四十三話 最後の手紙
【敬愛なるアレク様へ
先程は、少しだけでもお会いすることができて大変嬉しかったです。
そしてやはり、王都で私を助けてくださったのも、アレク様だったのですね。
少しお話しした通り、私は、アレク様にお話ししたいことが沢山あるのです。
まずは、私を助けてくださったこと、改めてお礼をさせてください。
時を巻き戻してくださって、ありがとうございます。おかげで私は、今こうして生きています。
王都で私を助けてくださって、ありがとうございます。とても頼もしかったです。
この本を書いてくださって、ありがとうございます。この本がなければ、私は同じ人生を繰り返していたことでしょう。
そして、こんな私を好きだと言ってくださって、本当にありがとうございます。
次に、謝らせてください。
私は、アレク様が思うような、素晴らしい人間ではございません。一度目の人生で夫にされたことは未だに許せていないし、『氷の令嬢』と呼ばれていたのだって美しいからではなく、ただ愛想が悪いだけなのです。
アレク様は、王都で子供を庇った私を褒めてくださったと思います。けれど、あれは私が差し上げたネックレスのせいで、子供を危険に巻き込んでしまった責任からなのです。
二度目の人生では、笑えるようになったし、話せるようになったし、友人だってできました。信頼できる仲間もできました。ですが、彼女達に本当のことを話せていないという罪悪感は、常に私を蝕んでいます。
本当の私は、このように暗くてつまらない、どこにでもいるような普通の人間なのです。
ですが、それでも。
アレク様が、そんな私でも本当に良いと思ってくださるのでしたら……。
全てが終わって本当のアレク様とお会いした時、アレク様の手を取りたいと思っております。
私には、本当の恋や愛はまだわかりません。
ですが、アレク様と一緒に過ごして、少しずつ知っていければ良いなと、今は思っています。
私も、あなたを愛していると胸を張って言える日が来ますように。
シャーリン】




