風音ワングランプリ? 三日目乃参
仕事のメンバーの選定に悩んでいると、ノックの音が。
風音「どうぞ」
ドアが開き、風音ワングランプリ関係者の面々が入ってくる。
アリエイラ。ルミナ。息吹。と今日はもう一人、零武。
零武は入ってくるなり風音の顔を見て、「あ、牛乳と増粘剤を補充しておかないと」と意味不明な言葉を発したと思ったら、そのまま部屋の隅っこの方に行って体育座りをした。
この零武は風音が呼んだのだが、何故か今日は関係者のはずのレスタが居ない。
アリエイラ「電話は終わったようですね」
風音「あぁ、待ってくれてたんだ。で、レスタはどうしたのかな? トイレ?」
アリエイラ「いえ今日はインターバルです。レスタ君の作品は明日体験して頂きます」
風音「え? 明日? 出来れば今日が良いな。明日は仕事があるし」
アリエイラ「それも大丈夫です。レスタ君の作品の効果は、仕事に支障が出るようなものではないと確認してありますから」
風音「ふぅん・・・。じゃあなんで今日はお集まりに?」
ルミナ「昨日の結果を聞こうと思いまして。どんな夢を見たのかなって」
アリエイラ「そうです。結果報告は大事ですから」
二人ともなぜか勝ち誇ったような顔をしている。
何かあったのだろうか。
風音「結果報告なら、レスタも居ないと駄目なんじゃない?」
ルミナ「勘の良い子は嫌い・・・じゃなかった。 いいんですいいんです。私から伝えておきますから」
あれでレスタは勘の良い子だ。
夢で行った悪戯の内容とかを聞いた時に、風音のスパコンにハッキングした事まで辿り着く可能性がある。
だから敢えて仕事を押し付けて来られないようにした。
その為だけに仕方なく大会日程を一日ずらした形だ。
風音「そっか。じゃあ順を追って説明するね。まず言われた通り、今一番流行ってるドッキリを調べて、それを夢で実行したよ」
ルミナ「へーーー(棒)。ちなみに今ってどんなドッキリが流行ってるんですか?」
自分でそのサイトを作って誘導しておいて、くそ白々しい演技をかますルミナ。
その棒読みに多少の違和感を抱きながらも、寝起きだからそんなもんかとか思って、そのまま会話を続ける風音。
風音「アリエイラさんは知ってるんじゃない? どうせアリエイラさんの事だから、僕がちゃんと約束を守るかどうか調べたでしょ?」
アリエイラが満足そうに頷く。
アリエイラ「はい良く出来ました。風音さんは私の性質をよく分かってらっしゃる。今流行りのドッキリは、告白ドッキリというとても悪質なものでした」
アリエイラがルミナにその内容の詳細を教えるという、白々しい子芝居を挟んでから。
ルミナ「・・・へーーーなるほどねー。わざわざ手紙を渡して告白したのに、嘘でしたってやるんだー。でもそれ悪質過ぎないかな? もし真剣な告白だと思ってオッケーした場合、そんな事言われたら女の子の方が怒っちゃうでしょ」
風音「そう。僕もそう思ったからやめようと思ったんだけど、どうも続きがあってね。もし告白してそれが受け容れられたら、そのまま付き合ってしまおうっていう・・・正直ドッキリとはかけ離れた企画って言うか・・・最初の予想とは違う悪戯だったんだよ」
ルミナ「え? そのまま付き合う? それはそれは・・・はいはいなるほどねー」
再び白々しい演技が入る。
風音「夢だからってそんなやり方で付き合うとか・・・っていう葛藤もあったんだけど、取り敢えずやるって約束したし当たって砕けてみるかと思って」
アリエイラ「それで? その流れを受けて風音さんは夢の中で、誰に告白されたのでしょうか?」
勝ち誇った笑顔のまま尋ねるアリエイラ。
ルミナ「悩むまでも無いでしょうけどねー」
同じく勝ち誇った表情のルミナ。
アリエイラ「ええ。ええ。始めから答えなど決まっています」
始めから決まっている? 風音が頭をひねる。
・・・結構悩んだけどな。 まぁとにかく結果を伝える。
風音「結局晴嵐に渡したんだけど」
ルミナ「え?」
目が点になるとはこの事かというくらい、目を見開いたまま一瞬静止するルミナ。
そして笑顔のまま膝から崩れ落ちたアリエイラ。
風音「え? 大丈夫? アリエイラさん」
アリエイラ「い、いえ。お気遣いなく」
なぜ自分ではないのか。という感情なのだろうなと察した息吹が、横からフォローするように言う。
息吹「その流れでどうして晴嵐なのかは分かりませんが、まずここに居る我々に告白出来ないのは明白ですよね」
ルミナ「ど、どうしてかしら? 何の根拠があって?」
内心激しく動揺しているルミナが、何とか平静を保ちつつ尋ねる。
息吹「そりゃあ、ねぇ。艦長」
風音「うん。ポンコツ製造機を施されたふりをして抜け出すわけだから、ここに居る関係者には極力近付きたくないからね。バレるとまずいでしょ。 特にアリエイラさんなんて数秒で違和感を持ってたから、多分あと数回会話をしただけでバレてたんじゃないかな?」
夢の中とはいえ、不自然な行動を取らないように気を付けながら動いていた、
特にアリエイラなんて夢の中ですら感覚が鋭すぎて、風音としては不自然な事がバレるのが嫌で、もう一回顔を合わせるのも嫌だった。
息吹「そういう事です」
ルミナ(あぁ!! しまったーーーー!! そうだったーーーーー!!!)
平静を装いながら、心の中で全力で叫ぶルミナ。
アリエイラも地面を向きながら反省する。
アリエイラ(そうか・・・どうしてそんな簡単な事を失念していたのか。我々が最初から除外対象になるのは自明の理ではないですか。 検証に気を取られ過ぎて盲目状態になってしまいましたか)
負けたわけではないと理解したアリエイラが、四つん這い状態から華麗に復活する。
そして長い後ろ髪をさらりと撫でる。
アリエイラ「まぁ・・・当然そうなりますね」
ルミナ「そ、そうね。当然よね。私もそれは分かってたわ。あなたがきちんと理解しているか、私とアリちゃんでテストしたのよ。 うん、テストは合格よ息吹」
息吹「そうですか。ありがとうございます。簡単なテストで助かりました」
満面の笑顔を向ける息吹。
ルミナ(くっ・・・!)
嫌味で言ってんじゃないのかこいつ、と勘繰る。
もちろん息吹本人は本心で、立ち直ってくれて良かったと思っているが。




