表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/61

二十四話 返事

【アレク様へ


シャーリンです。お返事をしてくださって、ありがとうございます。

私はあなたの正体は聞きません。きっとあなたには、私に正体を明かせないほど尊いお方なのでしょう。


ですが、もしできるなら、あなたにお会いしたいのです。そして、お礼が言いたいと思います。

時を巻き戻してくださって、どうもありがとうございますと、どうか直接言わせてください。


そして、一度目の人生で……私が亡くなった後、私の死の真相を暴いてくださったこと、嬉しく思います。私なんて、誰にも気にされていないのだと……そう思っていましたから。


あなたの本のおかげで、私は夫の愛人の名前を知ることができました。そして、二人の計画についても……。

あとは自分の力で、どうにかかんばってみようと思います。


お返事、お待ちしております。


追伸.もう怪我は治りましたので、ハンカチはお返しいたします。このハンカチは前の人生で私があなたに渡したものですから、あなたが持っていてくださるとうれしいです。お心遣いいただきありがとうございます】






「こんな感じかしら……」


 私は紙を四つ折りにして、ハンカチの中にくるんだ。そして彼と同じように、本にハンカチを挟む。


 ……読んでくれるかしら。いえ、きっと読んでくれるわよね。


「行きましょうか」

「もうお帰りになるのですか?」

「えぇ、目的は果たせたから……」




 馬車に乗り込んで、窓の外を見る。

 昨日の夜もこんな風に、空を見上げて帰った。


 ____メルローズ男爵、嫌な感じはしたけれど……まさか、私の死因に関係があったなんて。


 あの本には、「キャロラインは男爵の養子になった」と書いかれていた。恐らく、その男爵というのがメルローズ男爵なのだろう。

 だとしたら、昨日メルローズ男爵に話しかけられた瞬間の夫の反応にも納得がいく。キャロラインを養子にするための大事なコマですものね。


 前の人生では見たことがなかったから、私がいないときに接触していたのでしょう。けれど、今の人生では私の評判が変わったみたいだから……あの下卑た視線を思い出す限りは、私を狙ってきていたわね。


 けれど、だとしたら不自然なのは夫の対応だ。メルローズ男爵は、キャロラインと結婚するための重要な存在のはず。

 それなのに、あんな風に私を……庇うような真似をして、男爵を蔑ろにするなんてどういうつもり?


 ____もしかして、私が行動を変えたことで……少しずつ何かがズレ始めてきている?


「……悪い方向に変わっていなければいいのだけれど」


 そんなことを考えながら、私はアレク様からいただいたメモを大事に握りしめるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ