことだな。いやー偶然偶然。でもな、お前を転生させた愛の神だったか、俺はそいつのことを信用してないんだよ。だから愛の神に俺の存在は明かさない。まぁ信用してないのは、俺を転生させた最高神の爺もだけどな。ついでに俺が封印を解いた創造神のことも信じ切れてはいない。それでな、お前の能力を一回こいつに食べさせてくれよ。多分悪いようにならないから」
「そこらへんは全て君に任せるよ」
ハマーが背中から気味の悪い大剣を抜いた。漆黒の刀身には血管のような赤い模様が脈打ち、剣自体が低い唸り声のような音を発している。見ているだけで背筋が寒くなる邪悪な雰囲気を纏った武器だった。
「それじゃ、デイサイド君。こいつの真っ黒い明らかに邪悪な魔力とその能力を吸い取ってちょうだい」
「ギョギョ‥‥‥ギョ‥‥‥」
剣が不機嫌そうな声を上げる。
「おい、やる気出せ」
剣にもやる気がない時があるらしい。ファンタジーだなぁ。
「ギョギョギョーーーーーーーー!」
突然、大剣から黄金色の魔力が奔流のように放たれ、僕の心臓部分に突き刺さった。痛みはないが、全身に電気が流れるような感覚が広がり、どす黒い魔力とともに大剣に吸い込まれていく。大剣君がひどく不味そうな声を上げているのが聞こえた。
「え?あれが僕の魔力?確かに邪悪すぎるね‥‥‥」
自分の魔力がどす黒いことを見て、愕然とした。
「デイサイド、その邪悪な魔力を消し去り、取り込んだジグルの能力を俺の魔力で代用することができるか?」
「ギョギョギョ!ギョ!」
「お安い御用だ、か。よし頼むぞ」
なんで大剣と普通に会話してるの?
再度大剣から黄金色の魔力が放出され、僕を温かく包み込んだ。母に抱かれているような、安らかで心地よい感覚だった。
「これで大丈夫なはずだ。鑑定は使えるか?」
ハマーを見てみる。さっき見た通り最弱だ。
「うん、問題なく使える」
「よし‥‥‥それじゃあ何をしてもらうか話そう」
ハマーが空中に影を発生させ、手を入れた。これが影収納か。そして取り出されたのは、樹齢100年はありそうな立派な樹木だった。神々しい光を纏い、見ているだけで魂が清められるような気持ちになる。
「まさか‥‥‥」
なぜか涙があふれてくる。大して信仰していなかったし、最後は無理やり封印を解除して従わせた神なのに。それでも、この樹木を見た瞬間、胸の奥底で何かが熱くなった。
「そう、世界樹の苗木。これをここに植えるからお前に管理してもらいたい。エルフとして生まれたんだから、世界樹を管理しないと始まらないだろう」
「そうだね。そうだよね。せっかくだからノクトグランより大きくしてみせるよ」
「大きく出たな。名前はお前が決めていいよ」
「名は‥‥‥ユグドラシル。ベタだけどそれがいい」
「なんだかお前らしいな。もう『薙ぎ払え』を使うのはやめてくれよ」
からかうような笑顔で語ってくる。
「ねえ!好きなシーンなんだから勘弁してよ!」
久しぶりに友人と話している気分だった。この世界に来てから一人としてそのような存在ができなかった。きっと僕の心が友達を作るのを避けていたのだろう。僕がどこまでできるかわからないけれど、ハマーのためにできる限りの力を尽くそう。
「土魔法が使えるから埋めるのはいいとして……この世界に雨は降るの?」
「お前の頭は何のためにあるんだ?それくらい自分で考えろ!……あ、飲みに行くの忘れてた。じゃあ頼むな」
ハマーが影を発動して消える。よし、とりあえず次ハマーが来たときは殴ろう。力の限り。
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数時間後、空から突然マスターと呼ばれる、酒場のマスターに扮した帝国のスパイが落ちてきた。
外伝も含めてこれで神庭のゴーレムは終わりです。次のエピソードは少し間が空きますが、8月10日投稿予定です。
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