表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/61

三十四話 突撃

 

 イザベラ様と、父のおかげでメルローズ男爵の不正を暴くことができた今。


 私は、メルローズ男爵邸に一人で来ている。無謀かもしれないけれど、きっとサラ達にバレたら止められてしまうから。


 それに、モタモタなんてしていられない。私はメルローズ男爵が逮捕される前に、キャロラインの話を聞き出さなければならないのだから。


 書状を送ることもせず、いきなり訪問してしまったから、門前払いされることも覚悟の上だったけれど……。

 メルローズ男爵は、客人がクラウゼン侯爵夫人である私だとわかった途端、底知れない笑みを浮かべて私を屋敷へと招き入れた。


 それから応接室に通されて、今はメルローズ男爵と二人きりで対峙している。



「それで……美しい貴婦人、一体本日は何の御用ですかな?」


 下卑た視線で、私の全身を舐め回す。

 ……気持ちが悪い。


「……何の用でしたら、あなたは納得してくださるの?」

「そうですな、たまには侯爵以外の男に抱かれたい……なんてご要望でしたら、喜んでお受けいたしますよ。もちろん、侯爵には内緒で……」


 あぁ、吐き気がするわ。キャロラインさんは、本当にこんな男の養子になろうとしているの?


 もう、本題に入ろう。付き合っていられない。


「単刀直入にお聞きします。あなたは、キャロラインという平民の女性をご存知ですか?」

「……キャロライン? いいえ、そんな女性は我が家では取り扱っておりませんが……」

「……そうですか」


 やはり今世では、キャロラインはまだメルローズ男爵と接触していない。それはきっと、あの舞踏会で夫が話を切り上げたからだわ。


 それなら、焦る必要はなかったのかも知れな____待って、今この男は、何といったの?


「……取り扱って……いないだなんて……どういうことですか? まるで、商品みたいな……」


 私が震える声で訊ねると、メルローズ男爵は二チャリと笑いながら、顎髭を撫でた。


「おやおや、てっきり一人でこの屋敷に来たものですから、あなたも商品が目当てなのかと思いましたが……違ったようですな?」

「商品!? それってまさか____」

「衛兵! この女を取り押さえろ!」


 私がまずいと思った瞬間。外で待機していたらしい兵士達が一斉に部屋に侵入してきて、私を床に押し潰した。


「っ……あなた、まさか……」

「えぇ、そうですよ。我が男爵家では裏で人身売買を行っておりましてね……これが中々好評で、私はここまで成り上がることが出来たのです」

「なぜ、それを私に言うのっ……!?」


 私が必死にそう問いかけると、メルローズ男爵は不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。


「簡単な話です。あなたも今から『商品』になるからですよ。ふふ、美しい侯爵夫人だなんて、高値で売れそうだ……!!」

「う、ぐっ……!」


 兵士達に髪の毛を掴まれ、無理やり担がれる、そして、どこかへ連れて行かれると確信した、その時だった。




 ____バン!


「その男を捕えよ!!!」


 勢いよく応接室の扉が開き、凛とした男性の声が部屋中に響き渡ったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ