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カノン  作者: しき
第5.5話
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風音ワングランプリ? 三日目乃参

 仕事のメンバーの選定に悩んでいると、ノックの音が。


風音「どうぞ」


 ドアが開き、風音ワングランプリ関係者の面々が入ってくる。

 アリエイラ。ルミナ。息吹いぶき。と今日はもう一人、零武れいん

 零武は入ってくるなり風音の顔を見て、「あ、牛乳と増粘剤ぞうねんざいを補充しておかないと」と意味不明な言葉を発したと思ったら、そのまま部屋の隅っこの方に行って体育座りをした。


 この零武は風音が呼んだのだが、何故か今日は関係者のはずのレスタが居ない。


アリエイラ「電話は終わったようですね」


風音「あぁ、待ってくれてたんだ。で、レスタはどうしたのかな? トイレ?」


アリエイラ「いえ今日はインターバルです。レスタ君の作品は明日体験して頂きます」


風音「え? 明日? 出来れば今日が良いな。明日は仕事があるし」


アリエイラ「それも大丈夫です。レスタ君の作品の効果は、仕事に支障が出るようなものではないと確認してありますから」


風音「ふぅん・・・。じゃあなんで今日はお集まりに?」


ルミナ「昨日の結果を聞こうと思いまして。どんな夢を見たのかなって」


アリエイラ「そうです。結果報告は大事ですから」


 二人ともなぜか勝ち誇ったような顔をしている。

 何かあったのだろうか。


風音「結果報告なら、レスタも居ないと駄目なんじゃない?」


ルミナ「勘の良い子は嫌い・・・じゃなかった。 いいんですいいんです。私から伝えておきますから」


 あれでレスタは勘の良い子だ。

 夢で行った悪戯いたずらの内容とかを聞いた時に、風音のスパコンにハッキングした事まで辿たどり着く可能性がある。

 だから敢えて仕事を押し付けて来られないようにした。

 その為だけに仕方なく大会日程を一日ずらした形だ。


風音「そっか。じゃあ順を追って説明するね。まず言われた通り、今一番流行はやってるドッキリを調べて、それを夢で実行したよ」


ルミナ「へーーー(棒)。ちなみに今ってどんなドッキリが流行ってるんですか?」


 自分でそのサイトを作って誘導しておいて、くそ白々しい演技をかますルミナ。

 その棒読みに多少の違和感を抱きながらも、寝起きだからそんなもんかとか思って、そのまま会話を続ける風音。


風音「アリエイラさんは知ってるんじゃない? どうせアリエイラさんの事だから、僕がちゃんと約束を守るかどうか調べたでしょ?」


 アリエイラが満足そうにうなずく。


アリエイラ「はい良く出来ました。風音さんは私の性質をよく分かってらっしゃる。今流行りのドッキリは、告白ドッキリというとても悪質なものでした」


 アリエイラがルミナにその内容の詳細を教えるという、白々しい子芝居を挟んでから。


ルミナ「・・・へーーーなるほどねー。わざわざ手紙を渡して告白したのに、嘘でしたってやるんだー。でもそれ悪質過ぎないかな? もし真剣な告白だと思ってオッケーした場合、そんな事言われたら女の子の方が怒っちゃうでしょ」


風音「そう。僕もそう思ったからやめようと思ったんだけど、どうも続きがあってね。もし告白してそれが受け容れられたら、そのまま付き合ってしまおうっていう・・・正直ドッキリとはかけ離れた企画って言うか・・・最初の予想とは違う悪戯だったんだよ」


ルミナ「え? そのまま付き合う? それはそれは・・・はいはいなるほどねー」


 再び白々しい演技が入る。


風音「夢だからってそんなやり方で付き合うとか・・・っていう葛藤かっとうもあったんだけど、取り敢えずやるって約束したし当たって砕けてみるかと思って」


アリエイラ「それで? その流れを受けて風音さんは夢の中で、誰に告白されたのでしょうか?」


 勝ち誇った笑顔のまま尋ねるアリエイラ。


ルミナ「悩むまでも無いでしょうけどねー」


 同じく勝ち誇った表情のルミナ。


アリエイラ「ええ。ええ。始めから答えなど決まっています」


 始めから決まっている? 風音が頭をひねる。

 ・・・結構悩んだけどな。 まぁとにかく結果を伝える。


風音「結局晴嵐せいらんに渡したんだけど」


ルミナ「え?」


 目が点になるとはこの事かというくらい、目を見開いたまま一瞬静止するルミナ。

 そして笑顔のままひざから崩れ落ちたアリエイラ。


風音「え? 大丈夫? アリエイラさん」


アリエイラ「い、いえ。お気遣いなく」


 なぜ自分ではないのか。という感情なのだろうなと察した息吹が、横からフォローするように言う。


息吹「その流れでどうして晴嵐なのかは分かりませんが、まずここに居る我々に告白出来ないのは明白ですよね」


ルミナ「ど、どうしてかしら? 何の根拠があって?」


 内心激しく動揺しているルミナが、何とか平静を保ちつつ尋ねる。


息吹「そりゃあ、ねぇ。艦長」


風音「うん。ポンコツ製造機をほどこされたふりをして抜け出すわけだから、ここに居る関係者には極力きょくりょく近付きたくないからね。バレるとまずいでしょ。 特にアリエイラさんなんて数秒で違和感を持ってたから、多分あと数回会話をしただけでバレてたんじゃないかな?」


 夢の中とはいえ、不自然な行動を取らないように気を付けながら動いていた、

 特にアリエイラなんて夢の中ですら感覚が鋭すぎて、風音としては不自然な事がバレるのが嫌で、もう一回顔を合わせるのも嫌だった。


息吹「そういう事です」


ルミナ(あぁ!! しまったーーーー!! そうだったーーーーー!!!)


 平静を装いながら、心の中で全力で叫ぶルミナ。

 アリエイラも地面を向きながら反省する。


アリエイラ(そうか・・・どうしてそんな簡単な事を失念しつねんしていたのか。我々が最初から除外対象になるのは自明じめいではないですか。 検証に気を取られ過ぎて盲目もうもく状態になってしまいましたか)


 負けたわけではないと理解したアリエイラが、四つんい状態から華麗に復活する。

 そして長い後ろ髪をさらりと撫でる。


アリエイラ「まぁ・・・当然そうなりますね」


ルミナ「そ、そうね。当然よね。私もそれは分かってたわ。あなたがきちんと理解しているか、私とアリちゃんでテストしたのよ。 うん、テストは合格よ息吹」


息吹「そうですか。ありがとうございます。簡単なテストで助かりました」


 満面の笑顔を向ける息吹。


ルミナ(くっ・・・!)


 嫌味いやみで言ってんじゃないのかこいつ、と勘繰かんぐる。

 もちろん息吹本人は本心で、立ち直ってくれて良かったと思っているが。


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