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四十四話 嵐の前の

「夢みたいな日だったわ……」


 まさか今日は、憧れのアレク様と二人きりで直接お話しできるなんて思わなかった。


 お顔も見れないし、距離もあったけれど……でも、確かに会話したんだわ、私達……。


「…………嬉しい」


 嬉しい、嬉しい!


 思わず声に出てしまうくらい、嬉しくて嬉しくて仕方がない。

 だって、ずっと手紙のやり取りだけで繋がっていた方と、お会い出来たんだもの。


 私にとって、この手紙達は心の拠り所。

 特に、今日いただいたお手紙は……なんというか、破壊力が抜群だった。


 夫のせいで愛も恋も、信じられなくなってしまっていたけれど……。アレク様の言葉は、信じることが出来る。

 だって、そうじゃないと私のためにわざわざ時を巻き戻したり、本を書いたりしないものね。


 もし全てが終わったら……アレク様はなんと行って私を迎えに来てくださるのかしら。

 そもそも、アレク様は王族の方のどなたなのかもわからないし……全然社交してこなかったせいで、王族の方のお顔をよく覚えていないのよね。


 一度目の人生で関わった方のことなら、ちゃんと覚えているのだけど……。覚えていないということは、アレク様は一度目の人生で、私に話しかけてくることがなかったんだわ。


 ……まぁ、王族から話しかけられるなんて……よっぽどのことがないと無いけれど。



「今日は久々に、バスタブに薔薇の花弁でも浮かべちゃおうかしら」


 そして、香油を贅沢に使って、肌を整えるの。普段我慢しているのだから、たまには少しくらい、背伸びしたっていいでしょう?



 あぁ、なんだか今日は良い夢が見られそう……!

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