風音ワングランプリ? 二日目乃捌
風音「ふぅん・・・一個だけ今の話を聞いて言っときたい事があるんだけど。アリエイラさん」
アリエイラ「はい?」
風音「状況とか信頼関係とか関係無く、寝てる間に思いっきり叩かれたら、多分普通に説教しますよ」
アリエイラ「御冗談を」
口に手を当てて笑う。
風音「冗談じゃないけどな・・・。まぁそれはともかく。他人の人生の夢に関してだけど。今のを聞いて何とも言えなくなっちゃったな」
ルミナ「どういう事でしょう?」
風音「とにかく酷かったんだよ。まず想定してたのと全然違う状況だったんだけど」
ルミナ「え? そんな馬鹿な・・・」
ルミナが動揺する。
風音「いやほんとに。でも夢の中での状況がぶっ飛んでてさ。それはそれで面白そうだったから、まぁそこは減点対象にしなくてもいいかと思ったんだけど」
アリエイラ「風音さんはルミナに甘いですね。それなら公平に私の採点も甘くして頂きたいです」
甘く見てもアリエイラの作品はもう・・・アレなので、適当に対応しておいて続ける。
風音「はいはい。 それでね。ここからが大きく減点にしようと思ってたポイントなんだけど。選択肢が二つ出てさ。まず一つ目を選んだら、すぐに場面が暗転して僕の配役だった人が死んじゃって」
ルミナ「え・・・? そんなはずは・・・。たとえ駄目な選択肢でも、続きは見られるはず」
風音「だと思ってたんだけど、実際そうなったんだよ。それで、元の場面に戻ってさ。もう一つの方の選択肢を選んだら、また暗転して。また死んじゃったんだよ」
レスタ「それでクソゲーだ! って言いながら起きたんですね。確かにクソゲーですね」
レスタがうんうんと頷く。
ルミナ「そんな馬鹿な・・・」
信じられない、といった表情のルミナとは対照的に、約二名が勝ち誇った表情。
アリエイラ「あらまぁ。そんなの大幅減点でしょう」
レスタ「残念だけどそうだね」
ふふっと笑うアリエイラとレスタ。
風音「でもさ。今の話を聞いてると、起きるか否かの検証の為に、みんなで僕の身体を動かしまくってたんでしょ? じゃあそのせいで脳が危険を感じて、夢を中断したり短くしたりして僕を起きやすくした可能性がある訳だ」
アリエイラ・レスタ「「うっ・・・」」
そう言われるとそうかもしれないし、単にルミナの機械の不備かもしれない。どっちなのかは証明が出来ない。
風音「だから本当なら減点にするつもりだったけど、これで減点は可哀想かなって。みんなでやった事が原因かもしれない状態でルミナだけ減点って、それこそ不公平だし」
息吹「非常に公平な判断だと思います」
心から称賛する息吹。というか息吹としてはもう誰が優勝してもいい。
これ以上無い至福を体験出来た。もう悔いはない。出来れば早く第二回を開催してほしい。
風音「だから今のは無効試合。加点も減点も無しでいいかな」
アリエイラ「・・・仕方ありませんね。今の時間はルミナにとってはアピールポイントでもあったはず。そこを加点も無しとするのであれば、我々が一方的に不利になった訳でもありません。 し・ぶ・し・ぶ・ですけれども公平であると判断しましょう」
そういう風に話がまとまったが、当の本人が内心納得していない。
ルミナ(そう言って貰えるのはありがたいんだけど・・・暗転? 死んだ? ちょっと意味が分からないわ。外部からの邪魔があったからって、夢の中でそういう風にはならないでしょ。普通に夢の途中で起きてしまうはず)
ルミナが機械を取り出して調べる。
ルミナ(あれ?)
ふと機械に違和感を抱く。
ルミナ「風音さん? 今回って他人の人生を体験されたんですよね?」
風音「うん。僕の配役だからか見た目は僕に凄く似てたけど、僕よりちょっと年上の女の人だった」
ルミナ「そうですか・・・」
表には出さないが、ルミナの頭の中は疑問符でいっぱいだ。
ルミナ(これ・・・どうも間違えて自分の過去を見せる設定の方を施しちゃってたみたいなんだけど・・・。でも他人の夢を見てるのよね・・・。どういう事かしら? 思い込みでバグが生じたのかしら?)
スイッチの部分を確認する。
特に問題は無いように見える。
何度も試行実験を繰り返したのだ。この機械に不備なんか無いと断言出来る。
ルミナ(やっぱり自分の過去を見る設定の時に、他の人生を考えちゃうとバグる可能性がある・・・としか考えられないわね。バグチェックは完璧にやったんだけどなぁ・・・)
ルミナ「では引き続き夜の分も施しておきましょうか。次は邪魔が入らないので、暗転とかは無いと思います。 必ず自分の過去のやり直してみたい部分を想いながら寝て下さいね? 自分以外の人生を考えると夢におかしな影響が出る事も考えられますので」
こう言っておけば同じ事は起きないだろう。
再び風音の頭にセッティングし、スイッチオン。
ルミナ「はい終わりました」
風音「相変わらず早いね」
機械を外す作業を始めるルミナ。
ここでふと思い出す。
風音「あ、そうだアリエイラさん」
アリエイラ「何か?」
風音「結局どうだったのかな? 僕がちゃんと夢を見てたのかどうかの検証の方は?」
夢を見ていたのではなく、記憶を刷り込まれているだけかどうかを観察すると言っていた件だ。
アリエイラ「あぁ。膝枕をするという流れになってから、見てませんでしたね。これは失礼」
悪びれる様子も無く、サラッというアリエイラ。
風音「噓でしょ!?」
アリエイラ「嘘ではないですよ。心配しなくてもルミナが作った機械ですから、ちゃんと夢を見たのではないですか?」
風音「えぇ!? じゃあ僕が皆の前で寝た意味無かったじゃないですか!?」
アリエイラ「そうですね」
風音「そうですね、ってそんな普通の口調で・・・。ちょっとは反省をしなさいよ」
アリエイラ「してますよ。そう見えないですか?」
そう言って自分の長い髪の毛をシャランッと撫でる。
風音「欠片も見えないけど・・・」
もうこの人はこういう人だと思うしかないのか。




